一般的な戦略の種類【経営戦略を学ぶ】

2016年版の2回目の講義です。

 

今回は一般的な戦略の種類ということで、経営学や経営戦略を勉強すると最初の頃に出てくる基礎知識です。

 

中小企業という実践的なところからすると若干、言葉遊びのようなところがあって、すべてを使うわけではありませんが、議論の土台になるような基本的な知識なので、基礎知識として知っていただければと思います。

 

この3つの種類を知らないで「経営学を学んだ」と言っても、「本当にこの人経営学を勉強したの?」と思われかねないので、教養として知っておきましょう。

 

戦略には、全社戦略(企業戦略)、事業戦略、機能(別)戦略の3つがあります。

レベルからすると全社戦略が一番大きくて、事業戦略が中レベルで、機能戦略は小さいレベルです。

 

それを踏まえてみておきましょう。

まず社会があります。

 

第1回では企業の存在意義について解説しましたが、その中で「財務を制する者は企業を制する」という私の好きな本を紹介しましたが、その流れで「貢献」「営利」「健全」ということをお話しました。

 

つまり、社会に貢献してお客さんに喜んでもらって、その報酬として利益をいただいて、その利益を浪費したり借金せずに上手な資金計画で上手に使って健全な財政を維持するということです。

 

健全な財政を維持することでお金が余ったら、そのお金をさらに新しい貢献の機会に投下して、さらなる貢献をします。

 

このように螺旋階段のように成長していくということです。

これが企業の存在意義であるとお話をしました。

 

それに関連させると、社会の中で自分が貢献できる市場を見つけます。

A市場、B市場、C市場……たくさん市場があるなかで、たとえばB市場に行こうと決めます。

 

つまり、市場を選ぶことが全社戦略です。

数ある社会の市場のなかで自分はどこで生きていくか、自分が戦うべき場所、自分が経営リソースを投下すべき市場を選定することが全社戦略です。

 

ここで企業理念が出てきますが、これは一番大きいレベルです。

市場を選びましたが、このなかにはライバルがたくさんいます。

 

たとえばX社、Y社、Z社など、たくさんいるライバルがいるなかで競争をしなければいけません。

 

ときにはライバルのお客さんを奪い取ることもありますし、逆に自分たちのお客さんがライバルに奪われることもあります。

 

ルールに従ってお客さんを獲得し合う競争があります。

その競争が中レベルの事業戦略または競争戦略です。

競争戦略に関してよく言われることは3つあります。

 

1つ目は価格です(低価格・価格勝負)

2つ目は差別化です(商品の差別化など)

3つ目は集中戦略やニッチ戦略と呼ばれるもので、市場の隙間を狙うというものです。

 

我々中小企業はどれでいくかというと、最優先はニッチ戦略で、次に差別化戦略です。

中小企業が価格戦略をとることはあり得ません。

なぜかというと、資本力がないと勝てないからです。

 

粗利を削って競争をしてライバルが倒れた頃にまた利益を取りに行くというのはできません。

 

薄利多売は難しいので、中小企業は基本的に差別化またはニッチ戦略をとることになります。

先ほど「言葉遊び」だと言ったのはそのことなのです。

 

中小企業は経営理念であるとかどの種類を選ぶという余裕がないので、その前にまず自分の得意分野でどこに隙間を見つけるか、限られた資源でどこで競争するかが一番大事なところなので、そこを意識する必要があります。

 

競争戦略を決めた後は、機能戦略といって、会社の中の一番小さな単位で技術開発、販売、購買、物流や人事、財務などたくさんあります。

 

大企業であれば財務戦略や技術戦略などと言っていられますが、中小企業は大企業に比べて売り物が限られているので、機能は1つしかありません。

 

まずはとにかく「売る」ことです。

だから、中小企業には販売機能戦略しかないのです。

 

財務だの購買だのを考える暇があったら、まずは年間1,000万円以上売りなさいということです。

 

年間の売上が500万だったら商売になっていません。

だとすると、技術云々ではなくて、まず販売なのです。

お客さんに一定の規模で売れるかどうかです。

 

したがって、中小企業では機能戦略というのはあまり考えられません。

中小企業の企業戦略はただ1つ、販売のみです。

 

したがって、中小企業は販売戦略かつニッチ戦略に特化して戦略を考える必要があるのです。

 

上場企業や大企業であれば全社戦略を考えて、マーケットを選んだ後の事業戦略を考えて、そのあとに機能戦略を考えることができるわけです。

 

まずはこの3つの分類を意識して、今後の戦略について見ていきます。

ただし、私が中小企業で戦略を考えるときは、だいたい事業戦略のうちのニッチ戦略、それから差別化戦略を中心に、機能別戦略も販売戦略が8割ぐらいになると思います。

 

これが中小企業の生きる道です。

ただ、その前提として、こういう一般的な戦略の種類として、全社戦略、事業戦略、機能別戦略があるということを知っておきましょう。

 

ぜひ参考になさってください。

私はいつもあなたの戦略の勉強を応援しております。

ここまでご覧いただきまして誠にありがとうございました。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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