日本紙パルプ商事、利益水増し3億円

紙専門商社最大手の日本紙パルプ商事で、約5年にもわたり売上と利益が水増しされていたそうです。

この日経新聞による報道を受けて、今日、同社のIR情報サイトで、急ぎ次のタイトルの記事がアップされました。

タイトルをサイト上の原文ママでご紹介します。

「当社従業員による不正行為について」
⇒ https://www.kamipa.co.jp/news/release/412

さて、本題の売上及び利益水増しについてですが、会社のリリース内容の本文を、一部、ご参考までに引用いたします。

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当社従業員による不正行為について

本日、当社に関して日本経済新聞に報道がありましたが、これは当該記事中の業績予想に関する部分も含めて、当社が発表したものではありません。

しかしながら、当社従業員が、不正な在庫の処理により架空に利益の計上を行っていたことは事実です。

当社においてこのような事態が生じたことは誠に遺憾であり、関係者の皆様に多大なご心配とご迷惑をおかけしますことを深く詫び申し上げます。

1.不正行為の概要
本件は、当社営業部門の一従業員が所属する部門の営業成績のために、不正な在庫の処理により売上原価を操作し、架空に利益を計上することを5年間にわたり繰り返していたという事案です。
本件は当社の内部監査により発見され、外部の専門家の指導を得ながら調査を進めた結果、その金額は約271百万円であることが明らかになりました。

但し、私的流用はありませんでした。

:(省略)

3.業績への影響
本件が今期の業績に与える影響につきましては、現在精査中であり、修正が必要と判断された場合には速やかに公表致します。

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同社の対応としては、平成28年3月期の売上原価の修正として処理する予定とのことです。

通常、過年度の経理誤りがあった場合は、過去の決算書にさかのぼって、修正するというルールがあるのですが、利益への影響額が小さく、不正流用がなかったことから、そういった事情を勘案して、過年度の遡及修正を行わずに、当期の決算で、売上原価の修正という方法に決まったようです。

なお、この点につき、日本の会計実務上、つぎのような会計基準が準拠すべきルールとして存在します。

「企業会計基準第24号 会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」

この会計基準は平成21年12月4日に、企業会計基準委員会というところから発表されました。

当該基準によりますと、過去の財務数値の誤りは、原則的には過去に遡って修正しなければなりません。

しかし、今回のケースのように、重要性がそこまで高くないと判断された場合は、過去の財務諸表を訂正する必要はないとされています。

ただし、そうなると過年度のミスを当期の損益に反映させることになってしまうので、会計基準の本来の趣旨からいうとあまり望ましくないですね。

したがって、これは重要性が低いと考えられる場合に、限った例外的な措置になります。

そのさい、当期の損益計算書には、その項目の性質に従って、営業損益項目または営業外損益項目などとして、処理・表示されます。

こういった規定を踏まえて、今回のケースでは、売上原価の修正(=営業損益の修正にあたる)としたのでしょう。

ちなみに、日本紙パルプ商事株式会社の2015年3月期の業績は、売上高5,301億円、営業利益64億円、経常利益63億円、当期純利益31億円(いずれも億円未満切り捨て)です。

営業利益64億円に対して修正額が3億円ですから、営業利益に対する5%弱ですね。

なお、純資産は825億円です。

こういった財務諸表本体の数字との比較検討なども行い、その結果、当該修正額の重要性判断を行ったとも考えられます。

以上、過去の不正に関する修正を当期の損益に含めて行うケースのご紹介でした。

(日経16*2*3*15)

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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