配当の意味と財務諸表表示

株式を所有していると、配当をもらうことができます。

毎期の決算の結果、利益が出たので配当をもらうという
パターンが一番多いですが、平成18年5月以降の
会社法では、年度の途中でも、複数回配当をすることができます。

それ以前は、年度末の決算に基づく配当のほか、事業年度の
中間時点で配当を行う「中間配当」というものがありました。

つまり、平成18年4月以前の旧商法の規定では、年一回ないしは
中間配当を含めて年二回までの配当が一般的だったのです。

それが、新しく会社法が施行されるようになってからは、
株主への利益還元の機会を増やそう、という趣旨から、
年に二回以上の配当が可能になっています。
上場企業などでは、四半期ごとに配当をする、などという
ケースもあるのですね。

会社に利益が残っている場合、株主への利益還元の
方法としては、

1.配当として金銭を支払う。
2.自社株の取得を行う。

という、2つの方法が一般に行われます。

いずれも、株主への金銭の支払いを伴いますが、
これらの支払額は、損益計算書の費用にはなりません。

株主資本等変動計算書という、
貸借対照表の純資産の部における変動明細の説明書に、
記載されます。

また、配当(中間配当)および自己株式の取得による支出額は、
キャッシュ・フロー計算書における「財務活動における
キャッシュ・フロー」という区分で表示されます。

いっぽう、配当を受け取る側は、受取配当金という名目で、
損益計算書の収益(儲け)として、営業外収益という区分で
表示されます。

また、発行会社が自己株式の取得をした場合、その株を
発行会社に売却した株主は、取得原価または売却直前の
帳簿価額(帳簿上の評価額)と売却額の差額を、
「有価証券売却益」(儲かった場合)または「有価証券売却損」
(損した場合)として、やはり損益計算書の営業外収益または
営業外費用として表示するのですね。

以上をまとめると、次のようになります。

1.配当の支払いに関する財務諸表表示(CF=キャッシュ・フロー)

●支払い側
☆貸借対照表…現金預金の減少=純資産の減少
☆株主資本等変動計算書…純資産・利益剰余金などの減少
★損益計算書…表示なし
☆CF計算書…財務活動におけるキャッシュ・フローの減少

●受け取り側
☆貸借対照表…現金預金の増加=純資産の増加
☆株主資本等変動計算書…純資産・利益剰余金の増加
★損益計算書…営業外収益
☆CF計算書…一般に、営業活動によるキャッシュ・フローの増加

2.自己株式の支払いに関する財務諸表表示

●支払い側
☆貸借対照表…現金預金の減少=純資産の減少
☆株主資本等変動計算書…純資産・自己株式の発生
★損益計算書…表示なし
☆CF計算書…財務活動におけるキャッシュ・フローの減少

●受け取り側
☆貸借対照表…現金預金の増加+有価証券の減少(差額は純資産の増減)
☆株主資本等変動計算書…純資産・利益剰余金の増加(売却差額)
★損益計算書…営業外収益または営業外費用
☆CF計算書…投資活動によるキャッシュ・フローの増加

通常は、以上のようになります。

配当の受け払い等に関する、支払い側と受け取り側の決算書に与える
影響を、この機会に理解してみてください!

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