仮払金(3級・2級商業簿記)

「仮払金」という勘定科目について、今回は詳しく解説します。
この科目は実務においても試験対策においても非常に重要なものですので、しっかりと学んでいただければと思います。

仮払金は、資産勘定に分類されます。簿記3級以上の試験では必ず出題されますし、2級や1級、さらには会計士や税理士の試験にも登場することがあり、実務でも非常に使い勝手の良い科目です。簡単に言えば、仮の勘定として使用される、一時的な処理を行うための勘定科目となります。

仮払金の定義について説明します。
仮払金は、支出時に金額や内容が確定していない場合に用いられます。
つまり、金額や支出内容が不確定な段階で、先に支払う場合に使われる勘定です。
この科目は、短期間で精算されることを前提にした便宜的な勘定であり、支出が確定した時点で精算処理が行われます。

関連する科目としては、現金や仮受金(負債)が挙げられます。

具体的な使用例として、社員が出張に行く場合を考えてみましょう。出張にかかる交通費が事前には確定していない場合、会社から社員に対して仮に一定額を渡すことがあります。
例えば、「出張費として2,000円を仮に渡しておくので、後で精算してください」といった形です。
この時点で仮払金を使います。

実際に出張が終了し、交通費が確定した場合には、その金額に応じて精算を行います。
たとえば、実際にかかった交通費が1,700円だった場合、差額の300円を社員から回収することになります。
そして、精算が完了した時点で、仮払金は解消され、実際の費用に基づいた処理が行われます。

次に、仮払金の仕訳例を見ていきましょう。

旅費の概算額として、従業員に現金2,000円を渡した場合

借方:仮払金 2,000円
貸方:現金 2,000円
従業員が帰社し、実際にかかった旅費1,700円との差額を精算した場合

借方:仮払金 2,000円(消去)
貸方:現金 300円(差額の返金分)
借方:旅費 1,700円(実際の費用)
このように、仮払金は最終的に精算処理が行われ、借方と貸方が一致することになります。
この処理は、貸借平均の原理に基づいており、仕訳が必ずバランスを保つことが求められます。

仮払金は、実務でも非常に頻繁に使われる勘定科目ですので、この取引例はしっかりと理解しておいてください。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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