便利になって得すること、損することを知る

【得するためのルール1】
電子マネーにより思わぬ支出をしている?

●電子マネー普及の理由は利便性にある

マイレージを貯めて無料の航空券をゲットしたり、ポイントを集めて割引を受けたり。

一昔前には主婦のささやかな楽しみだった各種のポイントカードは、今やおトクなサービスを受けるための必須アイテムです。

クレジットカードのポイントを集めるために現金払いはしないという人や、カードを作る際には集めたポイントと航空会社のマイレージとの互換性を重視する、という人も多く、飛行機に乗ることなく、航空券をゲットする陸(おか)マイラーもいるようです。

10万円の買物をしても、1%のポイントがつけば1000円還元されるわけですから、ポイントサービスは使わないと損。

でも、注意したい点もあります。ひとつは年会費です。

クレジットカードの多くは年会費がかかり、これを上回るおトクがなければ持っているだけ損ということになります。

年会費無料でも所有するカードが多すぎると紛失のリスクが高まりますから、年会費無料で還元率が高いカードを厳選し、少数精鋭のカードホルダーになることが大切です。

もうひとつ、大きな落とし穴といえるのが、カードを持っていることで余計なお金を使ってしまう、という問題です。

キーワードは、「電子マネー」。

電車やバスに乗る際、当たり前のように使っているスイカやイコカも電子マネーのひとつで、電車の乗り降りだけでなく、駅ナカやコンビニで買物するときにもスイカやイコカを使う人が増えています。

非交通系の電子マネーにはEdyやNANACOなどがありますが、これらの電子マネーでは、期間や商品限定で数%の割引が受けられたり、利用額に応じてポイントが貯まるなどのサービスがあり、利用者が増えるのは大いに納得できます。

でも、スイカやイコカといった交通系の電子マネーには、割引サービスはありません。クレジットカードでチャージすればクレジットカードのポイントが付くというメリットがあるものの、プレミアム(1000円で1050円分使えるなど)もつきません。それほどのお得感はないですよね。

それでも、利用者が爆発的に増えたのには、「利便性」という秘密があります。

思い出してください。あなたも以前は駅で切符を買ったり、窓口で精算していたはず。

家族連れやお年寄りが精算の列に並んでいるときなど、結構時間がとられてイライラすることもあったでしょう。

今思えば、ずいぶん、面倒なことをしていたものです。
切符を買ったり、精算する必要がないのは大助かり。

この便利さ=利便性が、交通系電子マネー普及の理由なのです。

しかし、損得という観点からみると、いちがいに賞賛するわけにはいきません。

●時代の流れに乗らないことで支出は抑えられる

理由は2つ。ひとつは、「簡単に精算できるからついついお金を使ってしまう」という罠があることです。
支払いが便利になることは、支払い機会を多くすることにつながります。

たとえば、駅のホームで電車を待っているとき、ちょっと小腹が減ったな~と思うことがあります。

キオスクには食べきりサイズのお菓子が色々揃っています。

現金で買うには、鞄の中から財布を取り出して小銭を数えることになるし、小銭がなければ紙幣で払ってお釣りをもらう必要があります。

1万円札しかなければ、お店の人に悪いなと感じる人もいるでしょう。

ところがスイカやイコカを持っていたら?
ジャケットのポケットに入っているパスケースをかざすだけで購入可能。

「3番ホーム、電車が参ります~」というアナウンスが聞こえてからでも、十分、お菓子が買えます。

この手軽さは大いに歓迎できる一方で、便利ゆえに買ってしまう(お金を使ってしまう)という罠でもあるのです。

「スイカがあったから買ったんだな」など、意識する人は少ないでしょう。

でも、今度、電子マネーで買い物したときには、「電子マネーがなかったら買っていたかな?」と考える癖をつけてください。

もしも、支出を増やしたくないなら、支払いをラクにする道具は使わず、面倒さを受け入れるのが正解です。

小銭を探す手間や、お釣りをもらうまでの時間をかけるのは面倒だから買うのはやめよう、と思えば、お金を使う機会は減るはずです。

もちろん、非交通系の電子マネーを利用するときも同じ。
ちょっと考えてみることが大切です。

電子マネーの普及は時代の流れですが、その流れに乗らなければ支出は抑えられるでしょう。

●利便性で得するのは利用者ではなく管理者

もうひとつは、会計的な視点でみた「ソン・トク」です。

スイカやパスモを購入する際には、保証金(デジポット)という名目で500円を支払います(覚えていますか?)。

デジポットはカードを返還すれば返金されますが、それまでの間、運営会社はこのお金を「預かり金」として扱うことになり、銀行などから借りたのと同じように資金調達できたことになります。

スイカは8273万枚発行されており(2020年3月現在)、単純計算では413億円超。これをもし金利3%で銀行から借りると、年間の金利負担は12億3900万円です。

デジポットがある代わりに、この金利負担を丸々浮かせることができるのです。

カードを紛失した、もう使わないのに返還していない(保証金の返金を受けていない)という場合は決定的に損なので、それは避けたいところ。

そうでなくても金利ゼロでお金を預けることになり、金利分は損することになりますが、500円程度ならそれほど目くじらを立てる必要はないでしょう。

とはいえ、何気なく支払った(正確には預けた)お金が、相手に大きな利益をもたらしているかも、ということは知っておきたいものです。

その意識が、お金の使いかたを少しずつ変えていくはずです。

もちろん、場合によってはお金を払っても便利さを買うべきことはありますし、便利さを買うことでそれを上回る利益を得ることもあるはずです。

お金を払ってでも便利を買うべきかを天秤にかける。
そんな習慣をもつことが損しないための秘訣です。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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