勘定記入を見て、ストーリーを作ってみよう!【がんばろう!日商簿記3級合格62】

今回は「勘定記入を見て、ストーリーを作ってみよう」というテーマでお話をしたいと思います。

 

先日行われた第143回の簿記3級試験の第三問では、T字勘定を見て答えを考えさせる問題が出ました。

 

この形式の問題は何十年というレベルで随分出題されていないので、戸惑った方もいらっしゃると思います。

 

 

普段から仕訳中心の勉強だけをしていると、このような勘定記入を読ませる問題が出たときにかなり焦ります。

ちなみに、このような勘定記入を見る問題というのは、日商簿記検定4級でやる内容です。

 

そういった意味では、今回の試験は簿記4級から勉強を始めた方にとっては案外取り組みやすかったのかもしれませんし、柴山式総勘定元帳を日頃からしっかり書いている方であれば、ある程度対応できたと思います。

 

しかし、普段からほぼ100パーセント近くを仕訳の勉強だけでここまで来た人にとってはかなり厳しかったと思います。

私はT字勘定もできるようになるべきだと思っています。

 

「普段からT字勘定にも慣れておきましょう」という出題者側からのメッセージであって、私は決してそんなに悪い方向性ではないと思っています。

 

これからの簿記3級の方向が勘定記入の理解も問われるようになるならば、こういったトレーニングをお勧めしたいと思います。

 

たとえばT字勘定を見てストーリーを考えてみます。

仕訳だけではなく、そういう練習を普段からしてみてください。

 

たとえば現金勘定の借方に1,000と8,600がある場合は、現金がまず1,000増えて、次に8,600増えたと考えます。

 

前受金というのがありますが、これは商品を売り上げる前に、注文を受けたときにあらかじめ受け取っておく手付金、または内金です。

 

あらかじめお金を受け取っておく前金みたいなものを前受金といって、これは負債です。

前受金を受け取った段階では商品を引き渡していませんから、売上が立っていません。

ということで、前受金は右側がプラスです。

 

右に書いていったんプラスになって、左に書いて商品の引渡をして、売上代金に充当したと考えます。

 

一方、売掛金は左側がプラスで、左側を見ると8,600です。

ということは、商品を売り上げたうち8,600は未回収、すなわち掛けにして、後日8,600が入ったということです。

 

このように1つ1つ考えます。

売上はというと、右側に9,600なので、売上の合計は9,600です。

 

よく全体を見ると、そのうち前受金が1,000充てられて、差し引きが8,600というふうに、仕訳を思いつきます。

 

借方前受金1,000 借方売掛金8,600 貸方売上9,600のように、勘定科目をそれぞれ見比べて、あなたなりにイメージをして取引を組み立ててストーリーを作ってください。

これはパズルのようで面白いと思います。

 

普通は問題文を見てT字を書きますが、逆にT字を見て問題文をイメージします。

つまり、勘定記入(簿記の用語)を見て、日本語を考えます。

 

和文英訳や英文和訳のようなものです。

簿記の言葉を見て、日本語に変えるのです。

 

では、ストーリーを見てみましょう。

まずは「1.手付金1,000を受け取った」仕訳は(借方)現金1,000 (貸方)前受金1,000となります。

 

「2.9,600を売上、手付金との差額を掛けとした」仕訳は(借方)前受金1,000 売掛金8,600 (貸方)売上9,600となります。

 

「3.売掛金8,600を現金で回収した」仕訳は(借方)現金8,600 (貸方)売掛金8,600となります。

 

現金は左に書けばプラスで右に書けばマイナスです。

売掛金も現金と同じく資産なので、左に書けばプラスで右に書けばマイナスです。

 

前受金は負債なので右がプラスで左がマイナスです。

売上は収益なので右がプラスで左がマイナスです。

 

毎日5分でも10分でもいいので、T字を見てストーリーを考えるという作文のような練習をしてみると、134回試験の第三問のような、T字勘定がたくさん出るような問題でも焦らなくなります。

 

これらはこういった準備もしておくことがすごく有効だと思います。

そして、この勘定記入に慣れると、将来簿記2級の勉強に進んだときの工業簿記の理解にも繋がりますので、ぜひ試してみてください。

 

私はいつもあなたの簿記3級合格を心から応援しております。

ここまでご覧いただきまして誠にありがとうございました。

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