予想経常利益の成長率、トップは日本製紙の3.3倍(日経13*2*28*17)

2013年3月期の上場企業の経常利益が3%増加となる見込みだそうです。

経常増益率予想経常利益が100億円以上の3月期決算企業で、金融・新興2市場や決算期変更企業を除いて日経新聞社が調査したところ、利益が2倍以上に増えそうなところが9社あったとのことです。

ざっと見てみますと…

1. 日本製紙 3.3倍
2. LIXILグループ 3.3倍
3. トヨタ 3倍
4. 富士重工 2.7倍
5. カシオ 2.4倍
6. TSテック 2.2倍
7. パラベッド 2.1倍
8. ホンダ 2倍
9. ミネベア 2倍

ただ、注意が必要なのは、前期の経常利益が特殊要因で小さかったなどのケースでは、当期の経常利益が正常に戻った場合でも非常に高い増益率となる点です。

したがって、倍率だけでなく、金額での確認もだいじですね。

この点、日本製紙グループでは、前期が出資先の中国企業で株価下落などあり、219億円の持分法損失(関連会社への投資に関する損失です)が計上されていました。

この損失が当期はなくなるそうで、そういった事情も増益に貢献しています。

(参考1)日本製紙の過去2年の経常利益と2013年3月期の経常利益予測
2011年3月… 31,599百万円
2012年3月… 6,057百万円 (0.19倍)
2013年3月… 20,000百万円 (3.30倍)

(参考2)LIXILグループの過去2年と2013年3月期の経常利益予測
2011年3月… 39,160百万円
2012年3月… 16,125百万円 (0.41倍)
2013年3月… 53,000百万円 (3.28倍)

こうやってみてみると、上位2社とも「V字回復」という形の前期比3.3倍という経常増益ですね。

とくに、日本製紙の場合は2年前の経常利益にも満たないので、まだ回復途中という感さえあります。

このように、前期比で増収率が非常に高いと言っても、過去3~5年くらいの推移で詳細に見ていかないと、手放しで喜んでいいというわけには必ずしも行かなくなります。

とはいえ、業績の回復が急ピッチで進んでいるということはいえるので、それはそれで好材料です。

経常利益は、主に本業からの儲けである営業利益をベースに、これに受取利息・配当金や雑収益など、本業とはいえないけど毎期生じる財務活動その他の経常的な収益である営業外収益を加算し、支払利息や雑損失など、本業ではないが毎期生じる財務活動その他の経常的な営業外費用を減算した差額として求められます。

会社の総合力を判断する重要な利益でして、日本において業績といえば、この経常利益がまっさきに思い浮かぶ人も多いでしょう。

それだけに、前期比での増減にとても意識が向きがちですが、それは前期の利益が正常な水準であった場合には有効となる判断指標である、という点も注意しておきたいものです。

できれば過去3期分以上の比較をすることが、増益率など成長性指標をみる時の注意点ですね。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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