商売と道徳は、平和の両輪です

前を向いて歩こう。
今回のテーマは『商売と道徳は、平和の両輪』というテーマでお話をしてみたいと思います。

渋沢栄一という人がいます。
ご存じの方も多いと思いますが、500近い事業の設立に関与した、幕末から明治にかけて大変大きな業績を残された方です。

『論語と算盤』という本がありまして、これは現代語訳で、新書版で守屋淳さんが現代語訳された本で、非常に読みやすいです。

もう少し原文に近いものとして、この『論語と算盤』これは角川ソフィア文庫です。
私はこれを読み比べているのですが、多くの方にお勧めな、さらっと読めるのは現代語訳版です。

実は、私が少し前から興味があったのは、幕末から明治維新にかけての経済的な状況や貨幣の発行で、日本円が誕生したのは明治維新の頃なのです。

それまでは藩札というものがあって、それが300ぐらい藩でお金が流通していたのですが、それが円に統一されたわけです。

一両二両といったものが円になったということです。
そういう経緯があって、貨幣の誕生にすごく大きなドラマがあるということに気付いたのですが、その前に、私は少し興味があって、坂本龍馬です。

こういった本をいろいろ読んでいますが、坂本龍馬と会計の接点は結構あるのです。
それをちょっとしたエッセイにできないかと思っています。

『坂本龍馬の真実』とか、いろいろ本を読んで、7、8冊ぐらいです。
いずれは坂本龍馬だけではなくて、関連する日本の近代史みたいなところについては、もう少し10冊20冊本を読んで、自分なりに話をできるようにしたいと思っております。

元々、坂本龍馬と会計について興味を持ったひとつのきっかけが、日本公認会計士協会がポスターを作って面白いことをやっていまして、「これより天下のことを知る時は、会計もっとも大事なり」これは坂本龍馬の言葉とされています。

土佐藩士の佐々木高行という方が坂本龍馬との日記のなかで坂本龍馬が言っていることなのです。

坂本龍馬は、1867年に近江屋事件で暗殺されてしまいます。
11月15日、33歳の誕生日です。
殺されてしまうその年の直前に、いろいろ手紙を書きました。

たとえば、後藤象二郎に宛てた手紙のなかでは、幕末の維新が終わってからですけど、これからの新しい世の中は財務が大事、財政担当には会計に精通している福井藩士の三岡八郎という人がいます。

いずれは東京府知事になりますが、この方を強く推挙しました。
三岡八郎は円の発行に関与して紆余曲折あるのですが、それと大隈重信なのです、日本円を発行するときに大きな役割を果たすのが。

これはこれで、ドラマになって一つの話になるぐらいですけれど、この前後で、すでに、明治維新になる直前に、坂本龍馬も会計が大事だと言っているということです。

坂本龍馬と会計は意外な組合せで面白いです。
幕末のリーダー、武闘派というか、剣の達人でもありますし、そういったイメージが強いですが、実は会計のことも言っているということです。

坂本龍馬と同時代に福沢諭吉がいます。
たしか同じ年ぐらいに生まれています。
その5年後ぐらいに生まれたのが渋沢栄一、この方はすごい方です。

500近い事業を立ち上げて、私なんか足下にも及ばないような偉人ですけれど、渋沢栄一は元々政治をやっていた官僚の方で、幕府の立場でやっていました。

最初は、尊皇攘夷と本に書いてありますが、その後、幕府の立場いろいろやったと、海外に行ってです。

帰ってきたら明治維新になっていたという興味深い経緯があるのですが、その後に商売の道に行くわけです。
そのときに『論語と算盤』という、名著です。

知っている方も多いと思いますが、私は原文に近いものと現代語訳版を読み比べしているのですが、論語と算盤という言葉がすごく面白いので、こういったテーマをもう一回、2016年に考えてみたいと思っています。

当面はこの日本の近代史は興味があって、この1年ぐらいは改めて勉強しようかと思っています。
こういったところも私の講演やセミナーの肥やしになるのではないのかと思っています。

そのなかで今日はテーマとして一つ申し上げたいのは、論語と算盤に通じますが、商売ということと道徳ということをきちんと自分なりに意識して定義できれば、これは、平和な世の中の二つの大事な要素ではないかと思います。

この二つがきちんと回っていて人の内面にあれば、そんなに世の中に争いやギスギスしたことはないのではないかと思います。

今、世の中はイスラム国や中東情勢やパリでのテロなど、大変です。
日本もどうだこうだといって煽る人がいますけど、ちょっと待ってください。

煽る前に、まず原点にかえろうということで、私は会計士であり中小企業の社長なので、やはり商売です。

商売について勘違いしやすいのは、人を押しのけてでも儲けてやろうという側面もありますが、そこばかり強調されると、まさにギスギスします。

競争は必要です、しかし競争はあくまで途中なのです。
本当に大事なのは何かというと、世の中のすべての人が衣食住が足りている状態にすることが商売なのです。
衣食住の供給なのです。

商売というのは衣食住を供給することなのです。
これは松下幸之助の水道理論と同じですけど、衣食住を供給するのが本来の商売の役割なのです。

これは国や政治ではなかなかできないです。
商売というのは供給するわけであって、ここさえ間違えなければ商売はそんなに踏み外さないです。

そうすると人を騙してでも儲けてやろうとか楽をして儲けようという発想は出ないです。
商売の大きな目的は何かというと、公共的な目的、本当の目的は、豊かにすることです。

豊かにするとはどういうことかというと、着るもの、食べるもの、住むところがちゃんとしていれば人間そんなに心が荒まないです。

「貧すれば鈍する」という言葉があります。
商売の基本とはこれなのです。

生活に必要な着るもの食べるもの住むものをきちんと世の中の隅々まで行き渡らせましょう、というのが商売の目的と考えれば、すごく商売が大事なのです。

豊かにするというのは、政治だけでは無理なのです。
政治というのはあくまで人間と人間の調整ですから、補完的な機能なのです。
ベースづくりです。

ベースはつくれるけれど、食べ物は役所で作りますか?
洋服を区役所で作るのですか?
住むところを建てられるのですか?

違います。
建てるのは商売人なのです。

衣食住が足りている状態にする。
供給の役割を負っているのが商売です。
そうすれば儲けというのは後から付いてくるんです。

この精神で商売をしたら世の中はそんなにギスギスしないです。
商売にも道徳があるのです。
ここを最近忘れています。

楽して儲けるという発想はまずいです。
実を言うと違うのです。

衣食住が足りている状態にするために効率的にするのはOKです。
自分だけが稼ぐために楽をしようという発想が最近多すぎるのです。

それはまずいです。
それがいさかいの元です。
競争はやってもいい、でも争いはだめです。

争いというのは人を押しのけても、ズルをしてでも何とかしようとします。
敢えて言います、東芝の不正会計もここを忘れたと私は思っています。

それからもう一つは道徳です。
これは何かというと、人間の内面で、まずは自立していることです。

人に寄りかかるような他人依存の気持ちだと世の中は成り立ちません。
何でも人のせいにするということです。

自分に責任があることをきちんと自覚しなさいということです。
自立です。
自立した人間が協力した世の中は良いです。

自立しないでお互いに寄りかかることを他人依存と言うのです。
だから自立した上で協力します。

第一義的にはまず自立なのです。
まず自立しなさいと思います。
自立をしてから協力です。

自立の精神が無い人が協力をすると相手に寄りかかります。
人間誰でも18歳19歳になれば自我がでてきます。
自分の考えをしっかりもって協調しましょう。

この心があれば道徳心というのは他人を思いやるわけだから上手くいきます。
道徳心のない商売というのは、他を押しのける、単なる争いです。

衣食住が足りないといくら自立しようと思っても、食べるものに困ると人間荒んできますから、両方なのです。

したがって、商売と道徳は平和の両輪です。
商売というのは儲けることではありません。
儲けることはあくまで副産物です。

大事なのは衣食住が足りている状態にすることです。
お互いにそういった気持ちをもっていれば世の中が豊かになります。

私がキッズ簿記なんかで教えたいのはこういうことなのです。
したがって、商売と道徳は相反するものではなくて、お金を扱うのは野心ではありません。

お金は結果です。
お金があると潤滑油として衣食住が足りると思えばいいです。

商売を考えることは卑しいことではないです。
商売がなければ豊かな生活は送れません。

それと同時に、道徳心がなければ、自立、協調がなければ人を押しのけることになってしまうので、平和はやってこないです。

平和のためには商売と道徳が両輪であると、論語という学問で養うことができるとおっしゃっているのが渋沢栄一さんです。
『論語と算盤』良かったら読んでみてください。

今後は論語と算盤を使ったセミナーをやってみても良いなと思っています。
私は道徳を語るほど偉い人間ではありません。

今の私が50歳になって自分なりに得ているもの、自分の考えている自立とは何か、協調とは何かといった心構えと、商売とを結びつけたテーマというのは、昨今、技術や効率ばかり先にいっていますが、基本に立ち返って、平和や幸せであるのは何かということから商売を考えます。

これが、もしかしたら、儲けるだけではなくて、自分の心の平穏であるとか、「幸せだな」と思える満足感が得られる、そういったことに、案外近道かもしれません。

うまく儲けることだけが人生ではないということをお話してみたいと思っていました。
偉そうに言って申しわけありませんが、商売と道徳は決して相反するものではありません。

両立するものです。
これが両立することによって平和な状態が来るのではないかと思っております。
年末に向けてこんな話をたまにはしてみてもいいかと思いました。

私はいつもあなたの成功、幸せを心から応援しております。
ここまでご覧いただきまして誠にありがとうございました。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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