1つの知識を他にも援用しよう【がんばろう独学簿記2級014】

がんばろう日商簿記2級合格、今回は「1つの知識を他にも援用してみよう」というテーマでお話しますが、これは簿記2級だけではなく、簿記1級以上や簿記3級の学習をされている方にも参考になる勉強法です。

これはあなたが簿記学習をする上での、記憶法の応用系でもあります。
今回は簿記2級の知識を題材にしてお話ししますが、これから簿記2級の勉強をやる方は、これからこのような勉強をします。

簿記3級で勉強した有価証券は売買目的有価証券といって、途中で時価が上がったら転売するという、短期的に利益を得るために所有するものです。

もちろん、簿記2級や簿記1級でも試験にでることがありますので、売買目的有価証券は基本中の基本です。

それに加えて、簿記2級ではさらに違った所有目的の有価証券が出てきます。
これが「満期保有目的債権」で、満期まで所有してから額面金額をもらう有価証券のことです。

社債については簿記3級でも勉強していますが、満期になったら償還(返済のこと)という形で、額面の金額を返してもらえます。

たとえるならば、定期預金のようなものです。
定期預金は満期がきたら引き出せますが、それと同じです。

満期になったら返ってくるお金が社債で、元本は保証されています。
満期になるまでずっと持っている予定なので、売るつもりはありません。

このように満期まで保有する目的の債権などは、売る必要がないので、途中の決算は時価で評価しません。

途中の値段は原価(買った時の値段)を基礎として評価しますが、満期が100万円だとすると、少し割り引いて発行することが多いのです。
これはいわば、金利の上乗せです。

たとえば、5年後に100万円で返済されるものが、今は95万円で購入できるとします。
その場合、差額の5万円は利息の上乗せと考えます。

95万円を5年間かけて、96万、97万、98万、99万、100万というように、元本成長型の定期預金のように、少しずつ100万円に近づける評価をします。
これを「償却原価法」といって、ある意味で「原価償却の反対版」と言えます。

固定資産ならば、建物を買ったらどんどん価値が減っていってゼロに近づきますが、逆に、社債などの場合は、95万で買ったならば96万、97万、98万、99万、100万というように、満期に向けて近づけていきます。

償却原価法について、詳しくはお手持ちのテキストか、柴山式の簿記2級講座を受講される方は講座で勉強をしていただきたいのですが、つまり、目標とする数字に少しずつ調整していくということです。

買う側(投資家)から見れば満期保有目的債権という資産になりますが、発行する側から見れば、負債となります。

このように、買う側としては「有価証券」、発行する側は「社債」というように、「償却原価法」という1つの知識で2つの局面がマスターできます。

一般の受験生というのは、最初は余裕がないので、それぞれをバラバラな2つの知識として勉強してしまうのです。

1つの知識を他にも援用することを「応用」と言ったり、あるいは「効率化」になります。
2つの知識を2つの知識として2つの部屋に入れるのではなく、同時に1つの部屋に入れて関連づけてしまうのです。

これにより、やるべき勉強量が2分の1近くまで減ります。
たとえば、A社は5年後に10,000円で償還する社債を発行して、B社がこれを買ったとします。

買った方のB社は、10,000円で償還されるものを9,500円で買って、5年後に償還されます。
その場合、最初は9,500円で記帳します。

仕訳は「借方 満期保有目的債権9,500」「貸方 現金預金9,500」となります。
そして5年後には10,000円で返ってくるのだから、10,000円の評価になっていなければなりません。

そのため、1万円に近づけるために少しずつ評価を上げていくのです。
元本成長型の定期預金のような金融商品と考えます。

その場合、満期保有目的債権を100円ずつ成長させます。
仕訳は「借方 満期保有目的債権100」「貸方 有価証券利息100」となります。

5年間で有価証券利息が500貯まって、借方の満期保有目的債権は500増えて、買った当初の9,500円から満期償還時の10,000に増えます。

これは買う側の処理です。
これを1つの知識としてまず勉強します。

そして、何週間か空いて、後半部分では社債を勉強します。
そうすると、今度はまた別の知識として勉強をすることになってしまいます。

9,500で社債を発行したので、仕訳は「借方 当座預金9,500」「貸方 社債9,500」となります。

そうすると、社債を9,500円で発行したけれど、いずれは10,000円で返済するのだから、最終的に10,000の評価に増やさなければいけません。
これを償却原価法と言います。

有形固定資産である建物や備品などは減らしますが、減らす・増やすに関わらず、徐々に調整することを「償却する」というように、意味を広く考えてみてください。

「償却」というと、どうしても減らすほうをイメージしてしまいますが、減らすばかりではありません。

増やす場合にも「償却」という場合があると思ってください。
この場合では、9,500円で発行した社債を5年後に10,000円へ変更するために、毎年100円ずつ増やしていきます。

この場合は「定額法」といいますが、1年後の決算での仕訳は「貸方 社債100」「借方 社債利息100」となります。
社債は負債で、社債利息は営業外費用となります。

このように、社債を購入する側と発行する側の裏表の立場で2つの知識がありますが、時間を空けてしまうとそれぞれ別の知識として、2つを切り離して理解したり覚えたりする人が多いのです。

しかし、ここで少し頭を使って、1つの知識を他にも援用するのです。
満期保有目的債権の償却原価法を学んで、その後に社債について学んだら、「買う側と売る側で逆の取引だけど、やっている原理は同じだな」と考えて、応用を利かせます。

1つの知識を他の局面にも応用してください。
どんどん使い回しましょう。
知識の使い回しこそが応用の本質です。

今回は満期保有目的債権と社債に使いました。
1回の復習で同時に2つの知識を確認することができ、復習の時間が2分の1に圧縮できます。

この考え方は簿記3級でも簿記1級でも使えますし、他の勉強にも使えます。
このような知識を他にもどんどん盗んで、応用してください。

ご参考になれば幸いです。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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