仕入割引の処理(商業簿記2級)
今回は日商簿記検定2級レベルのお話をしたいと思います。
テーマは「仕入の値引・戻しと割引」です。
まずは取引例をみてみましょう。
①商品200円を返品し、掛け代金から控除した。
②買掛金10,000円を期日より前に支払い、割引料500円を差し引いた残額の小切手を振り出した。
以上です。
①については掛け代金から控除するので、買掛金のマイナスとなります。
そして仕入の戻しは仕入のマイナスとなります。
品質不良や破損や品違いなどの理由で返品した場合は仕入戻しとなります。
仕訳は(借方)買掛金200 (貸方)仕入200となります。
柴山総勘定元帳に転記すると、費用エリアの仕入勘定の右側に200と書いて、負債エリアの買掛金勘定の左側に200を書きます。
②ですが、割引料500円を引いてもらったというのは、この分儲かったと考えます。
本来は買掛金は10,000円ですから、買掛金を10,000円マイナスします。
負債のマイナスは左側に記入します。
そして割引料500円というのは儲けと考えて、「仕入割引」という勘定を使います。
仕入割引は「財務収益」という言い方もします。
仕入代金を割り引いてくれた儲け(収益)となります。
この儲けの500円を差し引いた9,500円について小切手を振り出します。
小切手の振出は当座預金勘定を使います。
仕訳は(借方)買掛金10,000 (貸方)当座預金9,500 仕入割引500となります。
柴山総勘定元帳に転記をすると、負債エリアの買掛金勘定の左側に10,000と書き、資産エリアにある当座預金勘定の右側に9,500と書き、収益エリアにある仕入割引勘定の右側に500と書きます。
収益の場合は右側がプラスになります。
このように、柴山式総勘定元帳の記入と仕訳を見比べてみると、取引の全体像が分かると思います。
簿記3級の復習になりますが、小切手の振出は当座預金のマイナスになるということに注意してください。
このようなイメージを持っていただければいいでしょう。
仕入割引というのは、少し前にお話をした売上割引の反対です。
代金を早めに支払った(受け取った)ことによる一部減額は、財務収益(財務費用)と言います。
売上割引を行った場合は、代金をまけてあげることにより少し損をするため、費用となります。
今回は仕入割引ということで支払いをまけてもらったので、収益となって仕訳やT字勘定の右側に記入するということを知っておいてください。
①の仕訳は簿記3級で、②の仕訳は簿記2級の内容なので、ぜひこれらを覚えておいてください。
仕入割引は損益計算書(P/L)上では「営業外収益」という項目に属します。
前回学習した売上割引は、損益計算書上で「営業外費用」という項目に属して、経常利益という利益の計算過程に入ってきます。
仕入割引は収益になります。
「仕入」という言葉に惑わされないように注意してください。
「仕入を割り引いてもらったから、儲かった」と考えてください。
ぜひご参考になさってください。
それでは今回のお話を終わりにしたいと思います。
ここまでご視聴いただきましてありがとうございました。
お疲れさまでした。