損益計算書等式と利益の計算 【知識ゼロからの会計学入門014】

知識ゼロからの会計学入門、第14回、「損益計算書等式と利益計算の方法」について勉強していきたいと思います。

前回に引き続き、利益計算の一般式について見ていきます。
前回は貸借対照表等式という、貸借対照表の借方と貸方の関係、あるいは純資産等式や資本等式というものがありました。

これは、貸借対照表における資産・負債・純資産の関係を2種類の式で表現しました。
そして、貸借対照表と同様に損益計算書にも式が存在します。

損益計算書に関する利益の基本計算式を学んでいきましょう。
まずは貸借対照表と損益計算書の関係を改めて確認したいと思います。

たとえば、期首の貸借対照表は、総資産が2,000万円で負債が500万円で、差し引き純資産が1,500万円だったとします。

その場合、資産2,000万円-負債500万円=純資産1,500万円という計算を資本等式(純資産等式)といいました。

純資産等式の考え方で、1年間の純資産の増加・減少を見ていきましょう。
期末の時点における財務状況は、資本金1,500万円は変わりませんが、利益剰余金という利益の蓄積が320万円発生しました。

期首の時点では利益剰余金という項目は書いていませんでした。
1年で320万増えた純資産(株主の持分)に対して、その内容の説明をするのが損益計算書です。

利益剰余金の金額の具体的な変動内容を説明する補足資料として損益計算書があるという理解で結構です。
他にも色々な見方がありますが、とりあえずこのように見ておくと分かりやすいです。

利益剰余金の増加分320万を詳しく計算したものが損益計算書で、貸方に売上高2,500、受取手数料で35万円、合計で2,535万の儲けがありましたが、その一方で借方は費用を納めています。

左側は売上原価1,750万円、営業費用420万円、お金を借りたことによる支払利息45万円の3種類の費用で、売上と受取手数料の合計2,535万円から売上原価の1,750万と営業費用の420万と支払利息の45万を引いた320万円が当期純利益となります。

この金額がそのまま貸借対照表の利益剰余金に組み込まれます。
損益計算書の当期純利益は、期末の貸借対照表の当期の利益の増加分に組み込まれます。

このような関係があります。
貸借対照表の利益剰余金は損益計算書の当期純利益から組み込まれるというイメージを見てほしいのです。

色々な見方がありますが、損益計算書というのは貸借対照表による1年間の株主の持分(純資産の増加)に関する一部の説明をしているということです。
こういったことを踏まえて、損益計算書等式という言葉について一緒に考えていきます。

損益計算書等式とは何かというと、損益計算書の借方と貸方の関係です。
借方は費用と利益を集めています。

売上原価という費用1,750万と営業費用420万と支払利息45万の合計(総費用)は2,315万円です。

これに当期純利益の320万を足すと、貸方の2,535万と一致します。
費用と当期純利益を足したものが収益と一致することを「損益計算書等式」と呼びます。

費用2,315万+当期純利益320万=収益2,535万です。
この関係は必ず成り立ちます。
費用のほうが大きいと、費用=収益+当期純損失となることもあります。

もし、儲かっていない会社で、左側の費用のほうが大きければ、この式になる場合もあります。
この基本をしっかり覚えておきましょう。

では、左側の利益を右側に移すとどうなるか、移項といいますが、「=」の左右を変えると、プラスの符号がマイナスに変わります。
収益-費用は当期純利益です。

逆に言うと、収益から費用を引くと差し引きが利益になるという関係で意識するとどうなるか。
収益-費用を左側に持っていきます。
深い意味はありません。

つまり、収益2,535万-費用2,315万で当期純利益という、考え方もあります。
収益から費用を引いて利益を求めることを損益法といいます。

色々な言葉が出てきて大変だと思いますが、「そんなものかな」という程度で結構です。
損益計算書等式というのは、まさに損益計算書のTの字の左と右の関係を明らかにしただけです。

あとは、収益から費用を引いたら利益が出るという、常識的な考え方です。
1年間の損益計算書の収益から費用を引いたら利益がでます。

損益計算書で利益を計算する計算法です。
損益計算書で利益を計算する方法が損益法です。

そして、損益計算書をT字の形で左と右のそれぞれの側面でイコールで結んだときに、損益計算書等式といいます。
損益計算書の借方と貸方の関係を表しているのが損益計算書等式といいます。

こういった言葉を会計学の最初のほうでやるのですが、あまりこういうことばかりやっているとだんだん会計学が嫌になってしまいますので、「こんなものかな」と思ってください。

ただ、こういう言葉は将来簿記検定で出る可能性が全くないわけではないですし、会計の学問という意味では、こういう部分は後々役に立ちます。

難しいと思った方は聞き流してしまって結構です。
必要な方は覚えてください。

収益から費用を引いて利益を計算する方法を損益法というので、損益計算書だけで利益を計算します。

次に、損益計算書を使わずに利益を計算する方法として「財産法」というものがあります。
損益計算書ではなく、貸借対照表でも利益が計算できるのです。

貸借対照表と損益計算書の関係でいくと、期首の貸借対照表の純資産と期末の貸借対照表の純資産の変動部分が利益になっています。

他にいくつかの条件がありますが、簡単に言うと、資本金に変化がなければだいたい1年間における純資産の増加が当期純利益と等しいケースが多いです。

例外を除いては原則として一致しますので、期首と期末の純資産を比較すれば利益が出ます。
貸借対照表でも利益は計算できるということをご理解いただきたいと思います。

今回のケースでは、期末の貸借対照表における純資産が1,500+320で1,820ですが、そこから期首の純資産額1,500を引くと320になります。

期末と期首の純資産を比較することで利益を計算する考え方を財産法といいます。
損益計算書の収益から費用を引いて利益を求める方法を損益法といいます。
この考え方は色々なところで応用が利きます。

当期首(前期末)と当期末の貸借対照表比べれば利益を計算できることもありますし、損益計算書の場合は1つの表だけで利益の計算ができます。

損益計算書で利益の計算をする損益法と、貸借対照表で利益の計算する財産法の2つの方法があるということを知っていただければと思います。
以上で今回のお話は終わりです。

次回は技術的なお話に戻って、「簿記の一巡」という、財務諸表を作成するときの前提となる、複式簿記の手続きの全体像について学習したいと思います。

今回は難しい言葉がたくさん出てきましたが、難しいと思った方は気にしないでください。
ちょっとでも興味が持てたところだけ頭の片隅に入れて、どんどん先に進んで構いません。
それではお疲れさまでした。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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