内部統制の限界~オリンパス、大王製紙事件~(日経11*12*6*1、11)

2011年12月6日の日経朝刊では、1面でオリンパスの損失隠しに関連して、歴代2社長が飛ばし取引に関与していた旨が報じられています。

(知識)

※飛ばし
含み損のある金融商品を外部に、原価以上の値段で売却し、時価下落による損失を表面化させないようにする意図的な操作取引のこと。

決算期が異なる企業へ決算前に順送りに売却したり、遠方にあやしげなファンドを作ってそこに売却するなど、決算をよく見せるための粉飾の応用形として用いられる。

また、同日の日経朝刊11面で、大王製紙が企業統治の強化として社外取締役の起用を検討していることがわかりました。

この両者に共通する背景は、「経営者による不正行為」であるという点です。

そこで、すぐに思い浮かぶのが「内部統制は、はたして機能していなかったのか?」という問題ですね。

結論を申し上げますと、これは内部統制の限界と言われている事象の典型例として、内部統制のしくみからは自動的に検出することが不可能とされています。

少し前に日本版内部統制などと世間で盛り上がり、大いに監査法人とコンサルタントの懐を潤し、はんたいに上場企業の経理はもちろん、それ以外の関係各部署の残業と労働時間を増やしたであろう、「内部統制」の基本的な知識について、おさらいしておきたいと思います。

【内部統制】の意味・役割・限界

1.内部統制とは・・・

(1)経営の有効性・効率性を高め、
(2)財務報告の信頼性を確保し、
(3)法規を遵守させ、
(4)資産を保全するために、

企業内部に設けられて運用される仕組み全般のことです。

つまり、「目的」が先にあって、それを達成するために人為的につくられた社内の制度なのですね。

2.内部統制の役割とは・・・

本来的には、上記1.の4つの目的に適合させるように内部統制をつくる必要があります。が・・・

企業の経営資源(ヒト・モノ・カネ)は有限ですから、これら4目的を同時並行的に満足させることはよほど困難です。

したがって、財務会計制度の主目的(=適正な期間損益の算定・報告)に照らして、(2)財務報告の信頼性確保、にもっぱら重点を置いて内部統制を構成していくことになります。

なお、内部統制と言った場合、
①それを作ること(整備)と
②作った後に維持すること(運用)
の2段階があります。

また、内部統制を実行する人の集まり(内部統制組織)と、きまりを文書化した規定集、さらにはそれらが日常的に機能しているかどうかを確認する文書類、が存在しなければなりません。

内部統制の目に見える形は、けっきょく「人」と「文書」に集約されます。

そして、これらを上からの目線で作り上げるのが経営者なのですね。

ある意味、内部統制というワールドの中では、経営者は君主であり、神であるといえます。

だから、内部統制ワールドの中では、君主ないし神である経営者をさばくすべはありません。

それが内部統制の定義だからです。

3.内部統制の限界とは・・・

(1)担当者による判断の誤り、不注意のほか、複数の担当者による共謀
 があると、有効に機能しなくなることがある。
(2)はじめに予想していなかった環境の変化や、前例にない臨時的な
取引などには、対応しえないことがある。
(3) 内部統制の整備及び運用に際しては、費用対効果の面で、その
内容で完璧とは言えないケースが出てくる。
(4)経営者が不正を行うために、内部統制を無視したり、内部統制の
機能を無効にすることがある。

今回の大王製紙およびオリンパスのいずれのケースも、内部統制の限界(4)に該当します。

そして、(4)への対応策のひとつとして、社外取締役の起用が大王製紙では検討されているのですね。

では、社外取締役さえ導入すれば、同じような不正は起こらなくなるのでしょうか?

・・・考えてみてください。

いくら社外取締役を採用したところで、
彼らが365日、会社に張り付いて社長を監視できるでしょうか。

ないよりは全然マシだよね、というレベルの認識でとどめておいた方が無難ですよ、きっと。
●経営者の倫理観、大局間、上に立つ者としての意識の低下

●従業員の倫理観、危機意識の低下

こちらの「人的教育」の方が、物理的・制度的な組み換えよりも、時間はかかりますが、よほど重要な気がします。

内部統制は、いわば、からくり人形の箱の中にある歯車といっしょです。

一定の定型的な仕事は期待できますが、突発的な問題や、そこにいる人の倫理観・人間力に期待せざるを得ない局面に遭遇した時には、まったく機能しません。

それが内部統制というものです。

「組織の人的自浄作用=構成員の意識改善」への取り組みが、これからの新しいコーポレートガバナンスのあり方の核になると考えているのは、私だけでしょうか。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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