もめる相続(週刊ダイヤモンド12*8*11,18合併号)
早ければ2015年1月から増税となる可能性がある、といわれています。
今回の消費増税法案と一緒の改正はかなわず、いったん先送りされはしたけれど、年末の13年度税制改正であらたに議論されることになるとみられているのが相続税です。
今回先送りされた相続税増税のポイントは3つとされています。
1.基礎控除の縮小
2.最高税率の引き上げ(50%→55%)
3.死亡保険金の非課税対象縮小
ここでは、ポイント1の基礎控除縮小による影響をお話いたします。
たとえば、奥さんと子供2人の家族の場合、夫が亡くなったことで相続税が課税される財産の額が、現在では8000万円を超える分です。
現在の基礎控除
5000万円+1000万円×法定相続人数3名=8000万円
この他、生命保険金の非課税額(500万円×法定相続人の数)や個人の借金や葬式費用などが控除されますが、いずれにせよ、8000万円を超える資産を持っている人自体がそんなにいるわけではないですから、これまでは相続を心配する必要は、たいていのご家庭ではなかったと思います。
しかし、もしも将来、改正することになったら、状況はかなり変わるでしょう。
改正案では、基礎控除が3000万円+600万円×法定相続人数
なので、配偶者と子供2人の場合、
3000万円+600万円×3人=4800万円から、相続税がかかります。
これ、東京都23区あたりで戸建てを持っている人には、けっこうヒヤッとするお話ですよ。
都内で4LDKあたりの家を買おうと思ったら、普通に4000~6000万円くらいします。
このほか、最近の株式投資ブームで株を1000万円くらい持っているケースだってあるかもしれませんし、退職金で使っていない分の預金とか、定期預金とか、本人名義ではないけど子や孫名義の実質本人のものと認定されかねない預金とか、
生命保険金とか、ぜんぶ足し合わせると軽く4800万円を超えるケースが、いぜんの中流階級といわれていた人でも、十分にあり得ますね。
5000万円以上の資産なんて、ちょっとした戸建をもっていたら、すぐにオーバーする可能性、十分です。
週刊ダイヤモンドの調べによると、予定される相続増税で課税対象となる死亡者数は、現行の4.6万人から7万人台と、約3万人ほど増えるのではないか、と想定されています。
相続税を納める人は、11.5万人から17.5万人へと6万人増加の予想です。
ほかにもいろいろと問題はあります。
相続が「争族」になる、とも揶揄されているとおり、兄弟間のバトルに発展することが多いのですね。
これは、相続税を払わない場合でも問題になります。
要は、「おにいちゃんばっかり遺産を独り占めしてずるい!」の世界です。
会計事務所を長年やっていると、こういった「争族」対策のご相談を受けることもありますよ。
いや、相続問題の半分以上は、親族間のもめごとだったりするのですね。
高齢化がすすむと、今後、ますます相続の問題は増えてきます。
税金計算だけでなく、円満な遺産受け継ぎと親族関係の維持をお考えの方、お気軽にご相談ください。
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