アークス、ポイント引当金繰入で約10億円減益
北海道と東北で食品スーパーを運営するアークスが、4月1日に連結業績予想を下方修正し、2015年2月期の連結経常利益が前期比3%減の142億5千万円となる見込みだと発表しました。
※プレスリリース→ http://www.arcs-g.co.jp/ir/financial/press/
当初の予想は次のとおりでした。
売上高 4,800億円
営業利益 139億円
経常利益 155億円
当期純利益100億円
修正後の予想は次のようになります。
売上高 4,703億円
営業利益 127億円
経常利益 142.5億円
当期純利益 94億円
修正の理由は、つぎの2つのようです。
1.株式会社ベルプラスが平成26年9月にグループ入りしたものの、既存店の売上高が予想を下回り98.7%となったことなどにより、売上高が下方修正になった。
2.ポイント引当金繰入額が増加した。
(1)引当金の見積方法を変更した。
(2)東北地方において会員数が大幅に増加している。
ここで、2番目の理由となっているポイント引当金について、説明いたします。
ポイント引当金というのは、決算日時点でポイントを保有しているお客様が、次期以降にポイントを使用することで発生するコストを見積もって、当期の販売費用として計上する際に仕訳の貸方(右側)に出てくる負債項目です。
一種の「費用の未払額」です。
(取引例)
当期の決算(2月末)において、当期から会員制をスタートしたことにより、当社の会員に付与しているポイントに対し、ポイント使用実績から予想される費用の発生額10億円をポイント引当金として繰り入れた。
ポイントの有効期間は1年である。
(借方)ポイント引当金繰入額10億円(貸方)ポイント引当金10億円
******バランスシート
---------------------
(流動資産)***|(流動負債)
*********|**:
*********|ポイント引当金10億円
****損益計算書
-------------
売上高 ×××
:
ポイント引当金 10億円(必ずしもバランスシートの額とは一致しない)
:
このように、ポイント引当金の繰入は、営業利益・経常利益・当期純利益を減少させる要因となります。
当期については、その額が増えたという会社側の説明なのですね。
最近では、ポイントによる顧客への利益還元をする企業が増えているので、このような会計処理が上場企業の間で一般化してきています。
決算書を読むときのご参考になさってください。
(日経15*4*2*17)