補助金不正受給
安倍首相の突然の辞任で、日本国中が激震にみまわれました。
それはそれで、「企業の経営では、ありえない無責任さだ!」という
厳しい声などもあります。
テレビで安倍首相のお顔を拝見するに、
責任の重さに、表情もうつろといった印象を受けました。
国のトップは、プレッシャーも相当なものでしょうね。
常人の神経では、なかなか受けきれるものじゃないのかな、と思います。
さて、そんな大ニュースの陰に隠れてしまっていますが、
ある意味、国民の血税を踏みにじったともいえる、
地味に大問題なできごとがあったのに、扱いはひっそり12面という
小さなものでした。
大阪ガスが、過去10年間で、約26億円もの補助金を経済産業省から
不正受給していた、という問題です。
ウェブの関連ページも示しますので、見てやって下さい。
→ http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070912-00000244-jij-biz
新聞報道によりますと、
大阪ガスで、今年7月、子会社のコージェネテクノサービスが
入札作業をしなかったにもかかわらず、「実施済みのように偽装」して、
約5千万円を騙し取っていた(不正受給していた)ことが発覚した
とか。
社内調査の結果、22件の不正受給が判明したそうです。
…監査役さん、取締役さんのお仕事って
なんなんですか???といった、お話です。
会社法の理念、コーポレートガバナンスって…?
実は、経産省の補助金以外に、厚生労働省の補助金についても、
不正受給の問題が多いです。
たとえば、私が専門学校で講師をしていたときに、
非常に専門学校のセールスレターで強調された
「教育訓練給付金」制度。
これは、最大20万円まで、受講料が返ってきますので、
特に、制度の発足当初は、不正受給の話を時々聞きました。
「講座を受けたふりしてお金をもらう」
あと、最近、社会保険労務士の先生と話していて、
中小企業基盤人材確保助成金など、わりとメジャーな
助成金について話していた時に、不正受給の問題で、
チェックが厳しくなってきていることなどもききました。
「助成金をもらう実体を仮装して、国からお金を不正に受け取る」
これらの行為を、下記の行為と比較してみて、
どれほどの差があるのか…
「出荷の事実が無いのに、伝票を仮装して、架空売上を計上する」
「振り込め詐欺で、お年寄りに架空のストーリーでお金をだましとる」
これらは、広い意味で「詐欺行為」です。
1万円くらいの価値しかないツボを50万円で売りつける行為と
ほとんど違いは無いと思うのですが…
ただ、振り込め詐欺の場合、ストレートに嫌悪感を感じますよね。
それは、被害者が「お年寄り」のような、弱い立場の人だから。
ちなみに、単体の被害で言ったら、補助金の不正受給の方が
でかいです。
ただし、残念なことに、被害者は「国」…
だから、私達の直感に訴えてこない。
もっというなら、国の向こう側にいる「日本国民1億2千万人」が、
広く浅く被害にあっているのです。
税金と言う形で。
消費税の増税の議論も大事ですが、それより先に、
あらゆる補助金の不正受給の流出率を30%でもカットできたら、
もっと国庫は潤うのではないでしょうか。
もっと足元に、コストカット、キャッシュ改善のネタが
いっぱい眠っているように思えます。
これは、あくまで勘ですけれども。
大阪ガスの問題は、当時の責任者の執行役員の辞任と、
役員の報酬カットと言う形で処分されそうです。
今日以降の株価は、どう動くでしょうか。
私個人としては、株価の変動をもって、
市場がもう少し厳しく審判するかもしれない、
と思っていますが、あんがい、平静を保つかもしれないし…
結果は、あとになってみないと、わかりませんよね。
私は、専門学校時代、自分で足を棒にして、
飛び込み営業のアルバイトで授業料50万円を稼ぎ、
やっとの思いで会計士を合格した、と言う経験を持っているので、
安易に人から補助をしてもらう、
と言う発想があまり好きではありません。
自分で何とかする、というド根性のようなものも、
一時を成すには、時として、とても大事だと思うわけですね。
…社会的にハンデを負っている人や、
本当に社会に役立つ事業をしたくても、資金・人材が不足している、
という人になら、喜んで税金を使ってもらいたいですが、
不正受給のような形で、ほかの、本当に必要な人にそのお金が渡らないのは、
とても残念なことです。
したがって、今朝読んだ不正受給の話は、
僕個人の頭の中では、不二家の期限切れ問題と、その重みは
変わらないです。
食品は社会問題になるが、補助金の不正受給は、社会問題になりにくい、
そんなものなのでしょう。
「事実を仮装してお金を受け取る」
そこに罪の意識がない場合は、返って悪質かもしれません。
以上、今朝の新聞報道で、ちょっと感じたことをお話してみました。
これは、あくまで私の感想ですので、「そんな考えもあるのね~」
と、一つの参考としていただければ幸いです。