公式法変動予算(2級工業簿記)
「公式法変動予算」は製造間接費に関係する内容ですが、初心者の方には難しい部分もあるかと思いますので、この機会に少しでもイメージを掴んでいただければと思います。
2級の検定においては、非常に重要なテーマであり、重要度は星3つと高いです。
何度も繰り返し見て、少しずつ理解を深めていただければと思います。
まず、公式法変動予算の定義ですが、製造間接費を管理する方法の一つで、操業度の増減に応じて予算の許容額が変動する方式です。
関連語句としては、「固定予算」「製造間接費の管理」「予定配賦」「配賦差異」などがあります。
これらについては、別の機会に学ぶことになるかと思います。
では、解説に移ります。まず「予算」とは、将来の一定期間における事業計画の財務面を表した経営計画です。
予算管理において、製造間接費(間接材料費、間接労務費、間接経費)は「変動費」と「固定費」に分けられます。
この区分が変動予算の特徴です。
「変動費」とは、操業度(生産量や時間数)の増減に応じて変化する原価のことを指し、例えば水道光熱費や間接材料費がこれにあたります。
一方で、「固定費」は、操業度の増減に関わらず一定額が発生する原価(家賃やリース料など)です。
変動予算では、固定費部分は操業度の増減に関わらず予算と同じままですが、変動費は操業度に応じて調整されます。
例えば、500時間の作業をした月と450時間の作業をした月では、水道光熱費や間接材料費の使用量が異なり、その分、予算額を調整しようという考え方です。
これが「公式法変動予算」の基本です。
具体例を挙げてみましょう。予算の基準としてフル操業(100%操業)を500時間とし、変動費率が700円、固定費が600,000円だと仮定します。
フル操業の予算許容額は、700円 × 500時間 + 600,000円 = 950,000円となります。
しかし、もしある月に450時間しか操業しなければ、予算許容額は700円 × 450時間 + 600,000円 = 915,000円となり、500時間のときよりも低くなります。
このように、操業時間などの変動によって予算が調整されるのが、公式法変動予算の特徴です。