小売業のROAが7.0%と好調(日経12*6*19*13)

ひさびさに出た財務分析系の記事です。

できれば週に2-3回くらいは、こういった分析系の記事を混ぜていただけると、新聞を読む側としては、会計の勉強にもつながるので、非常にありがたいです。

6月19日の日経13面では、2012年2月期・3月期を決算とする125社を集計したところ、ROAが7.0%と前期比0.5ポイント上昇したとのことです。

これは、3月期決算企業の2012年3月期の平均ROA4.3%を大きく上回る結果です。

利益率の高い商品を多く扱うようにしたり、在庫圧縮な度の努力をしたりしたことが効果を高めたと言えそうです。

ROAは、return on assets の略語です。

総資産利益率、あるいは総資本利益率とも呼ばれています。

企業のバランスシートで表示されているすべての資産を活用して、どれくらいその期間で利益を獲得できたか、という資産活用の効率性を確かめることができる財務指標ですね。

バランスシート (A社)  (単位:万円)
(資産)               (負債)
現金預金 1000             省略     ××
売上債権 2000
棚卸資産 1500             (純資産)
固定資産 3500              省略

総資産 8000

損益計算書(A社)(単位:万円)
売上高              8400  
売上原価             5000  
:
:
経常利益             320  

たとえば、上記の例でいきますと、総資産8000万円を活用して、一年間で経常利益を320万円稼いだ、と見ることができます。

ROAは320万円÷8000万円=4%と計算されます。

つぎに、総資産がA社の半分で、おなじ経常利益をあげているB社があるとします。

バランスシート (B社)  (単位:万円)
(資産)           (負債)
現金預金 1000          省略 ××
売上債権 1000
棚卸資産 1000         (純資産)
固定資産 1000          省略

総資産 4000

損益計算書(B社)(単位:万円)
売上高               6000  
売上原価              3300  
:
:  
経常利益              320  
   
こんどは、おなじ320万円の利益を獲得するのに4000万円の総資産しかかかっていません。

ROAは320万円÷4000万円=8%です。

この結果、B社のROA 8%は、A社のROA 4%の2倍なので、B社の経営効率は、財務分析上、A社の2倍良いということがわかりました。

このように、同じ利益を上げるのにも、より少ない資産を使ってあげた方が経営効率が良いだろう、という考えの下で算定される財務指標として、ROAがあるわけです。

今回の日経記事では、財務効率という観点から、小売業の平均値が他の業種よりも高かったと言っているわけですね。

ROA上位の上場小売企業の例は次のとおりです。

1位: スタートトゥ ・・・ 38.6%
2位: メガネトップ ・・・ 27.8%
3位: あさひ ・・・ 24.8%
4位: ABCマート ・・・ 24.6%
5位: ニトリHD ・・・ 23.0%

靴のABCマートや家具のニトリは、一時期、よく経営勝ち組企業のモデルとして雑誌や新聞でとりあげられていましたね。

会社の経営効率を示す代表的な指標としてのROA、この機会に覚えておきたいところです。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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