工業簿記、原価計算期間

今回は、「工業簿記」と「原価計算」についてお話しします。

まず、「工業簿記」についてです。これは製造業を主な事業目的とする企業が採用する簿記の方法です。
製造業やメーカー、さらには建築業なども工業簿記の対象になります。
そして、「商業簿記」や「完全工業簿記」という言葉もありますが、2級で学ぶのは基本的にこの完全工業簿記です。
不完全工業簿記や商定工業簿記については、税理士試験などで扱われることが多いですので、まずは2級では完全工業簿記を学ぶということを理解してください。

商業簿記は小売業、卸売業、サービス業など一般的な業種で主に使われる簿記の方法ですが、工業簿記は原材料を仕入れ、加工して製品を作り上げるプロセスが特徴です。
このように材料に加工を加えて完成品を作る業種を工業、または製造業、メーカーと言います。

工業簿記には、毎月の原価計算を行い、正確な製品原価を算定する「完全工業簿記」と、期末在庫を大雑把に見積もる「不完全工業簿記」があります。
皆さんが2級のテキストで学ぶ工業簿記は、完全工業簿記として、月次で材料費や労務費、経費を正確に集計する方法です。

続いて、原価計算期間についてお話しします。
これはとても大事な言葉で、重要度を3に設定しました。
定義としては、原価計算を行うための期間の区分で、通常は1ヶ月が基本となります。
関連語句には、会計期間や事業年度があります。
完全工業簿記のもとで通常行われるこの原価計算期間が1ヶ月であることは、非常に相性が良いです。

解説しますと、商業簿記では通常1年に1回、決算日時点を基準に貸借対照表や損益計算書を作成し、利益を確定して税務署に確定申告を行ったり、年に1回の株主総会で決算報告をします。
しかし、製造業では工業簿記において毎月の迅速な意思決定が非常に重要になりますので、年1回の決算では範囲が広すぎるのです。
毎月、月末時点の製品在庫を把握し、生産効率を高めるためには、原価データや損益データを細かく集計する必要があります。
ですので、1ヶ月ごとに原価計算を行うことが基本だと理解していただければと思います。

これを会計期間や事業年度と比較して覚えていただけると良いでしょう。ぜひ参考にしてください。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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