シャープ、鴻海精密工業が買収か?
台湾の鴻海(ほんはい)精密工業が7000億円と、産業革新機構を上回る支援策を提案し、シャープ側が、この案に傾いているとの報道が、この日の日経1面でなされました。
新聞報道を見ると、これまでは産業革新機構による3000億円の出資と2000億円の融資枠設定で、再建案を採択する予定でした。
しかし、鴻海が出したアイディアは、さらにシャープにとっては魅力的に映るものだったようです。
鴻海は、7000億円の支援に加え、液晶パネルなどシャープの主力事業を一体運営することや、従業員の雇用を維持することを提案しています。
日経の新聞報道について、2月5日午前9時の時点では、ホームページにおけるシャープ側の発表はないようです。
ところで、革新機構案と鴻海案を比較すると、支援額の規模のほかに、たとえば、次のような違いが見られます。
<経営陣の処遇>
・革新機構案では社長ら3首脳退任
・鴻海案では現経営陣を維持
<リストラに関して>
・革新機構案では成長性の乏しい事業の資産売却を行う
・鴻海案では従業員を維持
経営陣にとっては、この文面を見る限りでは、鴻海案の方が魅力的に映るかもしれません。
いっぽう、鴻海の立場では、これまでスマホなどの受注で急成長してきましたが、今後は新しい成長分野の開拓も必要とされています。
以前、2012年3月にいちど資本・業務提携を発表していますが、そのときは、いったん実現しなかったことがありますね。
鴻海がシャープの株式を過半数取得することになれば、親子関係となり、シャープは鴻海の連結子会社として、グループ決算に取り込まれます。
シャープの2016年3月期の予想売上高は2兆7000億円ですから、鴻海の連結売上高約16兆円(日経3面より。2015年12月期)の規模と合わせ、単純合算ベースで想像すると、連結売上高が、18兆円くらいになるでしょうか。
このニュースの後、(2月5日午前9時過ぎ)に、ヤフー!ファイナンスで、シャープの株価を確認したところ、「対抗馬」と目されてきた鴻海の買収可能性が高まったことで、シャープは売り先行で相場が始まったようです。
前日比6円マイナスの154円になっていました。
この後、シャープの株価がどう動くか、注目していきたいですね。
(日経16*2*5*1)