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子会社株式の仕訳をどう書くか?(第144回日商簿記2級の仕訳・類題)

今回は第144回日商簿記検定2級の第一問の5番目で出題された、子会社株式の取得に関する会計処理の類題を私のオリジナルで作ってみました。
 
子会社取得に関して受験生が難しいと感じていたであろう問題を、いかに基礎知識を駆使して解答するかというお話をしたいと思います。

実際にこの問題は解けなかった方が多いと思いますが、ちょっとしたセンスや気づきがあれば解けた問題です。
 
このような問題が解けるようになると、本当の意味で会計のセンスが身に付いたと言えます。
それでは早速見ていきます。
 
全く同じ問題は出せませんので、条件を少し変えた類題を作成しました。
しかも、こちらの問題の方が難しいです。
本試験で出題された問題も難しいと言われていますが、さらに難しくしています。
 
(問題)得意先A社の株式100株(発行済株式1,000株)を取得原価1,500,000で保有していた。
 
当期においてさらに450株を取得し、現金8,100,000を支払った。
これにより、A社に対する支配を獲得した。
 
「発行済株式1,000株」というのは、本試験では「10パーセント」と言っていましたが、パーセントではなくて株数で表しているので、持株比率を計算させるという意味で本試験よりも少し難しくしてあります。
 
発行済株式が10パーセントということを頭に入れておきます。
この段階で気づいて欲しいのは、売買目的有価証券ではなくてその他有価証券であるということです。
 
有価証券の勉強をきちんとしている方は最初の1行でこれがその他有価証券であると想像がつきます。
 
なぜかというと、これは子会社の株式になるので、売るつもりがないということです。
しかも取引先の株なので、総合的に判断して短期的に時価の変動によって売るつもりがない株であるということに気づくのが最初のセンスです。
 
ここが主体的に読むということなのです。
この1行でできる人とできない人の差がついてしまいます。
 
センスが身に付いてくると、この1行を見た瞬間に「売買目的」という言葉がないから売買目的ではないのではないかと思うのです。
 
そして、問題を読み進めていくと「支配を獲得した」と書いてあるので、売るつもりがない株式であると分かります。
 
売買目的有価証券ではないということは、満期保有目的の債権か、子会社株式・関連会社株式か、その他有価証券の可能性があります。
 
その中から「その他有価証券の可能性が高いぞ」と目星をつけて1行目から読むことで、スタートの段階から差がつきます。
 
これが基礎力なのです。
本当の基礎力というのは問題文の1行目から差がついてしまうのです。
 
「売買目的」という言葉があれば売買目的有価証券から振り替えますが、これは売買目的ではありませんと想像します。
 
問題文から取引関係の維持・安定化ということが推測されるので、その他の目的になると目星をつけます。
これはいわゆる持ち合い株のようなイメージです。
 
「取得原価1,500,000で10パーセント保有していた株を、当期においてさらに450株を取得して現金8,100,000を支払い、これによってA社に対する支配を獲得した」となっています。
 
実は穿った見方をすると売買目的の有価証券と言っても良い可能性は若干ありますが、常識で考えたら最も正しいのはやはりその他有価証券でしょう。
 
受験簿記の自然なロジックで考えると、これはその他有価証券になるとイメージします。
ということは、その他有価証券で10パーセント(1,500,000)持っているなと分かります。
 
頭の片隅に(借方)その他有価証券1,500,000 (貸方)現金1,500,000という仕訳をイメージしておきます。
 
さらに当期において450株を取得しましたが、本試験の問題では「50パーセントの取得」と書いてあったので、最初の10パーセントと次の50パーセントを足して60パーセント、つまり支配を獲得して子会社というふうに、ストレートにパーセンテージを書いてあるので過半数だとすぐに分かります。
 
ただし、私が作った今回の問題は一見分かりません。
「450株」と書いてあるので、1,000株の発行済株式数を忘れてしまうと子会社株式かピンと来づらいです。
 
そういう意味では、本試験の問題よりも少し分かりづらくしています。
450株というのは45パーセントですので、45パーセントと10パーセントを足して55パーセントになります。
 
従って、これは支配の獲得だろうなとイメージします。
この段階で子会社株式だということが9割方確定しますが、問題文の最後に「支配を獲得した」と書いてあるので、この時点で10割確定します。
 
仕訳としては借方は子会社株式になりますが、最初に1,500,000のその他有価証券があるということを覚えておけるかどうかがセンスです。
 
A社株式は2つありますが、最初の株式100株分はその他有価証券で持っていてはまずいと気づくのがセンスです。
 
1つずつ文章を分析すると、ロジックとセンスの分析になります。
まず、ロジックで分析をします。
 
A社の発行済株式1,000株のうち100株を持っていましたが、100/1,000で10パーセント、かつ得意先で、かつ「売買目的で所有」と書いていないので、売買目的の有価証券ではないだろうと推測できますから、「その他有価証券で処理をして欲しい」という出題者の意図をイメージする必要があります。
 
そうすると、これはその他有価証券の確率が高いので、自然な流れではその他有価証券になります。
 
意地悪なことを言うと「でも売買目的」という可能性がゼロではないと言えなくもないですが、そこまで言うにはあまりにも苦しいので、やはりその他有価証券が自然だと思います。
 
これが1番目のロジックです。
ですので、仕訳は(借方)その他有価証券1,500,000 (貸方)現金1,500,000と頭の片隅に入れておきます。
 
そして、さらに450株を取得して現金8,100,000を払いました。
取得原価が変わっていますが、時価が変化しています。
 
最初は1,500,000で100株なので1株あたり15,000ですが、追加で450株取得した時は1株あたり18,000です。
 
株価というのは変動するので、1年前に買った株と今の株の価格は違います。
単価は常に変動しているので、違ってもおかしくはありません。
ここで悩まないようにしてください。
 
最初の10パーセントと追加取得した45パーセントを足して55パーセントになるので、株式の過半数を取得しました。
過半数を取得すると支配を獲得したので、これは子会社株式ということになります。
 
ここからが問題で、(借方)子会社株式8,100,000 (貸方)現金8,100,000という仕訳で終わってしまうケースがあるかもしれませんが、それでは視野が狭い状態で、センスをもう少し磨く必要があります。
 
これを簡単な問題にしようと思ったら、「(借方)その他有価証券1,500,000に処理しておいた」と問題文に書いてあれば簡単ですが、この問題ではそれが書いていないので難しいのです。
 
例えば「得意先A社の株式100株(発行済株式1,000株)を取得原価1,500,000で取得・保有し、これをその他有価証券として処理していた」と書いてあれば親切ですが、書いてないので難しいのです。
 
例題ではこれが書いてあるのですが、本試験はこの部分を隠します。
これが応用なのです。
 
最初に取得した100株がその他有価証券であると意識して忘れないことが大事です。
これが応用力と基礎力の差で、例題はできるけど本番でできない理由です。
 
本番は落としにいくので、少し引っかけるような問題になっていますから「その他有価証券」と言わないのです。
 
それをしっかりと頭の中に叩き込んでおいてください。
その他有価証券を放っておいたらまずいです。
 
同じA社の株式なのに、最初の150万をその他有価証券のままにしておくのはまずいです。
ですから、これも子会社株式に振り替えます。
 
これに気づくかどうかです。
この気づきを得るためには徹底的な例題の反復練習をします。
 
単に見てできるだけではなくて、しっかりと完璧にできるようになった上でこういったセンスが身に付くのです。
 
センスというのは徹底的な例題の解き込みなのです。
例題を徹底的にやっていれば、本番で違う聞き方をされてもイメージが湧きます。
 
最初の100株のことを鮮明に覚えていれば「これはどうするのか?」と疑問が湧きます。
この疑問がセンスなのです。
 
ですから、仕訳は(借方)子会社株式9,600,000 (貸方)その他有価証券1,500,000 現金8,100,000となります。
 
例題と少し違うと思ったら、その違和感がセンスです。
このレベルにいくには徹底的に基本問題をやることです。
 
腹に落ちるまで徹底的に基礎的な勉強をすることによって、今までやってきた勉強との違いに気づくことができて、どうすれば良いのかということが数十秒で考えることができるのがセンスです。
 
この問題はできなくても良いですが、この問題ができるようになれば本当の意味で簿記2級レベルの総合力が身に付いたといえます。
 
これは非常に良い問題なので、第144回の第一問の5で吟味してみてください。
子会社株式に振り替える時に、貸方は現金だけではなくてその他有価証券も含めて、最後に全てをひとまとめにして瞬間的にひらめくことがロジックの瞬間的な活用です。
 
ロジックを瞬間的に引き出せるようになると、ひらめきが出ます。
「うーん」と悩んでロジックが出るようでは、まだひらめきません。
 
心に余裕がないとひらめきません。
ひらめきの余地を残すためには、ロジックを早く終わらせなければいけません。
 
ということは、徹底的にスピードアップをすることです。
基本的な処理を早くできるようになれば、時間に余裕ができて気づくことができます。
 
ここがポイントです。
ですから、スピードが大事なのです。
この類題を参考にロジックとセンスの関係を考えてみてください。
 
私はいつもあなたの日商簿記検定2級の合格を心から応援しております。
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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