例題の効果的な復習方法【がんばろう!日商簿記1級合格172】
がんばろう日商簿記1級合格、今回は「例題の効果的な復習方法」というテーマでお話をしたいと思います。
6月から柴山式の簿記1級講座をスタートした受講生のなかには、早くもインプットが一巡した方がチラホラ出てきています。
柴山式簿記1級講座のインプットは、その気になれば1か月程度で終わってしまいます。
インプットは全部合わせて45時間ぐらいなので、1日1時間しかやらなくても1か月半で終わりますし、1日2本見た場合は1か月弱で終わってしまいます。
通常は1か月半で終わるので、6月上旬から始めた方は1日1本ペースならば確実に終わります。
「終わった」というのは「全部見た」という意味で「マスターした」ということではありませんが、私はいつも「とりあえず見ましょう」と言っています。
まず全体を見ることによって、見えてくるものがあるからです。
一通り見終わったら次は例題に入りますが、どのような点に注意をして例題の復習をしたらいいですかという質問が最近いくつかありました。
今は7月下旬ですが、8月いっぱいで例題をある程度まとめて勉強をして、9月から11月の本試験まで2か月半ありますから、その期間できっちりと過去問などの総合問題を勉強するというのが理想的なスケジュールだと思います。
もっと言うならば、総合問題は3か月前から始めてもいいです。
過去問はどんなに遅くとも2か月前からは始めたいですし、できれば3か月前から始めるとベストなので、一通り終わった方は不十分でもいいから過去問を見ても構いません。
待っていられない方は過去問をご自身で入手しても構いませんが、柴山式のほうでも過去問をお渡ししています。
今は例題を一通りやるのでも充分です。
7月8月で例題の目処を付けましょう。
9月からの本格的な過去問練習に入るにあたって、7月8月に例題をどのようにやるかということですが、ただ単に解いているだけでは惰性になってしまいます。
きちんとチェックポイントがあるので、ここでお話しします。
これは柴山式簿記1級講座ではなくても、市販の問題集や他の専門学校のテキストや例題でも同じく使えます。
柴山式に限らないという勉強法をアドバイスするのが私の特徴です。
勉強方法はどれでも構わないので、自分に合ったやり方でやってください。
試験が終わった前後によくある質問なのですが、大手の専門学校でやっている方で、「インプットの量が多くて自分では消化しきれずに、インプットをもっと軽くしたいから柴山式に変えたい」という相談を受けることがあります。
私は「専門学校のよさもあるので、せっかく専門学校のテキストをお持ちでしたらそれも辞書代わりなどとして補完的に使う分にはいいと思うので、それも並行して使ったらどうですか」という回答をすることもあります。
このあたりはご本人の状況などによってケースバイケースですが、最近はそのように「他の専門学校から柴山式に切り替えたい」というケースと「並行してやったほうがいいですか」というケースがあります。
負担がなければどちらかをメインにして並行しても構わないですし、完全に切り替えても・切り替えなくても構いません。
あなたのライフスタイルや、自分がどうしたいかで決めて構いません。
結論を言うと、どれをやってもピタッとはまれば受かります。
今やっている勉強法でも、きちんとツボにはまれば受かります。
どの専門学校であっても、だいたい何をやっているのかがわかります。
私もほとんどの専門学校のことはいろいろな過程で見ていますから、以前在籍していた専門学校時代でもテキストを買ってきて研究はしています。
そのため、この情報化社会である程度はお互いの手の内をわかっているのです。
それにプラスしてどうやって個性を出すかの問題です。
したがって、ツールとしてのテキストの中身は、商工会議所が公表している出題範囲に沿って作ってあるので、内容はそれほど変わりません。
イラストを増やしているとか、それぞれの傾向はありますが、内容は商工会議所の出題範囲に合わせているので、どれを使ってもそれほど変わりません。
あとはあなたの性格、持ち時間、ライフスタイルに合わせて選べばいいのです。
自分のやりやすいものを選ぶのが正解です。
柴山式であろうとそれ以外であろうと、今回お話する方法は使えますので、ぜひ応用してみてください。
柴山式のケースでいくと、例題というものがあります。
例題はテキストについている、本試験との橋渡しになる重要な問題です。
今の段階の講座では、簿記1級の商簿・会計でだいたい100問程度、工簿・原計で70問前後ありますが、これを完璧にしてください。
これを完璧にすればいくらでも応用が利くという、本当に重要な問題だけを収めています。
ほかにも若干の計算例がありますが、だいたい170問です。
この170問は、どこから急に出てきてもできるようにしてください。
それこそ徹夜明けでも、酔っ払っていてもできるようにしてください。
少々体調が悪かったり、緊張しているような状態でも自動的にできるようになるのが基礎力です。
体調も万全で落ち着いて、最高の環境でできることは基礎力ではありません。
焦っている状態で、精神的にギリギリな状態でもできるから基礎力なのです。
要するに、無意識のうちにできないといけません。
ではどうするかというと、私は4段階に分けたチェックリストを使って考えます。
よければこのチェックリストを使ってみてください。
まず「Dランク」は、問題文の意味がすべての行につきわかっているかどうかです。
問題文を1行1行丁寧に読んでみてください。
たぶん、最初は意味がわからないと思いますが、そのときに大事なのは、たとえば問題文が上から10行あるとしたら、10行それぞれの行にチェックマークを付けます。
たとえば1行目は「次の処理に基づいて問題を解きなさい」という文があったとして、日本語として意味がわかったらチェックを付けます。
そのように、上から1行ずつチェックを付けていくとだんだん怪しくなってきて、3行目あたりで「あ、これはわからない」というふうに、チェックがピタッと止まります。
そのときに、その行のわからない部分に丸を囲みます。
丸で囲んで、それはチェックをつけず、「□」マークをつけます。
1行目から3行目まではわかったからチェックを付けたけれど、4行目がわからないので、わからない部分を丸で囲んで、行の先頭あたりに「□」をつけます。
1行1行を丁寧に読み込んで、わかった行はチェックをつけて、わからない行があったら、その行の先頭に「□」のマークをつけて、さらにその行の該当部分を丸で囲みます。
言葉の表現がわからなかったり、資料がわからない場合は、すべて該当部分を丸で囲みます。
そして、意味がわかったところはチェックをします。
このときに、実際に問題が解ける・解けないは関係ありません。
言っている意味がわからなければ解けるはずもありません。
「□」マークをつけることによって、該当部分のテキストを理解していないということがわかります。
だから、まずは問題文の吟味をしましょう。
問題文の意味がすべての行にわかっているかどうかが「Dランク」です。
すべてわかっていたら次の「Cランク」へ進みます。
「Cランク」は、解答までの手順を瞬時に思い出せるかどうかです。
たとえば、減損会計の手順というのはシンプルです。
減損の兆候があって、減損の判断がありますが、そこで減損をするかどうか決めたら、次は減損損失の認識です。
減損損失の認識にも手順があって、まずは使用価値と正味の売却価額を比較して回収可能額を出します。
回収可能額を出したら、それと帳簿価額を比較するというプロセスがすぐに自分で言えるかどうかです。
これがCランクからBランクに進めるかどうかのポイントです。
手順が悩まず瞬時に出てくることが条件です。
悩んでいるうちはCランクです。
だいたいCからBへ行くのが大変なのですが、1つずつ自分で定義を作ってみてください。
その問題文を見たら、どういう手順でやるかということを、瞬間的にアウトラインが思い出せるようになったらBランクへ行けます。
手順が思い出せなければ、テキストに戻って復習すればいいのです。
そして手順が思い出せるようになったら「Bランク」へいきます。
「Bランク」は、どの資料または数字を、どの手順に当てはめるかを知っているかどうかです。
たとえば「正味売却価額を出すときにはどの資料が必要なのか」や「使用価値を出すのにはどんな資料が必要なのか」などです。
使用価値を出すのには将来キャッシュ・フローのデータが必要ですが、難しい問題になると毎年データが変わるかもしれません。
そして、最後の耐用年数がきたときの処分価値も必要になり、割引率なども出てきます。
そのように、どの資料を拾うべきかを知っていることがBランクの条件です。
これができるようになると、Bランクからの卒業が近づきます。
Bランクはポイントで、ここが完璧にわかって、なおかつ、解答までの手順を瞬時に思い出せて、どの資料または数字をどの手順に当てはめるかを目標時間内に一発で正確に実行できると「Aランク」です。
どの手順を当てはめるかをだいたい知っていて、手順は正確にはできないけれど、7割から8割知っている状態はBランクです。
これを完璧に理解して、レベルC・Bの内容を目標時間内に一発で正確にできるようになったらAランクです。
「一発で」できることがポイントなので、書き直しをしたらBランクです。
例題170問がすべてでこのチェックをして、すべてができるようになれば、独学や柴山式の過去問の勉強は楽になります。
この4段階を意識して、一つ一つの例題に取り組んでみてください。
最初はDランクでも構いません。
これは大事なので、自分で書いてノートに貼っておいてください。
常にすべての例題について、自分が「D」なのか「C」なのか「B」なのか「A」なのかを把握してください。
問題文の意味がすべての行についてわからなかったら、「D’」や「E」などと書いておいてください。
意味がわかってはじめてDランクになります。
柴山式を受講されている方はこれに従って例題をやっていただきたいですし、それ以外の学習方法をとっている方も、これを参考にして自分なりにアレンジして使ってみてください。
今回は、インプットとアウトプットの中間的な個別問題の練習における効率的なチェックポイントについてお話しました。
ぜひ使ってみてください。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。