経営管理者の仕事(ドラッカー著「現代の経営」(下)第27章より)
今回の「前を向いて歩こう」はドラッガーのお話をしたいと思います。
勿論、私はドラッガーの専門研究者ではなく、一般のビジネスマンとしての教養という形で、私なりのやり方でドラッガーという人の経営学を使っています。
その中で、ドラッガーの古典的な名著である「現代の経営」という本があり、ダイヤモンド社から訳されているものですが、ドラッガー全集という形で沢山出ています。
ダイヤモンド社から出ているものは上下巻の2冊がありますが、今回は「現代の経営」下巻を参考にさせて頂きながら、マネジメントについての1つの考え方をお話します。
ちなみに、「現代の経営」は1950年代前半ぐらいに書かれているので、今から60年以上前に書かれている古典的なものです。
しかし、当時の時代背景を踏まえて書かれていたにも関わらず、今の基本的なマネジメント理論の源流はここにあるのではないかと思っています。
現在のコンサルタントの方や経営学の先生が仰っていることも、ドラッガーから学んでいる部分が多いのではないかと思います。
原点ともいえる経営マネジメント書ですが、その中の第27章に「経営管理者の仕事」というものがあります。
社長から始まって色々なレベルの管理者がいると思いますが、経営管理者の仕事として次の5つを挙げています。
1.目標を設定する
2.組織する
3.動機づけを行い、コミュニケーションを行う
4.評価測定する
5.部下を育成する
いずれにせよ経営管理者という仕事をやる以上、この5つの仕事は避けられません。
レベルの差こそあれ、必ず5つの役割を担っていると考えても良いです。
「1.目標を設定する」というのは計画や予算など、経営計画の基本的なところです。
年度予算など以外にも月々や毎週やその日の課題など、色々な目標を明示して設定しましょうということです。
「2.組織する」についてですが、やはり人の集団で動いていますから、適切に組織化します。
目的に従って組織をきちんと運営します。
これも大きなテーマとしてドラッガーは挙げています。
「3.動機づけを行い、コミュニケーションを行う」は、現在私が専門分野の1つとしてやらせて頂いているコーチングにも関連しています。
コミュニケーションは未だに問題です。
場合によっては社員が会社を辞める原因のベスト3ぐらいにいつも入ってきます。
上司とのコミュニケーション、部下とのコミュニケーション、同僚とのコミュニケーション、お客様とのコミュニケーション、突き詰めると人間関係の問題にかなり起因するのではないかということです。
「4.評価測定する」も大事です。
部下などを評価・測定する時には公平さが大事になります。
あるいは、これを管理の道具にするのではなくて、評価される本人が自己管理します。
上から押さえつける形ではなくて、自らの行動パフォーマンスを上げるような、自発的になれるような評価・測定を進めることが大事だということです。
「5.部下を育成する」についてですが、部下を育成する視点を持っている管理者がどれぐらいいるかです。
本気で部下を育成しようと思って動いているかどうか。
この5つの経営管理者の仕事を常に意識した上で動きます。
あるいは、ある経営管理者の能力を評価する時、この5つの視点でどれが強いか弱いか、今はどのレベルなのかということを経営管理者やマネージャーの方を判断する時に参考となる要素かと思っています。
そして、これら5つの仕事をする上で必要な道具は「話す言葉・書く言葉・数字の言葉」だとドラッガーは言っています。
いずれも大事です。
やはりコミュニケーションスキルというのもありますが、言葉によってマネジメントを行うのだということを言っています。
そして、話す言葉・書く言葉・数字の言葉をきちんと使えなければ、5つの仕事ができません。
この3つの道具を使う前提として、その経営管理者の能力が問われているのは「聞き・読み・書き・話す能力」です。
人の話を聞いて、きちんと報告を読んで、自分の言葉で書いて喋るといった伝達の能力がしっかりなければ、この5つの仕事も全うできないだろうという話です。
言っていることはごくシンプルですが、非常に的を射ています。
この5つの観点から経営管理者のレベルが分かってきます。
そしてこのレベルの違いが企業同士の業績の差かもしれません。
それぞれの組織の中にいる経営管理者の5つの仕事のレベルによっても業績が変わってくるのではないかという気がします。
ぜひ、この5つの観点から常に自分や周りを意識して行動していくと良いという気がします。
今は色々大変な時代ですが、変化の激しい世の中のマネージャーのみなさん、経営管理を行っているみなさん、ビジネスマンのみなさん、頑張っていきましょう。
私はいつもあなたの成功・スキルアップを心から応援しております。
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。