サムスンの日本再参入と売上シェア戦略(日経12*1*3*1)

会計的には損益計算書のいちばん上、「売上高」の数字を改善するための
もっともわかりやすい経営戦略は、「売上シェア拡大戦略」です。

これは、「既存の市場に経営資源を投入して顧客を奪い取り、それまでのトップ企業をその座から引きずり下ろすために実践する経営上の数々の試み」、と定義することができます。

のっけから少し物騒な物言いをしてしまいましたが、そもそも論でお話ししますと、ビジネスを「生存競争」という側面から考えれば、まさに「ライオンやハイエナやハゲワシやチーターなどの肉食獣たちによる、餌の取り合い」として市場を考えることが可能です。

ただし、ここで間違ってはいけないのは、あくまで「市場」に対する、物の見方の一例であって、これがすべてではありません。

もちろん、田や畑を耕して、徐々に収穫高を上げていくような農耕的な市場の育て方もあります。

たとえば「市場」というひとつのビジネス用語をとってみても、さまざまな観点があり、一様にひとくくりに論じることはできませんね。

「すべての時代、全ての地域、すべての状況にあてはまる唯一絶対の法則」
というのは残念ながら存在しないので、やはり状況に応じた「時勢対処法」としての経営戦略が存在するのみです。

「個々の経営戦略には時代・地域を超えた普遍性がない」、という点が経営理論を考える上で誤ってはいけない立ち位置です。

あくまで経営戦略は「ツール(道具)」であって、理念・哲学とは成りえないからです。

さて、そこで「ツールとしての売上シェア拡大戦略」の話に戻ります。

今回の話を分かりやすくするために、会社にとっての市場を、ここでは
「勢力拡大のための領地」と考えてみましょう。

つまり、「領地拡大=生存競争における強者の証し」という論理の流れ
です。

◎まず、2013年を時間的な起点として、日本という領地における自社の勢力拡大に乗り出そう、とサムスンが考えたわけです。

◎サムスンは、薄型テレビという商品市場で世界的には強者です。

▼しかし、日本市場と言う局地では反対に弱者となっています。

▼以前、2002~2007年頃に日本の液晶テレビ市場に参入していますが、このときは0.3%のシェアにとどまっています。

ある調査によると、2008年ごろの「日本」における液晶テレビの出荷比率は、シャープが45%ぐらいだったようです。

単純には比較できませんが、日本国内のトップシェア企業と比較すると、あきらかに0.3%は10分の1以下なので、これは「弱者」にあたります。

○基本的に「弱者の取る戦略」は、「まともに勝負をしない」が正解です。
シャープを仮に40%、サムスンを仮に0.3%とすると、その日本市場における勢力の差は100倍以上、とても話になりませんね。

2002~2007年の時は、サムスンの日本におけるブランド力その他の戦力を計算し、他のトップ企業との勢力争いになったときの費用対効果からして、勝算が少ないと踏んだのでしょう。

このような場合、孫子の謀功編の一節に、
「少なければ、則ち能くこれを避け」というものがあります。

もしかしてサムスンの経営者は、孫子を深く学んでいるのでしょうか。

とりあえずジャブを打ってみて現在の情勢(市場の状況)を探ってみる、その結果、勝算少なきと判断したので、いたずらに戦力を逐次投入せずに、いったんは退いて次の機会を待つ…。

考えてみれば、当時は今ほど液晶テレビが普及してなかったはずですし、もろもろの周辺環境が大きく異なっていたはずです。

その時から10年ほど経って、欧米での景気減速、中国での価格競争の激化など、周辺環境が依然とかわり、サムスンにとっては戦略を再構築して日本という市場に再度ロックオンした、という見方をすると、このニュースも興味深く読み解ける、という気がいたします。

(Q)サムスンが2013年をめどに本格的に日本の液晶テレビ市場に参入するとするならば…

個人的な意見ですが、これは企業・消費者双方にとってプラスだと思います。

モノづくりの現場から出るハード面の競争力は日本のお家芸ですが、サムスンが強いのは同じ現場でも「売り場」という現場からの逆引き型の設計・企画だと思います。

とするならば、「工場からの過剰な技術革新のアピール」ではなく、より消費者の目線にマッチした商品の企画・提供が行われ、それが価格面も含め、より消費者のために企業間で競争・改善が行われるのではないでしょうか。

日本企業にとっても、競争は激しくなりますが、ある意味これをパラダイムシフトと進化のチャンスととらえることができます。

サムスンと日本国内で競うということは、当然、相手を徹底研究することになります。今はデジタル化社会なので、サムスンの手法を身近に見て研究する手段・材料に事欠きません。

なぜ、日本の代表的な家電メーカーが2%とか3%とかの利益率で苦戦しているところ、サムスンがグローバル展開をして利益率10%を達成できているのか?その原因を徹底究明する機会ととらえれば、今後5年、10年の社内の成長にとって、逆に長期的なメリットとなります。

社内の人材育成のケーススタディーとしても実感がわきますしね。

以上の理由から、個人的には「企業」「消費者」双方にメリットがあると思うので、サムスンの日本の液晶テレビ市場参入は、前向きにとらえたいと考えています。

もちろん、あくまで私の意見ですので、参考程度にみていただいて、みなさんがどのように考えるかは、自由ですよ!

ぜひぜひ、経営戦略のテキストとして、サムソンの日本参入の問題をじっくり考えてみてくださいませ。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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