オリンパスが決算訂正で財務健全性赤信号?(日経11*12*15*1)

オリンパスが14日に、一連の訂正報告書などを提出しました。

関連するニュースリリースはつぎのURLでご覧いただけます。

http://www.olympus.co.jp/jp/corc/ir/data/tes/2011/pdf/nr20111215.pdf

EDINET(有報のネット閲覧サービス)を見ると、
平成19年3月期から平成23年6月(第1四半期)までの分について、
さかのぼって決算訂正しているようです。
第2四半期は訂正ではなく、普通の発表ですね。

さて、今回注目してみたいのは、決算訂正前と訂正後の純資産および
自己資本比率の変化です。

なお、純資産は「資産-負債」の差額であり、企業が所有する財産のうち、
株主に帰属する部分の額ですね。

自己資本比率は、企業の財務体質の健全性を判断する指標であり、おおむね純資産が資産に対して占める比率です。

製造業ならば30%以上が一つの目安になります。
20%を下回ると、普通は「ちょっと厳しいかな」という感じになり、
10%前後からしたになると、赤信号がともりだします。

【決算訂正前の純資産および自己資本比率の推移】(億円未満切り捨て)

(平成19年3月) 純資産3,448億円  自己資本比率30.6%
(平成20年3月) 純資産3,678億円  自己資本比率26.2%
(平成21年3月) 純資産1,687億円  自己資本比率14.6%
(平成22年3月) 純資産2,168億円  自己資本比率18.2%
(平成23年3月) 純資産1,668億円  自己資本比率15.4%

【決算訂正後の純資産および自己資本比率の推移】(億円未満切り捨て)

(平成19年3月) 純資産2,249億円  自己資本比率21.4%
(平成20年3月) 純資産2,442億円  自己資本比率19.1%
(平成21年3月) 純資産1,109億円  自己資本比率10.0%
(平成22年3月) 純資産1,631億円  自己資本比率14.1%
(平成23年3月) 純資産1,155億円  自己資本比率11.0%

【参考】
(平成23年9月)  純資産459億円     自己資本比率4.5%

おどろきましたね~。

直近の純資産は、思いっきりレッドゾーンをぶっちぎって、
なんと金融機関の自己資本規制をもしたまわる「4.5%」とは。

100万円の資産があったら、そのうち95万円以上は借金ですか?

財務分析上は、会社のサステナビリティがマジで心配されるレベルです。

ちなみに、平成19年3月の「訂正前」報告書では、なんと30.6%もの高い自己資本比率を記録しています。

この時の純資産額は3448億円のはず、でした・・・

しかし、今般の訂正を受けて、1000億円以上がバブルの資産だったという
事実が判明、その結果・・・

(訂正前)       (訂正後)
純資産 3448億円 ▲1199億円 2249億円  ですよ。

純資産の3分の1も実体がなかったなんてね~。
これを悪質な会計不正と言わずして、なにを「悪質」といえばいいでしょうか。

当時、オリンパス株の購入を検討していた方の中には、当時の自己資本比率30.6%が判断の決め手になっていたかもしれませんよ。
それが実は21.4%であり、その2年後にはなんと10.4%に自己資本が
棄損されると予想していたら・・・。

そうなんです。自己資本比率一つとっても、会社は投資家に対して真実を示せなかった、という事実は重たいわけなのですね。
今では自己資本比率4.5%ですから。

今回のオリンパスによる一連の訂正報告は、いろいろと考えさせられる出来事だったと思います。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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