バランスシートの左側を資金化するテクニック(資産流動化)

不況の折、金融機関からの資金調達が難しくなっていますね。
通常、資金を調達する時には、(1)増資する、(2)借入する、
(3)社債を発行する、といった3つのパターンが常道です。
しかし、企業全体のバランスシートを見た場合、その企業の
総合力がたとえば「Bランク」と判定されたら、それなりの
融資条件しか認めてもらえず、資金調達上、不利になることも
多いです。
しかし、バランスシートの左側の資産には、現金預金はもちろん
のこと、売上債権(売掛金+受取手形)、棚卸資産、有価証券、
その他の金銭債権、有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産
など、いろいろな内容・品質の資産がたくさん混在しているわけ
なのです。
この中には、Aランクで質の高い資産もあれば、Dランクで
サッサと処分したい不良資産もあるはずです。
企業の総合的な信用度というのは、こういったAランクから
Dランク以下までの資産をごちゃまぜにして、だいたいその間を
取ったような感じで判定されるので、BランクとかCランクとか
になることもあるのですね。
ここで、バランスシートの借方(左側)を精査して、
その中でもスキムミルク(おいしいところです♪)だけを
ピックアップし、それを担保に債券を発行したり、これを
信託に出したり譲渡したりしたらどうでしょうか…?
「優良な質の資産だけを切り離して、それを担保に資金調達!」
こんなことができれば、企業としては資金繰りが大いに助かり
ますよね!
このようなコンセプトで時々使われるのが「資産流動化」という
テクニックなんですね~。
時々、資産流動化とか債権流動化などという用語を日経新聞など
で目にしたりします。
ひとことで言うと、資産流動化というのは、
資産を売却または証券化して、現金化することなのですね。
資産を証券化する場合には、聞いたこともあるかと思いますが、
SPC(特別目的会社)と呼ばれる事業体を利用して
ABS(資産担保券)と呼ばれる債券を発行することになります。
資産を流動化する目的としては、
自社のバランスシートから資産(および負債)を分離・譲渡
し、オフバランス化することによって、資金を手に入れる
だけでなく、足の速い現金預金に転化することで
資産がスリム化することにつながりますので、
ROAなどの財務指標も良くなり、
格付けを高めたり、手にした現金で借金を返済して
金利負担を軽減したりもできるのです!
バランスシートの貸し方を増やすばかりが資金調達ではない!
ということも、ぜひ知っておいてくださいね!!

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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