ヤマハが繰延税金資産の取り崩しで最終減益(日経11*12*20*17)

ヤマハは19日に、2012年3月期の連結純利益について、前期比21%減となる40億円の予想を発表しました。

(資料)「業績予想の修正に関するお知らせ」
http://www.yamaha.co.jp/pdf/cor/ir/rep/revision_20111219_yamaha.pdf

前回発表時と今回の修正後の業績予想を比較してみましょう。

1.前回発表予想 2.今回修正予想
売上高     369,000百万円 売上高     369,000百万円
営業利益    12,500百万円 営業利益     12,500百万円
経常利益    10,500百万円 経常利益     10,500百万円
当期純利益    6,500百万円 当期純利益    4,000百万円

以上を見てもお気づきのとおり、じつは売上高・営業利益・経常利益の予想額にまったく変化はありません。

大きく変わったのは当期純利益が65億円から40億円に大幅減少した点のみです。

この原因について、ヤマハはつぎのように説明しています。

<修正の理由>
当期純利益の修正は、法人税率引下げに関連する法律が公布されたことに伴い、繰延税金資産の一部の取り崩しを見込むことによるものです。

これは、平成23年12月2日に改正法人税法等が公布されていることにともない、平成24年4月1日以後開始する事業年度の法人税率が引き下げられることに影響を受けています。

現在40.69%の法人税の実効税率は来年4月以降に38.01%となるとのことです。

繰延税金資産とは、「会計ルールで計算する利益」と「税法の規定で計算する所得(税法上の利益)」とに、立法趣旨の違いなどによるズレが生じた場合、それにともなう納税時期のズレを調整するB/S項目です。

・・・この説明だけだと、なにやらわけがわかりませんね。

たとえば、今年の決算で1000万円の在庫が出たとしましょう。これにつき、翌年早々には時価が6割くらいまで下がる見込みだと予想されたとします。

ここで、回収可能額を600万円と判断して400万円の評価損という費用を立てたと考えてみてください。

会計上は、利益が400万円減少し、仮に実効税率が40%とするなら、
400万円×40%=160万円の納税額がそれに連動して減るはずですよね。

もっとも、この費用が「当期の費用としては」税務上認められない場合
(一時差異といいます)、いくら会計ルールに従って400万円の費用を当期にあげても、この分は税金計算上は利益に加算させて税額計算させられます。

つまり、16万円は、費用計上があるにもかかわらず、さしあたり当期は税金を払ってくださいね、と税務当局から言われるわけです。

しかし、もちろんこの400万円部分は、来年あたりに安値で販売することになり(600万円で販売)、原価1000万円との差額400万円の費用が現実のものになります。

つまり、税務上は、会計ベースより「1年遅れて費用として認める」
というケースがあるのですね。

したがって、税金が安くなるのも、商品評価損を上げた年の1年遅れみたいになるのです。

ここで、当期の決算で、
「将来、400万円×40%=160万円は、会計上利益がでていても税金は少なくなる」ということで、バランスシートの「繰延税金資産」として計上するのです。
見方を変えると、翌年払うべき160万円の税金を今、前払いさせられたとも考えられます。これが「税金の前払い」とも言われる所以です。

たとえば、上記のケースで、
損益計算書の最終利益が2000万円、商品評価損が400万円(一時差異)、
税務上の課税所得が(2000+400)=2400万円で、これに40%を掛けた
税金960万円(うち、160万円は翌年の税金の前払い分)を当期に支払わされたとすると・・・

(仕訳のイメージ)

(借方)法人税等 800万円 (貸方)現金預金960万円
繰延税金資産 160万円

バランスシート
現金預金   ▲960万円
繰延税金資産  160万円 利益剰余金  ▲800万円
                    (法人税等の費用)

以上のような感じになります。

しかし、いったんは40%で計上した繰延税金資産が、
今般の税制改正で38%に変化したため、
一時差異400万円×2%=8万円ほど、将来の税金減少効果が減ります。

したがって、繰延税金資産の残高を連動して修正させ、
8万円減額するのが、今回の時事ニュースに関連するポイントなのです。

バランスシート
現金預金   ▲960万円
繰延税金資産  152万円 利益剰余金  ▲808万円
                    (法人税等の費用)

税効果会計は、もともと日商検定1級レベルの高度な話です。

深く考えず、以上の説明をもとにして、ヤマハの25億円業績下方修正の大きな原因として、このように税制改正(税率変更)にともなう繰延税金資産の取り崩しが関係している、ということが大雑把にでもイメージできたらOKだと思います。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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