アリコ、外貨建資産の評価損
外資系の生保大手であるアリコジャパンが、東京国税局の税務調査を受け、
平成20年3月期までの3年間で累計300億円以上の申告漏れを
指摘されたそうです。
関連するニュースサイトとして、
ご参考までに次の2つをご紹介いたします。
・asahi.comより
⇒ http://www.asahi.com/national/update/0815/TKY200908150299.html
・産経ニュースより
⇒ http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090816/crm0908161106004-n1.htm
期末時点において、外貨建ての預金や債権・債務については、
換金性が高いこともあって、決算日時点での為替相場で換算替えし、
取得時の為替相場との差額は為替差損益として営業外収益または
営業外費用としてP/L表示されます。
外貨建有価証券についても、子会社株式・関連会社株式は取得時の
為替相場ですが、それ以外は基本的に決算日時の為替相場で換算します。
ただし、税務上はその他有価証券など、売買目的外とされる外貨建有価証券
については、決算日の相場で評価できないものがあります。
(参考)
⇒ http://www.deloitte.com/assets/Dcom-Japan/Local%20Assets/Documents/knowledge/tax-pdf/20090619.pdf
または
⇒ http://bizplus.nikkei.co.jp/qa/keiri/?i=2005120103oneq3
このような場合、税務と会計で相違が生じるのですね。
税務上の15%ルールについて
法人税法の基本通達13の2-2-10において、
「為替相場の著しい変動があった場合の外貨建資産等の換算」
というものがあります。
これは、為替相場が次の算式により計算した割合が、
おおむね15%以上に相当するときには、 外貨建資産に関して、
「外国為替の売買相場が著しく変動した場合」に該当する
ものとして、 外貨建資産の評価替えが認められるというものです。
(期末換算評価額 - 帳簿価額) /期末換算評価額
EX)
1万ドルの有価証券を購入した場合で、
期末時レート 1ドル88円、取得時レート 1ドル105円の場合
(88×1万 - 105×1万)/88×1万 =19.3%
(仕訳)
有価証券評価損 17万円 / 有価証券 17万円
アリコの場合、この評価損に関する有価証券に対して、
別途デリバティブ取引による評価益が計上される分が
あったと推測されます。
そのため、上記の15%ルールに該当しない、という判断を
国税庁がしたと推測します。
このように、為替相場が大幅に変動した時などは、
決算の申告業務において、注意すべき事項が出てきますので、
十分注意が必要ですね!