現金過不足（３級・２級商業簿記）

今回は簿記ャブラリ第2章、3級・2級の商業簿記における「現金過不足」について解説します。
現金を扱っている業種はまだまだ多いため、実務で経験する可能性はありますが、現金過不足勘定自体は実務ではあまり使用されません。
実務では、仮払金などを使うことが多いからです。
しかし、現金過不足金は簿記の受験勉強では非常に重要な概念ですので、その理論についてはしっかり理解しておきましょう。
実務で使われないとはいえ、意味を知っておくことは大切です。
現金過不足の理論を理解した上で、実務に臨むことが重要です。

まず、現金過不足とは、現金の実際残高と帳簿上の残高が合わない場合に使用する勘定科目です。
これは、記帳ミスや記帳漏れ、または現金の不足などが原因で起こることがあります。
例えば、金庫の中の現金が5万円なのに、帳簿上では4万8000円と記載されているといったケースです。
現金の実際残高と帳簿上の残高がずれることがよくあり、これを一時的に埋めるために使われるのが「現金過不足」という勘定科目です。
この勘定科目は、原因調査中であることを示すものであり、長期間放置しておくことは望ましくありません。
すぐに原因を調査し、判明した場合には適切な勘定科目に振り替えます。もし差額が解消できない場合は、雑損や雑益などに振り替えます。

関連する語句として「現金」が挙げられます。実務では、1日の営業終了時に金庫の現金を実際に調査し、帳簿上の現金残高と照合することが行われます。
これを「現金実査」と呼び、実際に金庫の現金と帳簿を照らし合わせる作業です。
この調査は毎日行うこともありますし、月末や年度末に行うことが一般的です。
また、会計監査でも現金実査が行われ、総勘定元帳の現金勘定と一致しているかどうか確認されます。

例えば、帳簿上で現金残高が1万円であるのに対して、実際に金庫の中にある現金が8000円しかないという場合、この差額2000円が不足していることになります。
このような不一致が発生した場合、一時的に「現金過不足」を使って差額を処理します。
差額が発生した原因を調査した結果、例えば通信費の支払いが記帳漏れだったことが分かれば、現金過不足の貸方を消し、借方に「通信費」を計上します。
また、もし200円の差額が残った場合は、その差額を「雑損」として処理します。

このように、現金過不足は、現金残高と帳簿上の金額が合わない場合に、その差を一時的に調整するために使用される勘定科目です。
実務では、差異が生じた場合に速やかに原因を調査し、適切な勘定科目に振り替えることが求められます。
そして、原因が不明な場合には、差額を「雑損」や「雑益」などとして処理することになります。

現金過不足は簿記の試験でもよく出題されるので、しっかり理解しておくことが大切です。
実務で現金過不足を使うことは少ないかもしれませんが、その理論を理解することで、現金の管理や帳簿の整合性を保つために役立つ知識となります。
しっかりと学習し、試験や実務に備えましょう。