国際会計基準の採用が100社を超える(日経15*3*4*1)

2013年度末に25社だった国際会計基準(IFRS)の採用企業(予定含む)が、2015年2月時点で85社に増えたそうです。

また、JXホールディングスや日本電産などの企業も導入を検討しはじめたようで、日本企業に国際会計基準の採用の流れが加速している、ということでしょうか。

国際会計基準は、ヨーロッパを中心に普及し、世界で100カ国以上が採用している会計ルールです。

国際会計基準審議会(IASB)が、世界共通の会計基準を目指して作成しているもので、2005年からEU域内の上場企業では強制適用となっています。

従来からよく言われている、日本の会計基準と国際会計基準の違いとして、のれんの評価方法があります。

M&Aである会社を買収したとき、支払った金銭などの対価が、買収先の企業の資本(おおむね純資産)を上回ると、その差額をのれんといって、プレミアムの一種として無形固定資産に計上します。

(例)
A社はB社のX事業部(諸資産700、諸負債400)を買収し、現金450を支払った。

(仕訳例)
(借方) 諸資産 700 (貸方) 諸負債 400
     のれん 150     現 金450

このように、B社の純資産300(700-400)に対して、A社は450という現金を支払ったので、超過する150部分をのれん(買収に際して評価したプレミアム部分)としてバランスシートに計上します。

この、のれんの扱いがその後、日本基準と国際会計基準で異なります。
日本基準では、現状、20年以内の期間で一定額ずつを減額して評価するという償却の会計手法を用います。

日本基準では、いずれのれんをゼロになるよう、規則的に価値を減らして損益計算書の費用に振り替えます。

しかし、国際会計基準では、のれんを毎年、規則的に償却することはせず、毎期末の時点、取得した時の価値よりも大きく下がったと判断された時に限ってのれん代を減額するという手法(減損会計)をとります。

したがって、よほどのことがなければ、一旦取得したのれんを減額して費用化する、という必要がなくなります。

M&Aが日常化した昨今では、この「のれん」の金額がかなり大きくなっており、それを費用処理するか据え置くかでも、企業の見かけ上の業績は大きく変わってきます。

M&Aをガンガンやる会社にとっては、国際会計基準の方が、のれん償却がないだけ、利益は大きく見えます。

そういった背景も、見え隠れしますね。

ほかにも国際会計基準と日本基準の違いはありますが、のれんの扱いは定番の大型トピックなのですね。

今後も、上場している日本企業の国際会計基準の採用が加速するかどうかは、なんともいえません。

ただ、海外への展開を積極的におこなっている企業の方が、可能性が高いのかな、という気がしています。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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