東芝の不適切会計、歴代3社長が現場に圧力

「喝!!!!!!!!!」

報道の事実がもしも本当なら、怒鳴りつけてやりたくなるようなお話です。

あくまで報道のとおり「組織的な利益操作」「経営トップが関与」があったらならば、ですが。

もし本当ならば、株主をとことん馬鹿にしています。

歴代トップ3が辞任すると翌日の新聞では報道されていますが、よもや、なにごともなかったかのように、こそ~っと退職金をもらうとか、自分たちの懐を全く傷めずにスルーしようなどとは考えていないでしょうね。

ただ、辞めることが責任を取ることではありません。

犯した過ちに応じた痛みを受けて、はじめて責任を取って「イーブンになった」といえるのです。

このトップ3もそうですが、あとに残って顧客や世間からの冷たい目に耐えなければならない「不正とは無縁の」東芝社員がどれだけ大変な思いをするか、組織的不正に手を染めた人達は、考えてみたことがあるのでしょうか。

監査論という学問があります。

公認会計士試験の必須科目です。

上場企業などの株式取引を円滑にするために、投資家にとっては最大の投資情報といってもいい財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書)の信頼性を担保するために、

(1)会社とは特別の利害関係にない独立した第三者の立場で、
(2)会計の専門家による財務諸表のチェックを経て、
(3)その結果、会計ルールに従って正しく開示されていることを
(4)世間に対して立証し、報告する。

これが監査という仕事です。
一生懸命に仕事をしても、なかなか表には出ずに目立って社会から褒められることは、なかなかないのですが、日本経済の重要な一部を担う、とても大事な役割が監査なのですね。

会計士監査がなければ、株式市場の円滑な運営はありえません。

経営者が誠実に財務諸表を作っているなんて、いくら経営者本人が声高らかに主張しても、自己主張では信用できないですね。

今回の東芝の件でも分かることですが、社長はじめ経営陣は、常に業績アップのプレッシャーにさらされています。

だから、粉飾決算(利益の水増し)をはじめとする不正な決算を行う誘惑は常に周辺に存在します。

それに歯止めをかける仕組みがいろいろとあり、その重要な一つが会計監査なのですね。

今回の一件では、担当する監査人も、厳しい時間をしばらく過ごすことになるのではないかと思います。

ここで、監査論の話に戻りますと、監査論には「内部統制」という、これまた重要なテーマがあります。

内部統制とは、

(1)会社の業務効率化
(2)法令遵守
(3)財務報告の適正性
(4)資産保全などの

目的を達成するために整備運用されるさまざまなしくみのことです。

社内の様々な規定・ルールや職務分掌、組織図、業務の運用手順、賞罰、情報処理(IT)に関する整備運用など、さまざまな管理のしくみが含まれます。

こういった内部統制が一定レベルできちんと整備・運用されていれば、そう簡単に不正や誤りを看過して重大な事件や問題に発展することはそうめったにないですよね。

しかし、内部統制システムが機能しなくなると、重大な損害に繋がるような不正・ミスなどがおきやすくなります。

なかでも、内部統制の限界とされる要素で重大なものの一つが、経営者自身が内部統制システムを無視した行動を取ることです。

そもそも内部統制を構築するのは組織のトップである経営者ですから、その作り手である経営者自らが、ルールや仕組みを超越して暴走すると、もはや内部統制の器の中では抑制が効かなくなります。

こういったことから、経営環境の厳しさや経営者の誠実性のようなことまで、監査を行う上では意識することが必要になるでしょう。

いずれにせよ、トップにさからうことは、たいていの組織にあってはとても難しいことです。

だから、経営トップには、その会社で最も自己を律することができる人物がなるのが理想なのです。

いかに内部管理のシステムが完璧でも、経営者がひとこと、「とにかく〇〇をやれ!」と言ったら、それを「ルール違反です!社長!」のように内部統制の仕組みの中で指摘・修正することは常識で考えても、きわめて難しい事情があることは、企業にお勤めの多くの方にご理解いただけると思います。

所詮、組織は人の集まり、内部統制だのなんだの言っても、経営者がみずから衿を正せない集団では、どんなに先端のなんちゃら委員会を作ろうが、社外取締役を何百人いれようが、意味ナッシングでしょう。

コーポレートなんちゃらだの、表面的・法律的な形ではない。

今は、「口だけ社会貢献ごっこ」をしているつもりの経営者がいかに多いか、ということです。

繰り返しますが、経営者が理に暗い人だと、どんなにすごい画期的な内部統制も台無しになります。

海外に対しても、「日本の会社のディスクローズは、大丈夫なのか?」といった不信感をもたれるには十分なインパクトを与えてしまった、ということを、東芝のトップの方々は自覚されているでしょうか。

一つの会社にとどまらない大きな波紋を与えた社会的な罪は、とても大きいと思います。

それが、「上場企業の経営者になる」ということです。

軽い気持ちで日本を代表する大企業の舵取りをしてもらっては困りますよね。

経営者が内部統制の頭越しに悪いことをしない、という暗黙の前提が崩れたら、会計実務ひいては株式市場の大前提となるディスクロージャー制度がまったく信頼されなくなるのです。

そういった意味では、私たちに多くのことを考えさせる事件だといえるでしょう。

(日経15*7*21*1)

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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