『学習』の前半は『学ぶ』ということ

今回の「前を向いて歩こう」は、簿記の勉強に限らず、色々な習い事や仕事を覚えるプロセスについて考える時のヒントになるようなお話をしたいと思います。
 
よく私たちは「学習」という言葉を使います。
英語で言うと“Study”と“Learning”を合わせたものというイメージがありますが、「学」+「習」で学習と言います。

「習学」とは言いません。
前半が「学」で、後半が「習」になります。
「習学」という言い方は聞いたことがないと思います。
 
なぜ「学」が先に来るのか考えてみると面白いと思いますが、「学んで習う」のです。
「習って学ぶ」という言い方はしません。
実はこれには意味があります。
 
なぜ先に学ぶのかというと、「学」という字をよく見てみると分かりますが、上に3つ付くのは簡略化されたもので、元々は「學」という少し難しい字です。
なぜこのような難しい字になっているのかというと、これには意味があります。
 
まず、この字は3つのパーツに分けることができます。
上の「××」と両側の「門」のようなものは「両手」を表しています。
 
つまり、上から両手で引き上げるというイメージです。
さらに、その下には冠がありますが、これは「建物(の屋根)」に相当します。
そして、その冠の下に子がいます。
 
従って、上から「手」のイメージと「建物」のイメージと「子ども」がいるというイメージです。
上から手を掛けて引き上げるイメージです。
 
「××」というのは、音としたらコウという言い方をすると思います。
易経で言うと爻(コウ)で、交わるという字を連想させます。
 
手があって、建物があって、その下に子どもがいる。
つまり、未熟な人を上から手を掛けて引き上げるイメージになります。
 
まだまだ成熟していない子どもたちを教え育てるための交流の場が学校です。
子どもというのは何も分からないので、まずは上から手を掛けて色々と引き上げてあげなければいけません。
 
つまり「手取り足取り」手を掛けなければいけません。
このような状態なので、何も分かっていない相手に対して手取り足取り真似をさせるというイメージがあります。
 
学ぶということは、私たちは「子ども」の状態なので、未熟なのです。
ですから、あまりあれこれと深く考えずに、まずは先生が教えたことを謙虚に素直に真似るということが「学」です。
 
とするならば、中途半端に自分の不十分な知識を持ち出して先生の教えていることに「あの教え方はどうだ」や「これは違うのではないか」というような文句を付けている段階ではないのです。
 
これが「学ぶ」ということなのです。
私の経験から言うと、「学」という言葉はその先生がベストと思うことをやっているのだから、まずは先生の教えることを四の五の言わずに素直に呑み込みなさいということです。
 
「あの先生の教え方はよく分からない」などと上から目線で言っている場合ではないのです。
 
まずは受け入れて、やってみて駄目ならば後で考えれば良いので、教わって何も実行しないうちからあれこれ批判をするのはおかしいです。
 
よく「先生に対するアンケート評価」というものがあります。
あれが悪いとは言いませんが、あまりやり過ぎると「学ぶ」という意味が分からなくなってしまいます。
 
生徒はあくまでも生徒です。
先生の教えたことを素直に真似ることが「学」という言葉で、上から手で引き上げてくれているのだから、その手に対して文句を言っている場合ではありません。
 
本当の「学ぶ」というのはサービス業ではありません。
真剣に生きるための知恵を真似ることが大事なのです。
 
真似る立場の人間が上から手を掛けてくれる相手に対してああだこうだ文句を付けるのは、おこがましいのです。
 
教わる立場なのですから、まずは素直に真似てください。
私もこれまで20年以上講師をしていますが、伸びる生徒は素直に真似ています。
 
それに対して「この教え方はどうだこうだ」と言ってくる人は、言っても構いませんが成長は遅いです。
批判的精神は基礎力が身に付いてからです。
 
ここで言っている「子」というのは基礎力が無い状態です。
基礎力すらないのですから、「まずは四の五の言わずに言ったとおりにやりなさい」というのが「学ぶ」の本当の意味だと私は考えています。
 
まずは謙虚に学んで真似ることが学習の「学」の前段階です。
学ぶ立場をしっかりとわきまえてください。
 
大事な知恵を授かっているのですから、まずは文句を言わずに真似をしてください。
これは簿記の勉強に限らず、色々な勉強に言えることです。
 
私自身もギターを習っているので生徒になる立場があります。
「ちょっと分からないな」と思うこともありますが、まずは先生の言うことを真似てから考えましょう。
 
「納得するまで動かない」というのは「学」ではありません。
まだ選べる段階ではないのですから、自分のやりやすい・楽しい方ばかり選んではいけません。
 
時には厳しいこともあるかもしれませんが、それも受け入れるのが学ぶ者の立場です。
色々と考えさせられますが、「学」という言葉を心に留めて日々頑張りましょう。
 
私も頑張りますので、あなたも頑張ってください。
私はいつもあなたの成功・スキルアップを心から応援しております。
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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