意外に知らない、資本が持つ三つの意味

今回の「頑張ろう日商簿記1級合格」は、ちょっとした会計用語に関する雑学のようなことについてお話しします。

よく「資本」という言葉を使いますが、この言葉は無意識のうちに色々な意味で使われています。

時には資本金の意味だったり「体が資本だ」と言うこともあります。
どの段階のどの意味で資本という言葉を使っているかがよく分からないケースがあります。

資本というのは、元々は財産を生むもととなる部分のことを言います。
今回はそれを会計的に簡単にご説明したいと思っています。

バランスシートというものがあったときに、左側を資産といいます。
この場合の資産の「資」は、貨幣のようなもので、貨幣財産を表していると考えてください。

将来のキャッシュ(資)を生み出すものです。
現在の貨幣経済では財産の根本は貨幣ですが、それが資産なのです。

具体的には現金であることもあれば、預金であることもあるし、棚卸資産や固定資産など、様々な形をもっていますが、結局それらの目的は将来キャッシュ(収入)を生むことなのです。

将来のキャッシュ(収入)を生み出す諸々の資源が資産なのです。
そういったものをどうやって根本的に調達したかという、調達ルートのことを資本と言いますが、そのときに会計用語では負債という言い方をします。

これは会社の立場からみて返済義務があるものです。
それと同時に純資産という言い方がありますが、かつてはこれを資本と言っていました。

純資産という言葉は「資産から負債を引いた差額」という意味で私はあまり好きではないのですが、これは株主の取り分であるということです。

かつては資本という言い方をしていましたが、私は資本という言葉が好きです。
資本というのはどちらかと株主の立場からみた言葉です。

株主から受け取った根本的な資財で、資産の調達元という意味で資本なのです。
そして、純資産の主要な部分は株主資本と言いますが、これは株主から預かった資本という意味です。

それ以外にも資産の評価差損益や為替換算調整勘定など諸々ありますが、純資産の主役は株主資本で、これは株主から預かったお金ということです。
そして、その株主資本の中の主要なもののひとつが資本金です。

株主資本の中には出資額である資本金とビジネスで積み重ねた利益のストックである利益剰余金があります。
実は資本というのはバランスシートの右側のことを言っています。

一番狭い3つの意味を覚えていただきたいのですが、資本の一番狭い意味は法定資本といって、会社法で規定されている「これだけは資本とみなしなさい」という最低限の資本です。

これに利益などが加わると自己資本になります。
資本金に利益をプラスした状態が、私たちがよく使う一般的な資本です。

一方、株主以外の銀行や仕入先など債権者から預かったお金という意味で他人資本という言い方もします。

自己資本と他人資本を合算したものを総資産と言いますが、これが第3の資本の意味です。
もっとも広い意味の資本は総資本で、バランスシート右側の合計です。

こうやって見ると、総資本は左側の資産に繋がるわけです。
資産というのは、将来キャッシュを生み出す在庫や設備や現金といった具体的な財産の形です。

その資本のうち、他人資本という負債と自己資本を足したものが総資本です。
この3つの資本の意味の段階があると思ってください。

最も狭いのは資本金で、次に自己資本、最も広い意味は自己資本と他人資本を足した総資本です。

この3つの意味を意識して資本を考えてみると理解が深まるし、会計に興味が持てると思います。
この考え方をぜひ参考になさってください。

私はいつもあなたの日商簿記1級合格を心から応援しています。
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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