第145回日商簿記検定2級の講評

今回の「頑張ろう日商簿記2級合格」は、第145回日商簿記検定の講評をしてみたいと思います。
 
ここ最近は少し合格率が低くなってきて勉強が大変だったと思いますが、今回は比較的今までの努力が報われる、標準レベルに近い試験になったと思います。

今回が少し厳しいと思った方は、もう一度復習をして再びチャレンジすることもあると思います。
 
今週は少し休んで、来週からあなたのペースにあわせてコツコツと勉強なさってください。
では、今回の試験について簡単な講評をいたします。
 
レベルとしては標準レベルかと思います。
前回まではやや難だったので、多分これぐらいの難易度が今後も続くのかと思います。
 
第三問が少し取り組みづらいところがありましたが、第一問、第二問、第四問、第五問はだいたい実力が試される問題だったと思います。
 
第一問は8割取れます。
比較的例題レベルで、5つのうち4つ(16点)ぐらいは取れるのではないかと思います。
 
第二問は株主資本等変動計算書でしたが、前にも出ていますし、きちんと勉強していれば割と点数が取りやすいです。
 
第三問はまともに解くと時間が足りなくなるかもしれないので、45分という時間配分をきちんと守って、全部できなくても45分終わったところで次の問題に移るようにして、時間配分戦略をきちんと守られた方が比較的合格しやすくなるかと思います。
 
第四問と第五問は気づけばある程度点数が取れるかなという問題でした。
満点を取るには難しい部分はありますが、7割8割ぐらいは取れる可能性は十分ありますし、上手くひらめけば満点も狙える問題でした。
 
では第一問からみていきます。
簡単に論点をご紹介します。
 
まず1問目は営業外支払手形です。
最近はこの手の問題がよく出てきます。
 
分割払いですが、借方は備品と前払利息で、貸方が営業外支払手形になります。
それから、今回は2問目が少し進んでいる論点を出しています。
合併して負ののれんが発生するケースです。
 
普通ののれんは割とやっているのですが、負ののれんは簿記1級レベルでよくやります。
ただ、柴山式のテキストでもコンパクトではありますが負ののれんについては若干説明を加えています。
 
負ののれん発生益というやつですが、これは勘定科目にも出ているのでなんとか取れるという気がします。
 
3問目は典型的な満期保有目的債権の取得で、端数利息の調整が入るものです。
これも得点してほしいです。
 
4問目は最近の新しい傾向で、役務原価です。
役務の提供と仕掛品勘定のケースです。
 
これも柴山式の改定用のテキストに盛り込んでありましたので、丁寧に復習された方は4問目もきちんと解けたのではないかと思います。
 
5問目は本支店会計ですが、かつては本腰を入れていたのですが、最近はあまりウエイトが高くないので、少し手薄になりやすい論点です。
 
ここは勘定科目の一覧表を見ていくと、支店勘定と損益勘定にピンと来れば正解できる気がしますが、ここはできなくてもいいかと思います。
 
支店の純利益と支店勘定です。
(借方)支店 (貸方)損益 ということに気づけばいいのですが、なかなか難しいと思います。
 
しかし、1~4問目は比較的取りやすい気がしますので、16点を目標にします。
12点でもいけないことはないですが、16点取れればもっといいです。
 
勿論、5問目はひらめけば取れるかもしれませんが、日商簿記検定1級のレベルに近いかもしれません。
 
意外と本支店会計の決算を苦手にしている方が多いので、5問目は落とす気もします。
1~4問目をしっかり取れれば16点狙えますので、目標は16点です。
ただ、イージーミスを1個して12点ぐらいかなという気がします。
 
次に第二問ですが、株主資本等変動計算書でして、これは過去にも何度も出ています。
うちの解答スタッフとも話し合ったのですが、テキストの復習と練習問題を丁寧にやっていけばある程度解けるだろうということで、ここは場合によっては満点が出るのではないかと思っています。
 
20点中16点が目標です。
今回の問題は第三問のバランスシート作成です。
 
これをまともに全部やろうとすると多分1時間ぐらい掛かってしまって、他のできる問題を落としてしまい、結果として不合格になってしまうケースがありますので、第三問に時間をかけすぎた場合は今回は苦戦します。
 
ここを45分という時間制限をしっかり守って、部分点で切り抜けるのがポイントです。
上手くいって12点ぐらいかなと思います。
 
ここは8割とか9割を取りにいくと厳しいと思います。
今回は第三問が肝でしたので、第二問にきちんと時間を取れるかどうかです。
 
最近の傾向としては第二問が難しいけれども、易しいこともあるかもしれないので、一応先入観を持たずに、第二問が取り組みやすいことも想定して、まずはザッと問題文を読んで難易度をある程度推測してください。
 
ここで多少の応用が問われます。
いつも第二問が難しいわけではないということもあります。
 
前回は難しくて、出題委員の先生の方が世間から相当言われたのかもしれません。
そうすると、それを踏まえて調整してくる可能性もあるので、今回のように第二問の方が取りやすいというケースもあります。
 
これは第三問の時間配分(45分)をきちんと守れば、最後の20分か25分を第二問に使えて解けたと思います。
 
あるいは、機転を利かせて第二問を先にやるという方法もあります。
株主資本等変動計算書は点を取りやすいという最近の傾向を知っていたならば、第二問の方が取りやすいです。
 
そして、第三問のB/Sは12点を目標で、部分点を積み重ねてください。
特に減価償却のところで、備品の定率法のあたりは難しいので、そこを飛ばしたり、効率良く解けたかどうかです。
 
あとは配点の関係もありますが、おそらく12点ぐらいは狙えるかなと思います。
そして、第四問と第五問ですが、ここは標準レベルですが気をつけてほしいところが少しあります。
 
部門別計算で直接配賦法なので、それほど難しくないのですが、第四問の問2で仕掛品勘定の製造間接費部分ですが、当月実際配賦額2,200,000が、部門別配賦表の合計から移るのだということが分かれば、あとはある程度月末の仕掛品と完成高、ここは万が一間違えても8割いくと思います。
 
部門別配賦表をしっかり取って、製造間接費の仕掛品勘定2,200,000ができれば8割いくと思いますので、それが取れるかどうか1つのポイントです。
 
あとは、第五問に関してはパズル的な問題ですが、第1期の生産量と販売量が1,000個というふうに同じなので、同じことを踏まえて、たしか固定費が360万だったと思いますが、それを割って単価360が出るかどうかです。
 
あとは差し引きで変動費を出してというふうに積み上げていけば、実は前々期の第1期は結構できそうです。
 
ここで半分を取ります。
第2期も固定費と売上はできると思います。
 
部分点がくるかもしれないので、半分ぐらいは取れるかもしれません。
そうすると10点と16点で26点は取れます。
 
もう少しプラスして28点ぐらいは取れればいいという気がします。
ただ、第2期、後半の方でも、固定費を出す時に生産量で割るということが分かればできないことはないです。
 
あとは丁寧に問題文を読んで、ちょっとした応用を利かせられるかどうかという話だと思います。
 
前々期が生産量1,000個、前期が1,200個です。
ただ、販売量が1,000個なので、販売量の1,000個で固定費を割ってしまうと前期の方は間違えてしまいます。
 
ですから、ここを丁寧にできたかどうかです。
ただ、できる人は満点が取れるので、ここで結構差がつくと思います。
 
20点満点取った人と、4点5点6点ぐらいで大きな差がつきますので、第五問は少し怖い問題ではあります。
 
1つ間違えてしまうと一気に点数を失ってしまう可能性があるのが第五問でした。
とはいえ、できる方もいらっしゃると思うので、取れる方は20点取れるかもしれません。
 
以上を踏まえると、今回の合格率は前回よりは若干上がって、20パーセント以上はいくと思っています。
 
前回は14パーセントか13パーセントぐらいで低かったですが、今回は20パーセントは超えてくれれば良いと思っています。
 
前回の第二問のようなとても大変な問題はなかったので、もう少し合格率は上がると予測しております。
 
正しい努力がある程度反映される良問が今回は揃っていると私は思っていますので、今回の簿記2級を復習なさってみてください。
 
これから簿記1級を勉強する時にも役に立つ知識が結構ありますので、参考になさってください。
 
柴山式で学習をして頂いても構いませんし、みなさんのやりたいやり方で良いと思うので、ぜひ簿記1級を目指してみてください。
 
私はいつもあなたの日商簿記検定2級合格、そして簿記1級へのレベルアップの勉強などを精一杯心から応援しております。
 
ここまでご覧頂きまして誠にありがとうございました。
そして、みなさん本当に今日はお疲れさまでした。

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