売上原価(2級工業簿記)
商業簿記による売上原価と工業簿記の売上原価は計上するまでのプロセスが異なりますので、商業簿記と比較しながら学ぶと理解が深まります。
まず、工業簿記における「売上原価」についてです。
分類としては費用に該当し、2級で重要度が星3つということで非常に重要な項目です。
工業簿記では、仕掛品勘定から一旦製品が完成し、その後売上原価として計上されます。
これに対して、商業簿記では、商品がそのまま売上原価に計上されるため、プロセスが1ステップ少ないと言えます。
工業簿記では、仕掛品(未完成品)から完成品を経て、最終的に売上原価となるので、商業簿記よりも1ステップ多くなります。
次に、売上原価の定義についてです。
売上原価は、製品を販売した際に、製品勘定から振り替えられる費用勘定を指します。
関連語句としては、「製品」と「売上」が挙げられます。
工業簿記では、現金 → 各費目 → 仕掛品 → 製品という流れで振り替えが行われます。
製品になるまでのプロセスが長いため、この流れをしっかり理解しておくことが重要です。
製品勘定の段階では、「工場で製作したものが完成し、製品倉庫に保管されている状態」を意味します。
このイメージをしっかり持っておくことが大切です。
ただし、製品が製品倉庫に長期間保管されていると、製品が劣化したり、販売されずに不良在庫となる可能性があることを考慮しなければなりません。
そして、製品が出荷されると、原則として売上が計上されます(出荷基準による売上計上)。
出荷された時点で売上が計上され、同時に製品が消費されたとして、売上勘定が振り替えられます。
次に、実際の取引を見ていきましょう。
例えば、仕掛品1万円が当月中に完成し、製品倉庫に移動した場合、
貸方:仕掛品、借方:製品 と仕訳されます。
その後、当月中に完成品が出荷され、販売代金1万8000円を現金で受け取った場合、
出荷されたことにより、製品が減少し、売上原価が発生します。
この場合、貸方:製品(減少)、借方:売上原価(増加)となり、売上原価が計上されます。
ここで重要なのは、売上1万8000円に対して売上原価1万円が計上され、
その差額である8000円が売上総利益となることです。
売上原価は利益を計算するための重要な要素なので、しっかりと覚えておきましょう。