セイコーHD、子会社が持分法適用への移行で減収?(日経15*1*20*15)

日経新聞1月20日朝刊の15面です。

セイコーホールディングスの2014年4月~12月(第3四半期)における連結営業利益が前年同期比で横ばいの47億円前後となる見込みだそうです。

その主な要因として、消費増税と広告宣伝費の増加という2つが挙げられています。

ちなみに、売上高は前年同期比で4%減少の760億円程度と見られています。

ここで、減収となる原因の一つとしてあげられているのが、メガネレンズ販売子会社が持分法適用に移行したことによる影響です。

ここで、セイコーHDの有価証券報告書(2014年3月期)を確認したところ、どうやら次の通り、子会社株式の売却による事業分離を行っていたようです。

2013年度中に実施した子会社株式の売却

売却先:HOYA株式会社(HOYA)
子会社:セイコーオプティカルプロダクツ株式会社(SOP)
事業内容:メガネレンズ・フレーム、その他眼鏡関連商品の企画および国内外への販売

譲渡日と譲渡割合:(1)2013/6/01(30%)
         (2)2014/3/31(20%)

以上のとおり、100%子会社の株式を昨年度中に2度にわたって売却し、前期末時点で50%の持ち株比率に落としています。

これにより、子会社から関連会社に変更となります。

子会社ならば、原則としてB/Sの資産・負債とP/Lの売上・費用をすべて合算するので、子会社の売上高がそのまま連結売上高に加算されます(ただし、グループ間の内部利益は除外します)。

これが、関連会社になると、持分法といって、特殊な株式の評価を連結上で行うのみで、関連会社の資産・負債や売上・費用を合算することはしません。

ここで、SOPの2014年3月期における売上高は25,359百万円であることから、これを連結売上高に合算するかしないかで、当然のことながら、253億円もの売り上げ規模の差が生じます。

ちなみに、細かいことを言うと、2014年3月期において、セイコーHDは、第1四半期(2013/6)、第2四半期(2013/9)および第3四半期(2013/12)まではSOPを子会社としていたので、その売上高を合算した連結損益計算書を作成しています。

そして、第4四半期となる2014年3月期のみ、連結売上高からはずし、関連会社となったので持分法によるSOPの株式評価に変更しているのですね。

だから、年度でみたら2014年3月末も2015年3月末もSOPを外した連結売上高の比較ができますが、第3四半期(2015/12月期)までは、前年同期の連結売上高にSOPがはいっているため、その分は確実に売上高が表面上減少する要因となる、という趣旨で新聞記事は書かれていると想像できるのですね。

このような影響は、第1四半期の業績や第2四半期の業績にもおなじく及んでいると考えられます。

以上、子会社から関連会社に変化することで、連結売上高が見かけ上減少することがある、というお話しでした。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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