荷為替手形(3級・2級商業簿記)
「荷為替手形」は、貿易などの取引において、売上代金を早期に回収するために使われる手段です。
買主は、名宛人として、売主の取引銀行を受け取り人として振り出す為替手形を使います。
実務上、荷為替手形はほとんど使用されておらず、会計士でも見たことがない場合が多いです。
為替手形自体があまり使われないため、実際の取引で目にする機会は少ないと言えます。
関連語句としては、「委託販売」や「未着品」があります。
さて、荷為替手形の仕組みについて解説します。
輸出など、遠隔地との決済のために売主が振り出す為替手形には、貨物代表証券(船荷証券)が添付されることがあります。
貿易取引においては、売主が商品を発送した後、買主が代金を支払わないリスクが高くなります。
特に海外の場合、言葉がうまく通じないことや、国を越えて取引が行われるため、不払いのリスクが高くなります。
国内取引では売掛金の回収期間は一般的に1ヶ月程度ですが、海外取引では3ヶ月ほどかかることもあります。
このため、売主は船積み後に船積書類と為替手形を取引銀行に持ち込み、銀行にその手形を買い取ってもらうことがあります。
その後、取引銀行は、買主の国の銀行を通じて代金を取り立てます。
この仕組みが荷為替手形の基本です。買主が代金を支払わなければ、船荷証券などを手に入れることができません。
次に取引例を紹介します。たとえば、商品500,000円を売り上げ、額面400,000円の荷為替手形を振り出し、割引料として6,000円が差し引かれた残額を当座預金に受け入れた場合です。
売上500,000円のすべてを荷為替手形にするわけではなく、担保の余力として2割を残して100,000円は売掛金として計上します。
売上の全額を振り出すことを「丸為替」と呼びます。
この場合、荷為替手形400,000円のうち6,000円は銀行の手数料(手形売却損)として差し引かれ、会計処理は次のようになります。
借方:当座預金394,000円
貸方:売上金500,000円
売掛金100,000円