新日鉄、株式評価損が807億円軽減される見込み(日経12*4*3*9)

2012年4月3日9面(企業総合)の記事です。

新日鉄は4月2日、次のようなタイトルで、ニュースリリースを行いました。

「平成24年3月期第4四半期  投資有価証券評価損の戻入れに関するお知らせ」
http://www.nsc.co.jp/CGI/news/whatsnew_detail.cgi?section=0&seq=00021183

第3四半期(平成23年4月1日~12月31日)までに計上した株式の評価損(連結ベース)が846億円ありました。

これが、第4四半期(平成23年4月1日~平成24年3月31日)では、
株式評価損(連結ベース)38億円と大幅に減少します。

両者の差額が846-38=807億円というわけですね。

一定の有価証券については、期末の時価が帳簿価額(帳簿上の評価額)の半分以下にまで下がるなどの異常な状態になった場合、強制的に時価まで切り下げさせられ、その差額を「特別損失」という損益計算書の表示区分に記載させられます。

損益計算書
1売上高 ×××
2売上原価 ×××
3販売管理費 ×××
営業利益 ×××
4営業外収益 ×××
5営業外費用 ×××
経常利益 ×××
6特別利益 ×××
7特別損失 ××× ←ここです!
税引前当期純利益 ×××

特別損失に、投資有価証券の著しい時価下落などによる評価損を計上すると、その少し上の経常利益には影響ないですが、下の税引前当期純利益以下の数字が悪化します。

なお、去る1月27日に発表された業績予想の修正では、当期純損益は、
黒字でも赤字でもない0という発表でした。

→ http://www.nsc.co.jp/ir/data/20120127121526_2.pdf

さらに、同日に発表された第3四半期の決算短信では、
最終赤字12億54百万円でした。

この時、単純に投資有価証券の評価損807億円がなかったと仮定すると、807-12.54=794.46億円の最終黒字になっていたのでしょうか。

…これはさすがに大ざっぱすぎる想定ですが、少なくとも最終赤字は回避できそうな流れですね。

ご参考までに、平成23年12月31日(第3四半期末)と平成24年3月31日(第4四半期末)のそれぞれの日経平均終値を比較してみましょう。

平成23年12月31日 ・・・ 8,455.35円

平成24年3月31日 ・・・ 10,083.56円

※3ヶ月間の時価変動差額…プラス1,628.21円

※上昇率…19.3%!!(1,628.21円/8,455.35円)

おどろいたことに、第3四半期末からわずか3ヵ月で、20%近くも株価を回復させていたのですね。

ここから想像できることは、なんでしょうか?

3月末決算の上場企業は、株価回復で業績を上方へ後押ししやすい状態

このように言えそうです。

もしも、4月下旬以降に始まる3月決算の会社の財務状況が、今回の株価上昇の恩恵を受ける形になれば、さらにその発表を好感して株価が上昇トレンドに…などという好循環が生まれることを、心から祈りたいと思います。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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