ホンダが部品費を3割削減する計画(日経13*1*5*1)

ホンダが、シビックやアコードなど、世界販売で上位3車種の基本構造を統一し、部品の共通化を加速するという話が、1月5日の日経新聞トップで報じられていました。

一般に、自動車の部品は3万点にも上ると言われています。

車一台をつくるために必要な技術力・知識がどれくらい高度なものなのかを伺わせますね。

もしも車種ごとに必要な部品がすべて違ったら、おそろしいコスト高になります。

シビックとアコードの部品がすべて違えば、それだけで6万点の部品を用意し、在庫として保管し、製造工程への投入に関する納期管理や生産管理をしなければなりません。

もちろんコンピュータがなければどうにも管理できない領域に踏み込んでいますよね。

ふと考えると、今から50年くらい前の車って、部品点数が莫大な状態で、いまほどコンピュータが発達していなかったのだから、かなり部品管理や生産管理が大変だったことでしょう。

部品点数3万点は目を見張る多さですが、これが財務諸表にも特徴として顕著に表れています。

次の内訳をご覧ください。

トヨタ
材料費 6,467,269 百万円 (82.4%)
労務費 604,854 百万円 (7.7%)
経費 776,398 百万円 (9.9%)
合計 7,848,523 百万円 (100.0%)

日産
材料費 2,871,929 百万円 (81.4%)
労務費 217,854 百万円 (6.2%)
経費 439,449 百万円 (12.5%)
合計 3,529,232 百万円 (100.0%)

ホンダ
材料費 1,461,870 百万円 (82.2%)
労務費 199,829 百万円 (11.2%)
経費 116,359 百万円 (6.5%)
合計 1,778,059 百万円 (100.0%)

参考⇒http://ameblo.jp/studyja/entry-11444535751.html

以上、日本の自動車メーカービッグ3の製造原価明細(2012年3月期有価証券報告書)を見ても、やはり材料費が全体の81-82%前後と、かなり高い比率を示していますね。

他の製造業では、おおむね製造原価にたいする材料費の比率は50%くらいから前後して考えればいいでしょう。

それからすると、自動車メーカーの80%超は、やはり非常に高い材料費です。

いいかえれば、材料費をいかに抑えるかで、自動車メーカーのコスト体質も大いに変わっていくということの裏返しと見ることもできることでしょう。

ホンダの話に戻りますと、今後3~4年で3種合計の調達費を3割減らす計画だとか。

部品の4~5割を共通化すると出ていますが、これによって材料の発注数量を拡大して調達単価を下げたり、他の車種への融通などで保管コストを下げられるという効果などが期待できるのでしょう。

材料を調達する際の原価は、次の式で計算されます。

材料の原価=購入代金+材料副費

ここで、材料副費と言うのは、引取運賃や購入事務費、関税、保管費、検収費など、材料の取得に係るもろもろの諸経費です。

材料本体の納品書価格のほかに、さまざまなコストが材料費に含められるのですね。

こういったものも含めて、自動車産業では材料費の削減が非常に重要な業績管理のテーマと言えそうです。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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