誰もが最初は初心者だった【話し方、聞き方入門】
「話し方、聞き方入門」第1回目です。
新しい番組ですが、よろしくお願いいたします。
私は1991年の秋から教室で話をするというキャリアをスタートさせて25年経ちました。
ここまでやるとそれなりに目をつぶっても話せるテーマが出てきます。
今は人前で話すことを仕事の1つにさせてもらっていますが、私も最初は初心者でしたので、あなたでも名スピーカーになれる可能性があります。
聞いて分かると思いますが、私の滑舌は適当ですし、早口ですし、少し前に話したことを忘れてしまったり、話しているうちに寝てしまったり、いろいろな失敗がありましたが、そのようなことも披露していきたいと思います。
日本語が普通に話せれば誰もが名スピーカーになれるチャンスはあるわけです
あなたの持っている知識や個性を上手にブラッシュアップしてそれを出せるようになれば、人前で人の心を捉える話ができるようになります。
今回は、私が初心者時代だった頃の話をしたいのですが、講師キャリアのスタートは1991年の秋でした。
会計士に合格したのは翌年なので、受験生時代に専門学校で日商簿記検定2級講座を受け持ったのです。
私は会計士の受験生で、もちろん簿記2級や簿記3級の知識はありましたが、数十人の前で話すということはあまりなかったので、良い経験になると思って引き受けました。
このときは怖かった記憶があります。
2時間半あったと思いますが、そのなかで何ページ進んだら良いのかも教えてくれませんでした。
“OJT”というと聞こえがいいですが、体の良いほったらかしです。
他の先生の講義をいろいろ見ながら、どういうふうにやればいいのかを研究しました。
今も早口なのですが、当時はさらに早口でした。
26歳になったときぐらいに簿記2級の講義を始めたのですが、そのときは大学ノートを1冊買ってきて、挨拶をする時間など、場合によっては30秒ごとに進行を考えて書いていましたので、最初の頃は1回の講義で10ページぐらいを使いました。
大学ノートに書いて、何度も練習をするのです。
「5分経ったら仕訳が終わって、10分経ったら3ページ目が終わって」というように、シナリオを作っていました。
2時間半の講義のために10時間ぐらい準備していました。
実はここがポイントで、最初は話す時間の3倍以上の時間をかけて準備をしてください。
ただ、これはある程度慣れてきてもやったほうがいいのです。
本当は慣れないうちは10倍の時間をかけてほしいので、1時間話すとしたら10時間準備してください。
1時間の話の準備を1時間でやろうとするからだめなのです。
2倍や3倍でも多分弱いと思うので、慣れていないうちは10倍かけてください。
そうすると最初から違ってきます。
10倍が無理でも最低3倍は時間をかけて準備してください。
私もやっていましたが、やっても上手くいくわけではなく、5分で終えるつもりだったものが20分かかってしまったり、シナリオ通りにいかないこともありました。
最初に予定していた時間よりも4倍の時間がかかっていたので、この調子でいくと2時間半の講義が10時間かかってしまうことになってしまうので、最後は得意の早口になっていました。
あるときアンケートを見たら「柴山先生は最初の30分は雑談が多くて、最後の30分は何を言っているのか分かりません」というような意見が多くありました。
そのため、最初は4つも5つも入れていた雑談を1つにしたり、自分なりにルールを決めて、試行錯誤をして今に至っています。
当時からアンケートなどで言われていたのは「早口」「脱線」「時間オーバー」ということでした。
終了時間は9時半なのに10時15分になっても終わらないので、苦情が大量に来てショックを受けました。
私は何でも話したいタイプなので、本来なら5分でまとめるべき内容を30分かけて話したり、ほとんどの時間を雑談に使ってしまうといった失敗もたくさんありました。
私は話しているうちに他のことが思い浮かんでしまうので、それを話してはいけないと気がついたのが1年目、1991年の冬でした。
今思うと懐かしいです。
他にも、講義中に地震があったり、停電があったり、ワールドカップの最中に講演をしていたときに、向かい側のビルから歓声が聞こえてきて、それにつられてみんな立ってしまったり、いろいろなことがありました。
このような経験をしながら講義の厚みが出てくるのかなという感じがします。
最初は今よりも早口で脱線が多く、時間オーバーになってしまうことがあったので、まずはこの3つを何とか克服しようと思って研究したのが1年目だったと思います。
みなさんなりにそれぞれ個性があるので課題が違ってきますが、まずは5分ごとのシナリオを作ってみてください。
このような感じで最初のうちは緩く始めて、だんだんスキルのお話もして、半年後ぐらいにはそれなりのスピーチや聞き方のノウハウが身に付くような番組にできればと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
ここまでご視聴いただきまして誠にありがとうございました。