ユニチャームが株主への利益還元の比率を引き下げ(日経13*3*6*17)

ユニ・チャームが、自社株買いと配当総額の合計と連結純利益の比率を引き下げる計画のようです。

自社株の取得額と配当の支払いは、ともに株主に対する利益の還元(リターン)とされており、これらが増えると、投資家から好感されて、株価が上がることがおおいです。

(取引例)
当期までに稼いだ利益をもとに、100万円の配当金を支払うことを、株主総会で決定した。

配当の決議をする前の当期末における現金預金の残高は1,000万円、資本金は400万円、利益剰余金は600万円だった。

(配当決議前)
      貸借対照表  (単位:万円)
現金預金 1,000      未払配当金      0
               資本金     400
              利益剰余金   600

                   ↓

(配当決議後)
      貸借対照表  (単位:万円)
現金預金 1,000     未払配当金   100
               資本金   400
             利益剰余金   500

                   ↓

(配当支払い後)
      貸借対照表  (単位:万円)
現金預金 900      未払配当金     0
               資本金     400
             利益剰余金     500

このように、現時点以前で稼いできた利益上の留保額(利益剰余金)のうち、株主総会の決議などによって株主に利益の一部を還元するために支払うのが配当です。

昨今は株価が長らく低迷していたので、株価に対する配当金の割合(配当利回り)が2%以上などの高いケースもよく見られました。

配当のほかにもうひとつ、株主に利益を還元する方法として、自己株式があります。

自己株式とは、いったん発行した自社の株式のうち、あとになって買い戻した分のことです。

自己株式を買うことを自社株買いともいい、会社が所有している自己株式を金庫株と呼ぶこともあります。

自己株式の取得は、いぜん行った「新株式の発行&出資金の受け入れ」とは反対の取引になります。

つまり、いったん発行した株式を受け取り、その対価として現金預金を支払うという取引です。

自己株式の取得は、次のように純資産(資本)のマイナスです。

(取引例)
発行済みの株式100株のうち、10株を買い戻した。
買い戻し時の株価45万円だった。

      貸借対照表  (単位:万円)
現金預金 550         未払配当金     0
               資本金    400
               利益剰余金   600
              自己株式 △450  ←45万円×10株

ここで、自己株式△450万円が、当期中に現金預金が大きく減少した理由であることがわかりました。

これら配当の額と自己株式の額の合計が、株主に対するリターン、すなわち利益還元の目安になるんだというお話です。

この配当+自己株式が当期純利益に占める割合が大きいほど、株主にとって利益をおおく還元してもらえるので、株価はアップしやすくなります。

ユニチャームは従来、総配分性向約5割でしたが、これをさらに低くしようと考えているようです。

なお、配当金の支払い額が当期純利益の何%を占めているか、という観点からの財務分析指標は配当性向といいます。

いずれにせよ、おおむね50%は妥当な目安といえるとされています。

こんかいは地味ですが、株価の形成に一役買うことが多い知識として、配当と自己株式の取得についてお話ししてみました。

柴山式簿記講座受講生 合格者インタビュー
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