売上の「値引・戻り」と「割引」(簿記2級)
今回は「売上の値引・戻りと割引」についてお話してみたいと思います。
今回は日商簿記2級レベルのお話です。
今回は2つの問題文を用意しました。
①売上げた商品の品質不良や破損などの原因で、100円の値引または返品があり、掛け代金から引いた。
②売掛金を期日より早く当座預金に入金してもらったので、50,000円の1%を割り引いた。
以上です。
①についてですが、値引でも返品でもどちらでも売上の取り消しになります。
「掛け代金」というのは売上の掛け代金なので「売掛金」と言います。
ちなみに、仕入の掛け代金の場合は「買掛金」となります。
ここで改めて柴山式総勘定元帳の説明をしますが、左上が資産エリア、右上は負債エリア、右の真ん中が純資産エリア、右下が収益エリア、左下が費用エリアとなっていて、それぞれのエリアに応じた勘定科目を記入していきます。
②ですが、売掛金を期日よりも早く回収でき資金繰りが助かったので、そのお礼として50,000円の掛け代金のうち1%、すなわち50,000×0.01=500の割引をしました。
これは売上の取り消しではなくて、お礼として500の費用を払ったと考えます。
では仕訳を見ていきます。
①ですが、売上(収益)のマイナスとなるので、(借方)売上100 (貸方)売掛金100となります。
ちなみに返品の原因がもう1つあって、「品違い」といって、たとえばボールペンを頼んだのに実際に来たものは万年筆や鉛筆など違うものが来た場合に返品した場合などがあります。
その他にも、簿記2級レベルの話で「割戻し」というものがあります。
これは、たくさん買ってくれたお礼として代金を一部減らすことですが、これは売上のマイナスです。
値引と似ていますが、値引はクレームなどの悪いイメージで引くのに対して、割戻しはお礼の意味合いが強いです。
②についてですが、海外ではいろいろなやり方がありますが、現在の日本の会計ルールでは売上のマイナスとはせずに、費用と考えます。
財務費用と言いますが、つまり資金繰りを助けてくれた「支払利息」のような費用と考えます。
勘定科目は「売上割引」を使います。
「売上割引」というのは「売上」とついているので売上の仲間なのかと混乱してしまうかもしれませんが、費用となります。
「売上割引」は損益計算書の営業外費用という区分で表示します。
ですので、これは売上から引いたら間違いになります。
②の事例は、50,000の1%、すなわち500円が売上割引となって、残り49,500円は当座預金に入ったというイメージになります。
仕訳は(借方)当座預金49,500 売上割引500 (貸方)売掛金50,000となります。
売上割引というのはきちんと覚えていないと本番ではまごついてしまいます。
このような基本的な部分はスムーズに解けるように、問題文のキーワードを見てすぐに処理できるようになることが大事です。
基本的な処理を早く行えるようになることが、本番でイージーミスをしないための一番の予防策です。
売上値引と売上割引は間違えやすいので注意してください。
以上で今回の講義を終わりにしたいと思います。
どうもお疲れさまでした。