良品計画が3-11月最高益(日経15*1*7*15)

円安の影響を有利に働かせ、良品計画が業績アップさせています。

1月6日に発表した2014年度第3四半期決算では、9ヶ月累計で最終利益124億円と、前年同期比14%もアップしたそうです。

これは、過去最高とのこと。

※良品計画の決算短信・関連資料
→ http://ryohin-keikaku.jp/ir/finance_results/

ただ、業績予測を見ると、2015年2月期の最終利益は15,400百万円と、前年比で9.9%マイナスになります。

経常利益より上の部分は10%を超える伸びなので、株価に与える影響は軽微かもしれませんが、いちおう、念のため。

ご参考までに、1月6日の発表前後における株価の動きです。

日  付 始値 高値 安値 終値
2015年1月9日 13,510 13,530 13,060 13,180
2015年1月8日 13,300 13,530 12,850 13,530
2015年1月7日 13,860 13,900 13,270 13,430
2015年1月6日 14,880 15,090 14,720 14,760 ←発表15:00
2015年1月5日 14,880 15,050 14,760 15,000

こうしてみると、第3四半期の決算発表後、株価は下がっています。

過去最高益の発表なのに、なぜ株価があがらないか、というと、おそらくはある程度の予測がたっており、今回の発表内容を織り込んだ上ですでに株価が形成されていると考えることができますね。

だから、サプライズがなくて、逆にややがっかりみたいなところがあるかもしれません。
ちなみに、7日の日経新聞によれば、国内事業は業績として苦戦しているが、中国などアジアで衣料品・生活雑貨が売れており、海外の既存店売上高が現地通貨建てで5%増えているとのことです。

9月末に出店したパリの旗艦店も好調な出だしだそうです。

外貨建ての売上高は、円安になれば、より大きな円換算額になりますので、そこでさらに業績を伸ばすことになりますね。

さらに、外貨建ての資産の期末評価における利益もあなどれません。

海外子会社向けの外貨建て貸し付けに為替差益が約20億円発生し、経常利益が16%アップする要因となるそうです。

外貨換算会計のルールでは、

(1)外貨建て金銭債権債務は、決算日の為替相場で円換算

(2)金銭債権債務以外は発生時の為替相場のまま円換算

というきまりがあります。

海外の建物や機械・備品などの固定資産は、金銭債権ではないので、取得した日の為替相場にもとづいて毎期の決算で円換算されます。

しかし、現金・預金はもちろん、売掛金や未収金や貸付金など、将来現金で回収するものについては、取得日の為替相場ではなく、決算日の為替相場で円換算し直しますので、とうぜんその間の為替相場の変動による差が出てきます。

これらの為替相場の変動による差額を、会計用語では「為替差損益」というのですね。

為替差損益は、本業に関わる活動から発生するものではないので、営業利益には含まれません。
ただし、為替相場の変動は日常的におこります(=経常的に発生)。

そこで、営業外だけど経常的な項目ということから、営業外損益の区分に表示され、経常利益の計算要素となるのです。

良品計画のように、外貨建て金銭債権(資産)を多く持っており、かつ円安のトレンドにある場合は、特として多額の為替差益(儲け)を計上します。

これが、経常利益をさらに上積みする要因となるのですね。

もちろん、海外からの輸入を多くしている企業からすると、逆に外貨建て金銭債務(買掛金など)を持っているでしょうから、逆に円建て金額が増える円安はノーサンキューといったことになるでしょう。

立場変われば、円安の効果も真逆になるというわけですね。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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