手形の裏書1


手形の裏書によって第三者へ譲るという仕訳でしたが、
その手形がもし不渡りとなった場合、その代金を肩代わりしなければ
なりません。そのときにリスクを計上する仕訳勘定を勉強します。
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                               2005.08.17
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<仕訳30> 手形の裏書1
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 《手形の裏書》は、3級でも学習しましたね。
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 ※《手形の裏書》とは … 
     仕入代金の支払いなどのために、所有する手形(受取手形)を
     満期日前に、第三者に譲り渡すこと。
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 そして、日商3級で学習した仕訳は、次の通りでした。
  (借)仕 入 な ど  ×× (貸)受 取 手 形  ××
 このように、3級では、手形を裏書したら同時に手形の権利も消滅する、
という学習しかしていません。
〔★注目★〕
  でも、本当の《手形の裏書》というのは、
 「手形を裏書した(権利を譲った)後も、その手形に対しての責任を、自分
 が保証します」という意味を含めて、譲り渡すのです。
  もう少し詳しく言うと、
 「手形の振出人が、万が一、支払い不能(不渡り)になったら、その代金を、
 自分が責任を持って肩代わりします(支払います)。」ということになります。
 保証人になるようなものですね。
  この裏書した手形を保証することを、『手形の遡及』といい、これは、
 『手形の振出人により、満期日に手形代金の支払いがされない場合、その時
  の手形の所有者は、自分より前に所有していた者に対して、手形代金の
  請求ができる。』という内容です。
  つまり、《手形の裏書》をすることで、『手形の遡及』というリスクを
 負ってしまうのです。
  だから、手形を裏書した人は、裏書したあとも、振出人が、満期日に手形
 代金を支払うまでは、安心できないのです。
 *そして、このリスクを『偶発債務』といいます。
               ∥
 『現在は“債務”ではないが、将来“債務”となる可能性のあるもの』
 以上のことから、実際に、手形を裏書することでリスクが生じるので、2級
では、この『偶発債務』を、備忘的に記録しておく方法を学習していきます。
 まずは、特殊商品販売でも何度か登場した、【対照勘定法】から始めます。
【対照勘定法】
 ●仕訳1 ~ 手形裏書時(買掛金の支払いの場合)~
  (借)買  掛  金  ×× (貸)受 取 手 形  ××
     裏書 義務 見返  ××    裏 書 義 務  ××
     ―――――――        ―――――――
        ↑              ↑
       または、            または、
    「手形裏書義務見返」      「手形裏書義務」
   ・【対照勘定法】では、『偶発債務』を表現するために、
    「裏書義務見返」勘定と「裏書義務」勘定を用います。
   ※「裏書義務見返」「裏書義務」勘定が、記帳されることで、
     今いくらの手形が裏書中なのか、ということが分かります。
 ○仕訳1 ~ 手形裏書時(買掛金の支払いの場合)+ 保証債務時価 ~
  (借)買  掛  金  ×× (貸)受 取 手 形  ××
     保証 債務 費用  ××    保 証 債 務  ××
     裏書 義務 見返  ××    裏 書 義 務  ××
     ―――――――
        ↑
      *よみかた:[うらがき ぎむ みかえり]  ●仕訳2 ~ 裏書した手形が無事決済された時 ~
  (借)裏 書 義 務  ×× (貸)裏書 義務 見返  ××
     ―――――――        ―――――――
        ↑              ↑
     または、           または、
     「手形裏書義務」       「手形裏書義務見返」
 ○仕訳2 ~裏書した手形が無事決済された時
                  + 保証債務時価があった場合 ~
  (借)裏 書 義 務  ×× (貸)裏書 義務 見返  ××
     保 証 債 務  ××    保証債務取崩益  ××
   ※ 手形が無事決済されたので、裏書中の手形はなくなり、リスクも
     消滅します。
     よって、仕訳1の「裏書義務見返」「裏書義務」勘定を反対仕訳
     して取り消し、同時に保証債務も取り崩します。
【練習】::::::::::::::::::::::::::::::
 次の取引を、対照勘定法で仕訳しなさい。勘定科目は以下より選ぶこと。
 [ 受取手形,買掛金,裏書義務,裏書義務見返,保証債務,
   保証債務費用,保証債務取崩益 ]
  
 (1)買掛金50万円を支払うため、得意先振り出しの約束手形を
    裏書譲渡した。なお、保証債務の時価は1万円とする。
 (2)満期日になって、上記の裏書手形が無事決済された。
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【答え】単位:万円
 (1)(借)買  掛  金  50 (貸)受 取 手 形  50
       保証 債務 費用   1    保 証 債 務   1
       裏書 義務 見返  50    裏 書 義 務  50
 (2)(借)裏 書 義 務  50 (貸)裏書 義務 見返  50
       保 証 債 務   1    保証債務取崩益   1
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