監査、公認会計士、税理士
今回は、「簿記ャブラリ第1章:今更聞けない基本用語」として、「監査」「公認会計士」「税理士」について解説いたします。
公認会計士と税理士は、どちらも会計の専門家であり、独立して業務を行える資格です。
これらは大きな資格ですが、時々、企業の経営者から「公認会計士と税理士の違いは何ですか?」という質問を受けることがあります。
まず「監査」について見ていきましょう。監査は、公認会計士と非常に関連が深い言葉です。
しかし、税理士の分野でも「巡回監査」という形で、監査法人や公認会計士が行う監査の考え方を中小企業の経理に導入する実務もあります。
そのため、税理士業界では「巡回監査」という言葉がよく使われています。
監査とは、会社の内部、いわゆる「内部統制」を確認し、法律や社内規定に従って正しく運営されているかを調査することです。
監査には、内部監査と外部監査の2種類があります。外部監査の一例として、会計監査があります。
上場企業では、決算時に公認会計士や監査法人(公認会計士が集まる団体)による外部監査が必須です。
この監査を受けることで、企業の財務諸表の適正性が証明され、上場が可能となります。
監査証明を行えるのは、公認会計士に限られており、これは独占業務です。
一方、内部監査は任意で、会社内部の統制がきちんと行われているかを確認するものです。
これは法的な監査とは異なり、企業内で行う任意の活動です。
次に「公認会計士」について説明します。公認会計士は、監査業務を中心とする会計の専門家であり、企業の財務諸表に関する適正性を証明します。
監査業務を行うためには、監査理論、財務理論、経理、税務など、幅広い専門知識が求められます。
公認会計士の試験に合格するには、通常2〜3年の勉強が必要です。1年以内で合格するのは稀で、多くの人は2〜3年、あるいは4〜5年かけて合格します。
公認会計士は、企業の利害関係者に対して監査証明を行い、第三者として監査を実施する重要な役割を担っています。
特に、アメリカで発生したエンロン事件やワールドコム事件の影響で、2008年から「日本版SOX法」に基づく内部統制の監査も、公認会計士が担当することとなりました。
このような背景から、監査法人や公認会計士の役割が一層重要視されています。
現在では、特に上場企業において、公認会計士は財務実務や内部統制の指導を行う専門家として活躍しています。
公認会計士の合格者数は年々増加しており、若い世代の合格者も多く、非常に高いニーズがあります。
「税理士」についても説明します。
税理士は税務の専門家であり、法人税の確定申告や税務調査対応、節税対策、不動産取引に関する税金対策などを行います。
税理士は、税務に関する業務を独占的に行うことができ、他の人が税務に関わる行為を行うことは違法です。
税理士は、会計監査が公認会計士の独占業務であるのに対し、税務に関する業務は税理士の独占業務となります。
このため、税理士は法律でその業務が守られており、非常に安定した資格と言えます。
また、監査を必要としない非上場企業、特に中小企業では、税理士が経営や経理の相談を受けることが多いです。
近年では、税理士がコンサルティング機能を担うことも増えており、税務だけでなく会計や経営に関する幅広いアドバイスを提供しています。
以上、今回は「監査」「公認会計士」「税理士」について解説しました。
これらの用語と役割を理解することは、ビジネスにおける重要な知識となりますので、ぜひご参考にしてください。