資本等式と貸借対照表等式【知識ゼロからの会計学入門013】

知識ゼロからの会計学入門、第13回は「資本等式と貸借対照表等式」というテーマでお話をします。

今回は貸借対照表の表示について一緒に見ていきましょう。
貸借対照表の表示と2つの視点です。

会計期間が1月1日(期首)~12月31日(期末)の会社を例に、期首の貸借対照表と期末の貸借対照表を比較してみました。

期首における資産は現金1,200万円と備品(パソコンなど)が800万円で、合計2,000万円の財産(総資産)がありました。

一方、それをどうやって調達したかというと、銀行などからの借り入れが500万、株主からの出資が1,500万ありました。

そして営業活動を行い1年後にどうなったかとういと、資産は現金は600万円、売掛金が850万円、商品が750万円、備品が800万円となりました。
売掛金とは売り上げた商品の未回収の代金のことです。

一方、負債の中には買掛金がありますが、仕入代金の未払いを買掛金といいます。
もし、得意先が経営破綻などをしてお金が回収できなくなった場合は「貸倒」ということになります。

これが一般的にいうところの「不良債権」ということです。
銀行は一時期不良債権(貸したお金が返ってこない)を抱えて苦労しました。

そして「商品」というのは売れ残った商品です。
期末の資産の合計は3,000万になります。

そして負債・純資産のほうは、買掛金が780万、借入金が400万、資本金が1,500万で、資産との差し引きで当期純利益が320あります。

これをすべて足すと3,000万になります。
これには視点が2つありまして、1つは「純資産」で、株主の視点です。

資本金の1,500は1年後に利益の320が上乗せされて、1,820が株主の持分(純資産)になります。

株主の取り分というのは資本金+儲けなのです。
つまり、株主にとっての資本(純資産)が1,500から1,820に増えましたが、この増えた部分が利益だというふうに理解してください。

2つ目の視点は、経営者の視点です。
経営者と株主は、本来は別人です。

社長というのは経営の能力はあるけどお金はあまりなく、一方で資本家はお金はたくさんあるけれども経営の専門能力がありませんので、経営の専門家にお金を預けて経営を任せるということです。

つまり、所有者である株主と経営者である社長は別人というのが会社形態の基本です。
これを「所有と経営の分離」といって、会計やビジネスの基本です。

株主の立場でいくと、自分の取り分である純資産が1,500から1,820に増えました。
経営者の立場でいくと、資産の合計部分が経営者の視点です。

純資産の増加・減少を意識するのが株主の視点です。
これを知っておいてください。

貸借対照表には総資産の変化を見る視点と、純資産の変化を見る視点の2つの視点があるということを知っておいていただきたいと思います。

では、株主の視点について見ていきましょう。
純資産がどれだけに興味を持つという株主の視点を「資本等式」といいます。

資本等式というのは、株主の視点から、1年前と比べて純資産がどう変動したかに興味を持っている考え方です。

もっと言うと、期末における純資産をどういう計算をされたかを見ます。
資産を「積極財産」、負債を「消極財産」と言うこともあります。

会社が持っている資産は処分すれば換金できるので、お金になり得る“嬉しい財産”ということで「積極財産」です。

この例の場合は、積極財産(資産)3,000万から消極財産(負債)1,180万を引くと1,820の純資産が求められます。

資産3,000-負債1,180=純資産1,820というような、純資産を求めるような等式を「資本等式」あるいは「純資産等式」といいます。

株主にとっての資本とは何かというと、株主の取り分である純資産のことです。
期首の純資産が1,500万であったのに対して期末は1,820万であったので、320万の純資産が増えましたが、ここに専ら意識するのが株主の視点です。

次に経営者の視点を見ていきます。
経営者は、経営を任されているわけですから、預かった財産をいかに有効活用して儲けを増やすかに専ら意識が向けられます。

貸借対照表の左側、つまりどういう姿で財産を持っているか(資産の運用状況)、運用した財産をどう調達したかというのは、トータルで期首が2,000万、借入が500万ということで、株主自身は自分なので、自己資本といいますが、自分で調達したのは1,500で、株主以外の他人から調達資本した資本が500万です。

この場合はどうかというと、2,000の総資産が資本なのです。
経営者にとっては総資産がイコール資本で、これを総資本ともいいます。

経営者にとっての元というのは総資産なので、これを総資本ともいいます。
会計の世界で難しいのは、資本という言葉をいくつか使い分けていることです。

経営者の視点ならば資産合計です。
株主の視点ならば総資産はあくまで資産であって、株主にとっては自分の取り分である純資産こそが資本なのです。

株主の視点における大事な財産は資本なのです。
しかし、経営者にとっての資本はあくまで資産合計です。

「資本」という言葉がどちらの意味で使われているのかということを文脈から判断する必要があります。

多くの場合は株主の視点であることが多いので純資産を資本といいますが、総資本を指して資本と言う場合もあります。

会計の専門家は気にせずに、その時の雰囲気で使い分けていますので、総資本という意味で資本と言うこともあるし、純資産のことを資本と言うこともあるので、「資本」という言葉は割と柔軟に使われます。

期首の総資産である2,000万が3,000万に増えましたが、増えた1,000万をどうやって調達したのかという、調達の元が資本ということです。
ただ、経営者にとっては合計である3,000万が総資本なのです。

株主の立場では、自分の取り分を意識するので、1,820が株主にとっての資本になります。
そして、他人資本が少ないほうが返済の制約も少なく、経営者にとっては経営がしやすいと思います。

これは考え方にもよります。
金融機関からどんどんお金を借りてビジネスを展開できるので、ビジネスを大きくするためには他人資本が多くてもいいという考え方もできます。

景気がいいときには借金をして商売を増やすというケースもあります。
預かったお金をどう運用するかという意味で、経営者の関心が高いのは総資産という意味での資本です。

この場合の貸借対照表等式は、資産が中心になって、「資産(運用総額)=他人資本および自己資本の合計」となります。

要するに、総資本(資産)3,000=他人資本(負債)1,180+自己資本(純資産)1,820ということです。

簡単に言うと、貸借対照表等式というのは貸借対照表の借方と貸方の関係なので、資産=負債+純資産という等式です。

先ほどの資本等式はなにかというと、「資産-負債=純資産」であって、純資産を重視するのが株主の立場です。

貸借対照表等式というのは、「資産=負債+純資産」で、負債と純資産はあくまで脇役で、資産が大事なのです。

この場合は負債を他人資本といったり、純資産を自己資本と言ったりします。
これはドイツから来ているとも言われています。

資産-負債=純資産というのが株主の立場です。
資産=負債+純資産というのが経営者の立場です。

これによって、どちらの立場で貸借対照表を見ているのかを使い分けていただくと、会計学に対して深みが増すと考えてください。

少し理屈っぽい話になってきましたが、もしかしたら将来日商簿記検定3級や2級で出題される可能性がないわけではありません。

最近、理論を導入しようという動きがあるかもしれないと私は思っていますが、簿記検定対策以外でも、会計理論として知っておいて損はないので、今回はお話してみました。

ご参考になれば幸いです。
覚える必要はありませんし、分からなければ先に行って構いません。

今は全部分からなくても、いずれ分かるかもしれませんし、分からなくても実務には影響ありませんので、分かる範囲で教養を深めてください。
次回は損益計算書の等式と利益の計算方法についてお話します。

簿記検定の4級は理論が出ますし、3級でもこれからは理論がでるかもしれませんから、将来の簿記検定の対策になるかもしれません。
ここまでお疲れさまでした。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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