決算整理仕訳 【知識ゼロからの会計学入門016】

知識ゼロからの会計学入門、第16回「決算整理仕訳」今回も楽しく会計学の基礎知識を学んでいきましょう。
まずは簿記の一巡のおさらいです。

簿記の一巡とは、一定期間における簿記の全体の取引の流れを言います。
「期首」というのは会計期間のスタートで、「期末」というのは会計期間の終わりで「決算日」とも言います。

例えば4月1日が期首で3月31日を期末とするならば、1年間のうちに仕訳帳と総勘定元帳に期中取引の仕訳・転記をします。

期末まで1年間仕訳・転記をして、そこから試算表というものをつくります。
「T/B」というのは Trial Balance の略で、試算表を意味しています。
1年間の取引をただダラダラ書くだけではなく、試算表という1枚の表に集計します。

しかし、この試算表は間違いを含んでいるので、前半で決算整理転記というのがあります。
誤りなどを決算整理で修正・訂正をします。
これが終わると、決算整理後試算表といって、確定数値が出ます。

今回は、決算整理仕訳と、決算整理後の試算表の作成を行います。
この後には決算振替仕訳というものがありますが、これは帳簿の締め切りと来年への繰越です。

これと同時に、外部公表用の財務諸表をつくります。
それでは今回のテーマである、決算整理仕訳と決算整理後試算表の作成を見ていきます。
まず、前回の事例をもう一度確認しましょう。

1. 1月1日(期首) 現金1,000万円の資本金で設立した。
2. 1月1日 銀行から現金2,000万円を借り入れた。
3. 1月1日 自動車を取得し、現金150万円を支払った。
4. 4月1日 商品2,400万円を仕入、現金を支払った。
5. 9月1日 上記の商品を現金4,000万円で売り上げた。
6. 12月31日(期末) 決算手続を行った。

(決算手続: ①決算整理前残高試算表の作成 ②決算整理仕訳 ③決算整理後残高試算表の作成 ④損益振替仕訳 ⑤資本振替仕訳 ⑥帳簿の締切財務諸表の作成 ⑦精算表の作成)

1の仕訳は(借方)現金1,000万 (貸方)資本金1,000万となります。
2の仕訳は(借方)現金2,000万 (貸方)借入金2,000万となります。

3の仕訳は(借方)車両運搬具150万 (貸方)現金150万となります。
4の仕訳は(借方)仕入2,400万 (貸方)現金2,400万となります。
5の仕訳は(借方)現金4,000万 (貸方)売上4,000万となります。

そして前回は決算整理前の合計残高試算表までつくりました。
これを受けて、今回は「②決算整理仕訳」と「③決算整理後(合計)残高試算表」をつくります。

総勘定元帳は柴山式になっていますが、真ん中にTの字を書いて、右上にさらに横線を1つ引いて、左上が資産エリア、右上が負債エリア、右真ん中が純資産エリア、右下が収益エリア、左下が費用エリアとなっています。

これを元に決算整理前合計残高試算表をつくりました。
現金勘定は借方が①1,000万 ②2,000万 ⑤4,000万で合計7,000万、貸方が③150万 ④2,400万で合計2,550万となります。

車両運搬具は借方が③150万増えています。
借入金は貸方に②2,000万増えています。
資本金は貸方に①1,000万増えています。

売上は貸方に⑤4,000万発生しています。
仕入は借方に④2,400万発生しています。

今回は車両運搬具に注目します。
期首に買ったときには150万でしたが、これは新品です。

新品の金額は150万ですが、1年経って古くなった今、これを150万で評価していいのかという問題があります。
中古車市場では価格は下がるはずです。

つまり価値が減っているということですが、減った分を計算して帳簿に反映させます。
自動車は固定資産と呼ばれますが、固定資産は1年間使うことによって価値が下がります。
1年間における価値の減少を計算する手続きを「減価償却」といいます。

どんな企業でも車やパソコンなどの設備を買っているケースが多いですが、設備は年と共にだんだん価値が下がっていくと考えて、減価償却という形で費用にしていきます。

今回の決算整理事項を確認します。
車両運搬具…機種に購入、取得原価150万円、耐用年数6年、残存価格0円、定額法で減価償却費を計算し直接法で仕訳を行う。

「耐用年数」というのは、使用に耐えられる年数のことで、6年後には0円になるということです。
6年かけて価値が下がると思ってください。

「定額法」というのは毎年一定の金額ずつ価値を減らしていく方法です。
150万円のものを6年かけて価値を減らしていくということは、毎年25万円ずつ価値が減っていくと考えてください。

「直接法」というのは、車両運搬具という項目の金額を直接減らすということです。
「間接法」というやり方もありますが、今回は直接法で仕訳を行います。

減価償却の仕訳は⑥(借方)減価償却費25 (貸方)車両運搬具25 となります。
「減価償却費」というのは、1年における固定資産の価値の減少額です。

減価償却費の計算方法は(取得原価-残存価額)÷耐用年数で求めます。
今回のケースでは(150万-0)÷6=25万円となります。

減価償却費という勘定科目を使って、車両運搬具という固定資産を減らします。
この仕訳を総勘定元帳へ転記すると、車両運搬具のTの字の貸方に⑥25万が入り、費用エリアに減価償却費のTの字借方に⑥25万が入ります。

次に、これを決算整理後の合計残高試算表で表現してみます。
車両運搬具の貸方に25万が増えて、借方150万との差し引きで借方残高は125万になりました。

そして、それと対応する形で「減価償却費」という新たな項目が出てきて、借方に25万の費用を計上しました。

そうすると、利益の計算は、売上の4,000から仕入の2,400を引いて1,600万ですが、さらに減価償却費の25を引くと1,575万になりました。

試算表のトータルの数字を見ると、借方残高は7,000、借方合計は9,575、貸方合計は9,575、貸方残高は7,000となりました。

「貸借平均の原理」により、かならず貸借の数字は一致します。
以上が今回のお話です。

次回は「損益振替」についてお話をしたいと思います。
ここまでくると日商簿記検定3級レベルでは高度な内容になってきますが、がんばってここを乗り越えてください。

このあたりの話がわかってくると、大学の一般教養の会計学や簿記3級の勉強や会社や個人商店の決算にも役に立ちますので、マスターしてください。

もちろん、分からないところがあったら気にせずに、分かったつもりで先に進んで構いません。
この動画を通じてあなたが少しでも簿記・会計に親しみが持てればと思います。

次回もがんばりましょう。
お疲れさまでした。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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