年間800億円以上の休眠預金、活用の途は?(日経12*3*10*4)

銀行などの金融機関の口座で長期間預けたままで出し入れのないものを、「休眠預金」といいます。

銀行によって細かい取り扱いの違いなどはあるようですが、イメージとしては10年間資金の出し入れがないものを休眠預金と定義していることが多いです。

金融庁によると、2011年3月期に発生した休眠預金はなんと882億円!

過去3年にまでさかのぼっても、毎年800億円をゆうに超える休眠口座があるとのこと。

日本の場合は10年後に払い戻される割合が約4割とけっこう高いそうですが、それでもあとの6割は銀行の収益になるのですから、影響は小さくないですよね。

銀行のバランスシートでは、預金としてあずかったお金は、負債の「預金」という勘定科目で表示されます。

「預金」として調達したお金は、銀行の本業である貸付業務などにまわされるのが普通ですね。

(事例)三菱東京UFJ銀行、2011年9月末現在

銀行のバランスシートの一部
(資産の部)            (負債の部)
現金預け金 7兆8226億円        預金109兆  7603億円

有価証券 61兆8052億円
貸出金 69兆7030億円

(参考URL)
http://www.bk.mufg.jp/minasama/ir/kessan/index.html

三菱東京UFJ銀行の場合、109兆円の預金による調達額があり、一方で、貸し出しで運用しているのが69兆円、有価証券で運用しているのが61兆円だということがわかります。

貸し出しとならんで、有価証券の購入がいかに多いかがわかります…

ちなみにその中身、ひょっとして半分以上は「日本国債」????(爆)
((注)約41兆円。決算公告の注記(有価証券関係)より)

銀行では、預金者から預かったお金をバランスシートの右側(貸方)に表記し、負債として資金調達の一つに数えます。

預金といえば資産と考える、一般企業との大きな違いです。

さて、三菱東京UFJの場合は109兆円の預金を預っていますが、このうち長期間出し入れのない預金に対しても、管理コストがかかっていると思われます。

長期間、引出も何もない預金に対しても、銀行のシステム管理の対象になりますから、維持費用はばかにならないですね。

一つの休眠口座当たりのコストは数100円レベルでも、それが何万とあつまれば、もはや無視できない費用負担とも言えます。

ATMなどで引き出すときにかかる手数料などの一部は、こういった休眠口座も含めた預金データの維持コストが含まれているかもしれません。

お金を管理するのもタダではない、というおはなしですね。

さて、政府はこれらの休眠預金を有効活用できないものか、と議論をはじめました。

銀行に眠る「埋蔵金」の発掘、といったところでしょうか。

個人の財産権の保護との調整も必要でしょうから、いろいろと活用に向けてのハードルは高そうです。

しかし、年間800億円からの資金がまったく出入りせずに滞留している、という状態は確かにもったいない気がしますので、いいところに目をつけたのではないかな、と思います。

おそらく、個人レベルでは数100円とか、せいぜい1,000円単位の残高レベルではないか、と想像されるのですね。

10,000円とかあったら、私のような庶民の感覚からすると、休眠する可能性は低いきがするので、数100円や1,000円くらいの僅少な残高で、ちりも積もれば山となる、といった感じでしょう。

管理の分野は違いますが、上場企業で株主の数がめちゃめちゃ多い会社の株主管理コストにちょっと近い感覚でしょうか。

いずれにせよ、ごく少額で多数の口座残高を上手にまとめて管理し、まとまった資金として世の中の役に立てるというアイディアはたしかに素晴らしいと思うのですが、いかがでしょう。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
商品に関するご質問・ご相談はこちら