アップルが配当・自社株買いで450億ドル還元(日経12*3*20*1)

米アップルは19日、17年ぶりに配当を再開すると発表しました。

アップルの原文によるプレスリリースは次のページ(Investor News)
のリンク先で読むことができます。

⇒ http://investor.apple.com/

(該当ページの冒頭部分です)

Apple Conference Call
Tim Cook, Apple’s CEO, and Peter Oppenheimer, Apple’s CFO,
hosted a Conference Call on Monday, March 19, 2012 to
announce the outcome of the Company’s discussions
concerning its cash balance.
View the Press Release
:

19日のプレスリリースのタイトルは次の通りです。

Apple Announces Plans to Initiate Dividend and Share
Repurchase Program

Expects to Spend $45 Billion Over Three Years
:

たしかに、今後3年間で450億円もの還元が予定されていると見ることができそうです。

好業績を背景に、非常に手元資金が潤沢になったため、株主からの還元要求が強まったことも大きな原因と見ることができるでしょう。

ちなみに、CNN.co.jpのサイトでは、写真つきでこの発表に関する記事がわかりやすく解説されています。
⇒ http://www.cnn.co.jp/tech/30005971.html
株式会社が、出資者である株主に対して利益を還元する代表的な方法には、(1)配当(2)自社株買いの2つがあります。

いずれも、過去から当期までに稼いだ利益の一部を株主に払い戻す行為ですから、預金に対する利息のようなイメージですね。

株主総会で配当が決議などされると、いったん次のように未払の債務が発生します。

バランスシート(配当決議前)
(資産)            (負債)
現金預金 8,000       未払配当金  0
            (純資産)
              資本金 3,000
             利益剰余金 5,000

バランスシート(配当決議後)
(資産)               (負債)
現金預金 8,000       未払配当金  1,000
             (純資産)
               資本金 3,000
             利益剰余金 4,000

このように、過去からの留保利益(利益剰余金)という株主の持ち分が減って、会社から株主への将来の支払義務(負債)を表す「未払配当金」という項目に振り替わります。

その後、この配当金が株主に支払われたら、次のように現金預金と未払配当金が同時に減少・消滅するのですね。

バランスシート(配当支払後)
(資産)          (負債)
現金預金 7,000         未払配当金  0
               (純資産)
                資本金 3,000
              利益剰余金 4,000

以上が配当による株主還元とバランスシートの変化です。

次に、自己株式の買戻しによる利益還元は、次のようになります。

バランスシート(自社株取得後)
(資産)             (負債)
現金預金 6,000         未払配当金  0
              (純資産)
               資本金 3,000
               利益剰余金 4,000
               自己株式 ▲1,000

現金が支出され、これに見合うように、バランスシートの貸方(右側)において、純資産の利益剰余金の下あたりで、「自己株式▲1000」のように、控除科目として自己株式表示されるのですね。

自己株式の取得(自社株買い)の場合、将来、またその株式を市場に放出して売却処分することもあるので、完全にバランスシートから
「利益剰余金4000⇒3000」のように消えず、自己株式という別の科目であえて間接的にマイナス表示するのです。

このような株主還元をすると、とうぜん株主にとって好印象ですから、会社の財務的な評価も高まりますし、株価維持にも有効です。

なお、上記報道では、「アップルの手元資金が976億ドル」あるというように報じられています。1ドル80円強として、8兆円余りの手元資金があると言うお金持ちップリです。

この点、確認のため、じっさいにアップルの決算書の原文を見てきました。

⇒ http://investor.apple.com/

…Q1 FY12 Form 10-Q
On January 25, 2012 Apple filed with the SEC its Form 10-Q for
the quarterly period ended December 31, 2011.)

2011年12月末時点でのバランスシートより、次の3つの資産項目の合計が、報道で言われている976億ドルの計算根拠となっています。

1. Cash and Cash Equivalents … 10,310
2. Short-Term Marketable Securities … 19,846
3. Long-Term Marketable Securities … 67,445
Total 97,601 (in millions)

現金および現金同等物が103.1億ドル、
短期の市場性ある有価証券が198.46億ドル、
長期の市場性ある有価証券が674.45億ドル、というわけですね。

短期的な流動性という意味でみても、103.1+198.46=301.56億ドルと、これでも2兆5000億円くらいにはなりますから、さすがにアップル、おそるべしです。

そういえば、ずいぶん前に、マイクロソフトも同じような水準の現金を潤沢に持っていたことを思い出しました。

あのときも、やはりマイクロソフトはその後、おおいに株主還元を行ったと記憶しています。

資金の潤沢さにもほどがあるでしょ!(笑)という感じですね。

やはり、これだけ貯め込んでいるなら、出資者にお返ししないとね~。

ここまでではないにせよ、やはり会社の資金が豊富にある、ということは
いろいろな戦略的な選択肢が広がって、ますます有利に経営を進めることができるのは、まちがいないところです。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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