企業の存在意義と財務諸表 【知識ゼロからの会計学入門021】

知識ゼロからの会計学入門、今回は第21回「企業の存在意義と企業会計」というテーマです。

前回までは簿記の入門知識に近いことをやってきましたが、今回からは会計理論という話に立ち戻って、技術的な話ではなく理論的なことをやっていきたいと思います。

まず、「企業とは何か?」ということを考えていきましょう。
これは色々な定義があるとは思いますが、意外に答えられないのです。

これは世の中の時事ニュースや不祥事や決算発表など会社のことを判断するときに知っておいていただきたいです。
困ったときに基本に立ち返ると判断を間違えないことが多いです。

特にあなたが経営者だったり誰かを指導・監督する立場にある場合は、短期的思考になって、目先の利益を追求してしまって、間違った行動をしそうになったときに、この観点を思い出していただくと正しい方向に導くことができるかもしれません。

企業の定義とは「営利の目的で継続的・計画的に同種の経済行為を行う組織(大辞林)」です。

「計画的」という言葉は抜ける場合もありますが、絶対に必要なのは「営利」ということです。
そして「継続的」というのも大事です。

要するに物を売ったり買ったり、機械的にたくさん作業をします。
ポイントは「営利」と「継続的」です。

「同種の経済行為」というのは「反復」ということを背景に入れています。
この言葉の行間には「反復し、大量に」という意味があります。

「たくさん事務をこなすのだから、いちいち見ていられない部分もある」ということもあります。

実はこれはすごく大事なことです。流れ作業なので、システムが必要だということです。

システムがないと不正や間違いが起きやすいので、きちんとしたルールをつくりましょうということが背景にあります。これは会計監査にも関係します。

明日お店行ったらやっていなかったり、今日はやっているけど明日はやってないなど、不安定な商売が一番まずいです。
定休日以外はお店が空いているから安心するのです。

会社も同じで、明日の朝行ってみたら「今日は臨時休業です」などと言われたらやってられません。
だから、継続していることが大事なのです。

「同種の」ということについては、例えばコーヒーショップならば毎日コーヒーを提供してほしいわけですが、コーヒーを飲もうと思ってお店に行ったらその日はラーメン屋さんをやっているとなったらまずいわけです。

営業目的に一貫性がないとまずいのです。
これは会社法という法律の理念にもあります。

「同種の取引を反復継続的に大量に行う」ということが背景にあって、それに基づいて利害調整をするのです。

「営利の目的」「継続的」「同種の経済行為を反復して行う」という組織体です。
必ず入る言葉は「営利」と「継続」と「経済行為」です。

ここで私が好きな言葉をご紹介したいのですが、今はもうお亡くなりになっている井原隆一さんという方が書かれた『財務を制するものは企業を制す(PHP文庫)』という本です。

この本は絶版になってしまって、復刊活動をしたいのですが、井原隆一さんという、財務に関する実績を残されている方で、一度井原先生の墓前に手を合わせて「井原先生の考えを世に広めたいと思います」というお話をしてみたいと思っています。

私は『プレジデント』という雑誌に連載をしていますが、出版関係の数少ないツテを使って、復刊できたらなと思っています。

この本はバブルの頃に出版されたものなので、今の時代とは若干合わない部分もありますが、その部分は関係者の同意を得て改訂できないのかなと思うくらいに名著だと思っています。

井原隆一さんの言葉で私がとてもよく覚えているのが「公共」「営利」「健全」という3つの言葉です。

私はこの言葉がとても大好きで、迷ったら井原先生のこの言葉を思い出すようにしています。

「この会社は公共性があるか?」「この会社は営利をきちんと追求しているか?」営利の追求というのは何も悪くありません。

「公共」「健全」を捨てて営利だけになってしまうとまずいのです。
利益がなければ公共も何もありません。

儲かっていない会社がいいサービスができるわけがありません。
この3つが確立されていることによって企業というのは健全に発達していくのです。

「公共」というのは、適法であること、ルールに背いてはいけないということです。
そして貢献です。

「適法」「貢献」というのは私の解釈で、井原先生の言葉にもう少し肉付けをして、もう少し分かりやすく、私なりの理解で伝えたいと思っています。

経営者はこれを忘れたらまずいのです。
だから、私が新しいビジネス計画を立てるときにまず考えるのはこれです。

公共かどうか。
私がこれから考えているプロジェクトは誰の利益になるのか?ということを考えます。

例えば、今私が関心あるのはキッズBOKIというものです。
キッズBOKIとは、小学生の子どもたちにお金の知識や経済的な知識を与えることで、児童教育に資するだろうと思っています。

日本の将来の役に立つという公共性があると信じて私はキッズBOKIをやっています。
今は利益は上がっていませんが、いずれキッズBOKIでも利益が得られるようにして、またキッズBOKIに還元するという流れです。

したがって、キッズBOKIは公共の利益に適っていると私は思っています。
「適法性」「貢献性」というのが「公共」ということの2つの要件だと思っています。

次に「営利」ですが、ここが財務的な発想ですが、「効率」「成長」です。
きちんと効率良くビジネスを運営しているかどうかということと、成長性です。

成長しないと人間はやる気になりません。
右肩下がり、ジリ貧は嫌ですよね。

ジリ貧な組織で働きたいと思う人はいませんから、成長を目指しましょう。
営利というのは「効率」「成長」だと私は考えています。

これは井原先生の著書の行間から私が読み取ったものなので、絶対に正しいとは言いませんし、井原さんがこの通りに思っているかどうかは分かりませんが、私の理解でお話したいと思っています。

営利というのは、効率よく利益を出す、そして企業を成長させるためのエネルギー減として利益を上げるということです。

3つ目の「健全」ですが、「安全」と「継続」これはいわゆる「安全経営」です。
その経営基盤がきちんと確立されていることです。

安全というのは会社存続が危険にさらされずに継続していることです。
継続のことを「サステナビリティ」と言いますが、それが健全です。

「公共」「営利」「健全」という3つの大きな柱をもうすこし具体的に見ていくと「公共」の要件は「適法かつ社会貢献性があること」。

「営利」というのは「効率的な運営」であり、「利益や売上が成長していること」。
「健全」というのは、その企業の財務体質が「安全」であり「継続できるような健全な財務体質である」ということが大事だと思っています。

では、「企業とは何か」という3つの本質論からすると、これと財務諸表や企業会計と何か関係するのかを見ていきたいと思います。

営利については、効率的に運営しているか、そして、きちんと成長できるかというところの源泉は、やはり取りも直さず利益ですから、財務諸表で明らかにします。

財務諸表をきちんと作って公表することで、きちんと効率的な経営をして成長しているということを明らかにします。
これが世の中の利害関係者とのコミュニケーションツールになります。

みなさんは、企業が「公共」「営利」「健全」の3つの柱で経営しているかチェックすべきなのです。

世の中の経済ニュースを見るときにも、常にこの3つの柱から見るべきです。
どの企業もこの3つの柱から外れてはいけないと思っています。

そして、営利というのは損益計算書から判断できるということです。
そして健全性というのは貸借対照表から判断することができます。

財務体質、つまり借金をしすぎていないかとか、放漫経営していないかということ。
そして、資産の運用状態、現金と設備投資と在庫のバランスがいいかということは、貸借対照表から明らかになります。

そして、公共性についてですが、企業はこれがないといけません。
「コーポレートガバナンス」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、「企業統治」ということです。

経営陣の暴走を止められなかったらまずいですし、あるいは従業員の暴走を止められなければまずいです。

原発の問題もそうで、本当は便利だけれども安全対策が不十分な場合は厳しかったり、色々あります。

自動車も「リコール」というものがありますが、欠陥部品を使ったりすると大事故に繋がって尊い人命が失われますから、公共性の観点からきちんと企業統治をしなければいけません。

コーポレートガバナンスは、経営者や従業員のみなさんが一致団結して世の中に対してアピールをするという形で、品質の良いサービスを世の中に提供するということになります。

「営利」については、損益計算書で「効率性」「成長性」を確認します。
「健全」については、貸借対照表で「安全性」「継続性」を確認します。

「公共」については、企業統治がしっかりできているか、会社のサービス内容が世の中の役に立っているかを確認します。

これはホームページなどでも確認できます。
この3本柱を意識して、それと財務諸表とを結びつけて考えると会計の勉強が楽しくなるのではないかと思います。

この機会に今回のテーマを考えてみてほしいと思います。
損益計算書は利益の計算プロセスを表したものですが、これは経営成績ともいいます。
貸借対照表は資金の調達と運用のバランスを表したもので、これを財政状態といいます。

これが分かると財務分析も面白くなります。
ぜひ、今後の会計の勉強や企業を判断するときの物差しとして活かしてください。

次回は貸借対照表の表示のルールについて見ていきたいと思います。
ここまでお疲れさまでした。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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